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日本経団連 CSRインフォメーション(第2号) 添付資料

ISO/SRに関するワーキンググループ(WG)第1回総会の模様

2005年3月17日
日本経団連社会本部

2005年3月7日〜11日、ブラジル・サルバドールで第1回のWG総会が開催され、具体的な規格策定作業を開始した。日本からは3名の企業関係者、連合、主婦連、経済産業省、NGOから各1名の専門家のほか、4名の経済界のオブザーバーが参加した。以下にその模様を報告する。

1.WG議長・事務局

議長Mr. Jorge E.R Cajazeria〔ブラジル、スーザノ製紙(株)〕
副議長Ms. Catarina Munck〔スウェーデン、ボルボ社〕
事務局長Ms. Kristina Sandberg〔スウェーデン規格協会〕
副事務局長Mr. Eduardo Campos〔ブラジル規格協会〕

2.参加者の構成

43カ国、24国際機関から約260名が参加
うち専門家225名のステークホルダー別分布は、産業界52名、その他45名、NGO31名、政府28名、消費者団体21名、労働団体14名、国際機関等34名。先進国150名、途上国75名。

3.会議の進行

(1)議長国はマネジメント・システム(MS)の色彩の強い原案を通すため、WGをグループに分け((1)WGの構造と作業範囲、(2)SRガイダンス文書の構造と内容、(3)WGにおける意思決定方法などの規格開発手順)、限られたテーマを同時並行で議論させるという方法で議事を強引に進めた。

(2)しかし、結果としては、(1)それぞれのグループにおける議論が紛糾したこと、(2)各グループの考え方に食い違いが出てきたことから3日目以降の全体会議がまとまらず、議事進行は大幅に遅れた。

(3)WGに設けられるタスクグループのリーダーシップや議長諮問委員会(CAG)メンバーの選出で表面化した、選考・決定過程の透明性とステークホルダー間のバランスの確保は、今後のWGの運営の大きな課題として浮かび上がってきた。

4.ガイダンス文書の構造と内容をめぐる議論

(1)ガイダンス文書の原案は、MSに傾斜し第三者認証につながり問題であるとの指摘が事前に各国から出されていたにもかかわらず、原案にしたがって議論が開始された。

(2)2日目、SRガイダンス文書の構成と内容に関する検討グループの冒頭で、日本提案のプレゼンテーションを行い、原案の代替案として参加者の理解を得て、各国独自案提出の動きを促進させた。

(3)原案に多くの疑問が出されたにもかかわらず、3日目の全体会議において、ガイダンス文書の構成が原案に沿った形で提示されたことに、多くの出席者から強い反発があった。

(4)そこで振り出しに戻り、規格化の目的((1)組織がSRを実施し、維持し、改善するための支援となること、(2)すべてのステークホルダーの効果的な参画を通じて組織がSRを果たしていることを実証することを支援すること、など)を再確認した上で、再度検討グループに分かれて討議することとなった。

(5)4日目に検討グループに分かれて討議し、日本を含め7つのグループからSRガイダンス文書の構成に関する代案が示された。そのうち1グループだけがMSだったが、その他はステークホルダーとの関係、ベストプラクティス、組織の性格に対応したガイダンスなど、実用性を重視した反MSの立場が多かった。これらの提案を受けて討議の結果、(1)ステークホルダー・エンゲージメント/コミュニケーション、(2)SRの定義、範囲、原則、対象、(3)組織への適用の3つのTGを設けることとなった。

5.総会の結果

(1)WG総会で検討された33の決議のうち、タスクグループの幹事国等を決める手続に関する項目を除き、承認された。

(2)WGの構造は、CAG(議長諮問委員会)、6つのタスクグループ(TG)を設置することで合意した。TG1と2以外は次回総会までの暫定。

<戦略グループ>
TG1(途上国支援のためのファンディング)
コンビナーWG副議長、ISO発展途上国委員会
事務局ケニア
TG2(コミュニケーション)
コンビナー日本(冨田秀実氏)
事務局タイ、アルゼンチン
TG3(WG運営指針)
コンビナーイギリスNGO(IISD)、ISO中央事務局
事務局チリ
<規格策定グループ>
TG4(ステークホルダー・エンゲージメント/コミュニケーション)
コンビナーイギリス、南アフリカ(AICC)、メキシコ
事務局イスラエル、UNCTAD
TG5(SRの定義、範囲、原則、対象)
コンビナーカナダ、コロンビア、フランス
事務局マレーシア、カナダ
TG6(組織への適用)
コンビナー中国、ポルトガル
事務局ドイツ、ナイジェリア、南アフリカ

6.日本としての成果

(1)深田静夫氏(オムロン)より日本提案を2度にわたって説明して、多数の各国参加者の理解と賛同を得た。日本案がきっかけとなり、第三者認証を伴うマネジメントシステム規格策定への動きを止め、代替案提出への動きを促進させ、日本提案に盛り込まれたコミュニケーションを重視する方向に近づけることができた。

(2)タスクグループ2〔コミュニケーション〕の幹事に冨田秀実氏(ソニー)が就任し、首脳グループの一角を占めることができたため、今後のWGの動向について情報入手がきわめて容易になった。

(3)アジア諸国関係者との懇談会を開催するなどして、アジア、アフリカ、中南米、欧米各国産業界との人的なネットワークを構築することができた。

7.今後の課題

(1)今後は、企業の実践経験に基づく具体的な提案をしていく

(2)人的なネットワークを活用し、ISOの作業に反映させる

(3)その他

以上

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