管轄権について�
3.1 管轄権
- 「効果理論」について、国際的認識が拡がっているとするが、自国の輸出産業への影響を及ぼす行為までを含めているのは米国のみであり、他の主要国の間には、そのような認識はない。上記のような記述は誤解を与え易く不正確であり、削除すべきである。
- 上記に関連して、脚注44に引用する欧州裁判所の判決は、EC域内市場に影響を及ぼす域外の行為に関するものであり、効果理論を米国のように広く解釈するものではないため、不適切である。
3.11 輸入通商を含む行動に関する管轄権
- ハートフォード判決を受けて、「米国に実質的な効果を生じさせることを意図した、および効果を実際に生じさせた」ことを基準とするとしながら、「意図」については、輸入が米国内における販売を意図してなされている以上ほぼ例外なく満たされるとしていることは疑問であり、あくまでも「実質的な効果を生じさせることを」意図した場合に限定されるべきである。
- 「実質的な効果」を及ぼすか否かについてはそれぞれの事実の状況によるとしているが、より具体的な判断基準をガイドラインに明示すべきである。「実質的な効果」の有無を判断するに当たっては、輸入数量のみでなく、当該行為がいかなる点で競争制限的であるかを考慮に入れるべきである。
3.13 輸入以外の通商を含む行動に関する管轄権
3.131 1982年外国貿易反トラスト改善法(FTAIA)
FTAIAの「直接的、実質的および合理的な予見可能性のある効果」の判断基準を、より具体的なものとすべきである。
挿入事例C
米国の輸出取引への効果を意図している、 米国の輸出取引に実質的な効果がある、という理由づけにより管轄権を認めているが、このケースにおいて、実質的に効果が及ぶのは当該国の市場であり、当該国の競争法により解決されるべき問題である。
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3.132 同法第1条A項が適用される事例における管轄権
外国企業による米国外における垂直的取引制限が、米国内の輸入取引や米国内の通商に対して「直接的、実質的な」競争制限的効果を及ぼすとは考えられず、本記述は削除すべきである。
挿入事例D
輸入以外の通商行為に関する管轄権についてはFTAIAに従うとしながら、問題の行為自体が米国通商に「直接的、実質的かつ合理的に予見可能な効果」を及ぼしたか否かではなく、結果として起こり得る潜在的な損害に焦点を当てて管轄権の有無を判断するとしており、当該訴追対象行為自体が米国通商と直接の関係がないときにも管轄権が及ぶとするならば、FTAIAの規定よりも管轄権を広く認めることとなり問題である。
挿入事例E
3.133 外国輸出通商を含む事例における管轄権
挿入事例F
ある国での製品規格の決定に際して、米国企業の技術を採用せず、米国企業を当該国市場から締め出すケースについては、当該国の競争法により解決されるべき問題である。高価な機器であることで米国の輸出取引に実質的な効果があるとして管轄権を認めることは、管轄権の範囲を不当に拡大するものである。
3.14 米国政府が融資・購入する場合の管轄権
米国政府の購入、あるいは米国政府より融資を受けた企業の購入について、米国政府が当該取引費用の過半を越える部分の負担をなす際には、米国の納税者に効果が及ぶので管轄権があるとしているが、これが、FTAIAの基準をどのように満たしているのか、その根拠を明確にすべきである。
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