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日本経団連 CSRインフォメーション(第14号)

発行:(社)日本経済団体連合会 社会第二本部
2008年7月25日

ISOにおけるSRガイダンス文書作成の動きについて

1.第5回総会以降のワーキンググループの動き

(1)第4次作業文書第1版(WD4.1)の作成

昨年11月に開催されたISO(国際標準化機構)のSR(社会的責任)に関するワーキンググループ(WG)の第5回総会で、少人数の起草チーム(IDTF)を新設して、統合的な視点から第4次作業文書を起草することが決議されました。
IDTFは、3つの既存の規格策定グループ(TG4/5/6)が修正したドラフトと引継書をもとに、昨年12月からWD4.1の作成に着手し、3月12日にWD4.1を全エキスパートに回付しました。

(2)ステークホルダー・グループのWD4.1に対するコメント

IDTFは、論理的な流れや一貫性・整合性を向上させるために、規格の全体構造も含めてドラフトの内容を大幅に改訂しました。このため、起草作業の透明性を確保する観点から改訂理由を詳細に説明し、WD4.1の大括りな作成方針についてステークホルダー・グループにその賛否などを問いました。
そこで、産業界、消費者、政府、労働界、NGO、SSROの6つのステークホルダー・グループ毎にコメントを集約するプロセスを踏み、4月4日までに6つの回答がIDTFに提出されました。

(3)第4次作業文書第2版(WD4.2)の作成

IDTFは、各ステークホルダー・グループから提出されたWD4.1に対するコメントを踏まえて修正を行い、6月5日にWD4.2を全エキスパートに回付しました。
WD4.2は、9月1日〜9月5日までチリのサンチャゴで開催されるISOのSRに関するWGの第6回総会で議論のベースとなるドラフトです。また、WD4.2に対するコメントを提出する機会が、全エキスパートに7月11日まで設けられました。

2.日本産業界の対応

(1)IDTFへの引継ぎ

WGの第5回総会以降、3つの規格策定グループ(TG4/5/6)がドラフトを改訂する過程で、日本産業界エキスパートの深田静夫氏と関正雄氏がWGの総会の合意事項に基づく具体的な改善策や引継書案を提示しました。
また、WD4.1の起草方針の検討にあたって、ドラフトの主要論点や課題を絞り込んでIDTFの産業界代表メンバーを積極的にサポートしました。

(2)WD4.1に対するコメント

日本産業界は、IDTFのリーダーシップと策定方針を支持しつつ、産業界ステークホルダー・グループに建設的なコメントを提案してドラフトの成熟度がより一層高まるように貢献しました。
また、産業界エキスパートの主要メンバーと連携を図り、IDTFの質問事項に対する回答の取りまとめにも貢献しました。

(3)WD4.2に対するコメント

日本産業界は、引き続き、IDTFによる統合的な起草プロセスへの支持を表明しつつ、委員会原案(CD)に移行するための改善点を指摘し、規格開発プロセスを加速させる必要性を訴えました。
特に、あらゆる組織にとって実用的で柔軟性に富むガイダンス文書を開発するには、多様な選択肢やアイディアを提供することが重要である旨を強調しました。また、ステークホルダーやステークホルダー・エンゲージメントに関するドラフトの代替案も提示しました。

3.今後のスケジュール

7月21日〜7月23日まで、IDTFがニューヨークで会議を開催して、WD4.2に対するエキスパートのコメントの中から主要論点の絞り込みを始めております。また、引き続き7月24日に開催されたCAG(議長諮問グループ)の会議では、サンチャゴ総会の運営や今後のWGの進め方などについて検討しております。
IDTFが整理した主要論点は、8月11日にディスカッション・ペーパーとして全エキスパートに回付され、9月1日〜9月5日に開催されるサンチャゴ総会で討議することになっています。
日本経団連では、社会的責任経営部会のISO対応チームを中心に、ドラフトの成熟度を高めるために、建設的な解決策の検討を重ねて参りたいと存じます。引き続き、会員企業の皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。

【本件ご連絡先】
(社)日本経済団体連合会 社会第二本部 長沢、武藤、漆間(うるま)
  電話: 03−5204−1750
  FAX: 03−5255−6255
以上

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