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日本経団連 CSRインフォメーション(第12号)

発行:(社)日本経済団体連合会 社会第二本部
2007年11月2日

◆ISOにおけるSRガイダンス文書作成の動きについて

1.SRに関するワーキンググループ第5回総会が11月5日からウィーンで開催

ISO(国際標準化機構)のSR(社会的責任)に関するワーキンググループの第5回総会が、11月5日(月)〜11月9日(金)まで、オーストリアのウィーンで開催されます。今回は、第3次作業文書(WD3)に対して各国エキスパートから寄せられたコメントから主要論点を明らかにし、その合意に向けて議論を進めることになっています。

2.第4回総会以降のワーキンググループの動き

  1. (1) 本年1月にシドニーで開催された第4回総会では、6章(SRの課題)と7章(実施)に関する起草の基本的な考え方や、マネジメント・システム規格とはしないことで足並みを揃え、ISO規格化の最終目標を2009年11月に再設定して、そこに至る具体的なスケジュールに暫定合意しました。

  2. (2) シドニー総会の決議事項とスケジュールに沿って、3つの規格策定グループ(TG4、5、6)が3月末までの2ヵ月間で第1次案を作成し、関係者からのコメントに基づいて6月下旬までに第2次案を作成して、編集委員会に提出しました。その後、編集委員会でWD3を取りまとめて各エキスパートにコメントを求めたところ、8月末までに7,100を超えるコメントが提出されました(WD1へのコメント数は2,200、WD2は5,176)。

  3. (3) WD3は初めて全編に渡って文章化されましたが、コメント数が増加した背景には、具体的な記述内容の細分化の程度やトーンの一貫性が確保されていないことや、重複した記述や矛盾が生じていることもあります。

  4. (4) その原因としては、世界各地で起草作業を進めている3つのTGのエキスパートが約100名に及ぶために、総会の決議事項やリエゾン・タスク・グループのアドバイスに対する解釈の相違が生じるという、情報の共有化や認識の浸透の難しさもあります。

  5. (5) そこで、今回のウィーン総会では、今後の作業を進める上でエキスパートの合意が不可欠な、各TG固有の重要課題や以下の共通重要課題等について集中的に討議することとなりました。

    1. 規格で使用する専門用語およびその定義
    2. 国際的行動規範/文書/イニシアティブの定義や参照ルール
    3. 少人数による起草グループ(メタ・ドラフティング・チーム)の編成
  6. (6) ウィーン総会では、重要課題に対する合意を形成したうえで各国国内委員会の投票にかける委員会原案(CD)に移行できるか否かと、メタ・ドラフティング・チームの編成が大きな焦点となります。首尾一貫した成熟度の高いドラフトを効率的かつ迅速に作成し得る仕組が構築され、2009年11月の規格発行予定が大幅に遅れないことが期待されています。

3.日本産業界の対応

  1. (1) シドニー総会後のWD3の起案作業では、日本産業界エキスパートの深田静夫氏と関正雄氏が、節目毎に各TGの重要課題を提示したり、効果的なプロセスを提案したり、建設的な議論を積極的に展開してまいりました。3個の共通重要課題は、日本産業界が8月末に指摘した問題意識とも共通しています。日本産業界では、これまでの提案を踏まえて、メタ・ドラフティング・チームの機能・権限・構成メンバーと選考基準や、国際的行動規範等について積極的に発言していくこととしています。

  2. (2) ウィーン総会では、開会前日にワークショプを設けるなど、産業界グループ内の連携を一層強化しながら対応していく予定です。あわせて、アジア諸国と意見交換しながら、それらの国々の懸案事項などの把握にも努めることとしています。

  3. (3) 日本経団連では、社会的責任経営部会のISO対応チームを中心に、具体的な提案をしながら、その作業をサポートしてきました。引き続き、皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。

【本件ご連絡先】
(社)日本経済団体連合会 社会第二本部 長沢、武藤、漆間(うるま)
  電話: 03−5204−1750
  FAX: 03−5255−6255
以上

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