冷戦後の経済協力の目標(三つの基本認識)


  1. 日本の国際貢献の最重要の柱としての経済協力の位置づけ

    経済協力は日本が国際的リーダーシップを発揮できる国際貢献の最良の分野であり、わが国外交政策、国際貢献の最重要な柱と位置づけ、国民の理解と支持を得て広汎な国民各層の参加のもと、相手国が評価する援助を実施しなければならない。

    経済面における日本の国際貢献は、第一に日本の内需拡大と市場開放・規制緩和、ウルグアイ・ラウンド合意の着実な実行により、途上国を含む世界の経済成長を促進する市場と機会を提供することにある。第二に、途上国が安定した経済成長を達成するための環境づくり、すなわち資金、技術、ノウハウ、人材面での総合的支援システムとしての経済協力である。これらが民間の直接投資や開発途上国の自助努力に支えられる時に経済協力は大きな効果を発揮する。

    冷戦の終焉により安全保障の環境は大きく変わり、危機管理の困難な時代に入った。このような時代においては、軍事やPKO以上に、経済発展を通じた民生の安定や秩序の形成を通じ、紛争を未然に防ぐ総合安全保障が欠くべからざる重要性を有しており、軍事小国、経済大国である日本の国際的役割は極めて大きい。このような日本の貢献は、わが国の拠って立つ自由貿易体制の維持・発展にも結びついており、そのための国民的負担は次世代への責務であり、国民の利益にも適うものである。

  2. 世界共通の目標としてのグローバル・グロース

    上述の通り、安全保障を取り巻く世界環境も大きく変わり、また、地球規模問題としての人口問題、環境問題なども登場してきた。このような時代においてこそ、世界経済の持続的かつ安定的成長、すなわちグローバル・グロースを通じ、人類全体の活動基盤の維持・改善を図ることが重要となっている。

    このような視点から、国際社会はグローバル・グロースの実現のための経済協力の重要性を認識し、冷戦下で形成された経済協力の枠組みを見直していくべきである。

    冷戦後の多くの課題に応えていくためには、世界共通の目標を「世界の平和と繁栄に向けたグローバル・グロース」に置き、国際的には国家、国際機関によるパートナーシップ、国内においては政府と民間部門(企業、NGO、学界等)のパートナーシップを強化することが必要不可欠となっている。

  3. 日本の経済協力の新たな展開

    以上を踏まえ、民間部門の役割の増大という経済協力の新たな国際的潮流にも沿い、日本の経済協力の新たな展開を図る必要性が増大している。そのためには以下の実行が不可欠である。


日本語のホームページへ