今後の財政運営のあり方
税制改正を行う大前提として、財政運営について根本的なあり方を検討し、思い切った
経費の節減に取り組まなければならない。我々は歳入と歳出を一体として検討することに
よって、望ましい税制改正が実現することを期待するものである。
行財政改革推進の必要性
経団連の分析によると、現行税制のままでは国民負担率は急増し、高齢化のピークとなる
2020年には国民負担率が54%を上回ることになる。わが国経済が活力を失わないためには、
これを50%以下に抑える必要があるが、そのためには、まず行財政改革を推進することが
不可欠である。
行財政改革の具体的推進
企業は難局に直面し、懸命にリストラに取り組んでいる最中である。その中で政府も例外
であってはならない。国、地方、更には特殊法人を含めた行政改革を断行し、財政の整理
・合理化に取り組むべきである。
財政運営にあたって、企業経営の発想を思い切って取り入れるべきである。
コストベネフィット意識の下に、
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ゼロベース予算・サンセット方式の導入
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政策の優先順位を明確にした予算編成
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会計監査・行政監察制度の強化
等を財政運営の基本に据えるべきである。
政府は不要不急の無駄を切り捨てるという財政改革を進める一方で、歳出の伸びを一定の
指標によって抑えるという原則を確立する必要がある。
財政改革にあたっては以下の諸点を踏まえて検討を行うべきである。
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政府は、予算全般にわたって、過去の経緯にとらわれず、従来以上に各歳出項目について
徹底的に洗い直すべきである。公共投資については、長年にわたって固定化している
シェアを時代の要請に沿って見直す必要がある。また、補助金についても、その必要性を
吟味し、一段の整理に努めるべきである。同時に、特殊法人の運営にあたっても、償却制度
の見直しなど経営の抜本改革を行うことによって国の負担軽減を図るべきである。
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高齢化時代におけるわが国の社会・経済のあるべき姿について明確なビジョンを策定した
上で、国民の自助努力ならびに民間活力を活用するという観点から、福祉ビジョンを見直し、
具体的な計画を策定すべきである。
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以上の財政の整理・合理化は、財政のコストパフォーマンスを向上させるための施策で
あるが、新しい時代を迎えるにあたって財政に求められる役割も変化してきている。
来年度の予算編成にあたっては、下記の点に重点を置くべきである。
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環境、福祉、住宅対策による豊かな国民生活の実現
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わが国の発展の基礎をなす研究開発の推進
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新しい時代に相応しい人材を育成するための高等教育の拡充
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生産性の向上、創造性の発揮、新事業の発展を促す高度情報化の促進等
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