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日本経団連 CSRインフォメーション(第16号)

発行:(社)日本経済団体連合会 政治社会本部
2010年3月1日

ISOにおける「社会的責任に関する手引」作成をめぐる動向について

1.DIS(国際規格案)からFDIS(最終国際規格案)への移行

2009年5月の第7回ISO/SR/WG総会[於:カナダ・ケベックシティ]での議論を踏まえて回付された、ISO26000のDIS(国際規格案)へのコメント提出およびFDIS(最終国際規格案)移行についての賛否投票が、2010年2月に実施されました。

※DISの原文および邦訳版は、ISO/SR国内委員会のホームページをご参照下さい。
http://iso26000.jsa.or.jp/contents/document.asp

FDISへの移行については、中国やインドなどが反対票を投じましたが、賛成票がWGに参加している正規メンバー国(92ヶ国)の投票の2/3以上、かつ反対票がISO全加盟国(105ヶ国)の投票の1/4未満であったため、2月27日付で移行が決定しました。
日本では、4回にわたって開催されたISO/SR幹事会において、6つのステークホルダー(産業界、労働組合、消費者団体、NGO、政府、調査・研究機関)が提出したコメント候補についての検討を行い、最終的に57の候補(案)をとりまとめました。同候補(案)は、ISO/SR国内委員会で全会一致で承認されました。また、FDISへの移行についても賛成が承認され、結果、日本としてFDISへの移行につき、2月12日にコメント付賛成投票を行いました。
57のコメントの内、43(75%)が産業界提出分でした。産業界コメントについては、他のステークホルダーとの若干の調整はありましたが、概ね当初の提案を反映させることができました。
なお、投票権はありませんが、BIAC、IOE、ICCなどの国際産業団体は、FDISへの移行については、時期尚早との見解を表明しています。その主な理由は以下の通りです。

  1. 文章が複雑で、読みづらい。
  2. 文章が長く、説明が詳細にわたり過ぎている。重要な点とそうでない点を区別しにくい。
  3. 「1:適用範囲」において、「規模又は所在地に関係なく、あらゆる種類の組織に対して、手引を提供する。」と述べられているにもかかわらず、本手引は大規模組織向けのガイダンスとなっており、中小組織には適さない。
  4. 「6.3:人権」以外の項における、“Sphere of Influence”(影響力の範囲)の概念は、UN Framework と整合していない。「組織が影響を及ぼす先に対しては、社会的責任を行使する必要性がある。」との表現に見られるような、影響と責任を一体化させる概念は、UN Frameworkにおける概念に反する。
  5. 第三者による認証や監査目的に使用される可能性を排除するべきである。

2.今後のスケジュール

今後、統合起草タスクフォース(IDTF)がDISに寄せられた2600以上のコメントを整理・分析した上で、主要論点を特定し、それらにつき、5月のWG総会で議論することになります。総会での議論をふまえてDISを修正し、9月頃にFDISが回付される予定です。回付後、2ヶ月間程度技術的なコメントを受け付け、最終投票を行った後、12月頃に国際規格(ISO26000)が発行される見通しです。
発行までの主なスケジュールは次の通りです。

3月16日〜19日  統合起草タスクフォース(IDTF)会議および議長諮問グループ(CAG)会議〔於 ケープタウン〕
  • コメントの中から主要論点を特定
  • 今後の対応方針、WG総会の進め方等の検討
5月17日〜21日  第8回WG総会〔於 デンマーク・コペンハーゲン〕
  • 主要論点に関する討議と合意形成
9月頃最終国際規格案(FDIS)回付、技術的コメント受付
11月頃最終投票
12月頃国際規格(IS)発行

日本経団連では、今後ともコペンハーゲン総会等における日本産業界の意見反映に努めてまいります。また、ISO26000の発行を見据え、ISO26000普及・促進関連行事(セミナー等)の開催も検討してまいります。会員企業の皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。

【本件ご連絡先】
(社)日本経済団体連合会 政治社会本部 網野、漆間(うるま)
  電話: 03−6741−0152
  FAX: 03−6741−0352
以上

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