さらに、欧米先進国や中進国との国際的な援助の連携や経験の交換を一層進め、その枠組み作りに日本としてリーダーシップをとるべきである。
国際機関に人材を送り出す体制の整備が急務であり、ODAによる国際機関での研修機会の提供や研修期間中は日本政府側が補助するような実効性を持たせる工夫も過渡的には必要である。また、国際機関における日本人幹部の増加や官庁の縦割りによらない柔軟な理事の任命等を図るべきである。
民間企業において国際機関への長期出向者を増やすためには、国際機関の採用資格要件(博士号等)の一層の弾力的な運用を働きかけるとともに、出向期間中の給与差額補填、年金、保険等への免税措置の導入、帰国後の出向者の企業内昇進・資格制度にインセンティブを創設すること等を官民共同で検討する必要がある。
さらに、正規の職員に加え、コンサルタントとして、日本人をチームとして国際機関に派遣できるような方法を検討する必要がある。
開発援助分野における日本の情報発信力を高めるため、国際的な開発援助理論・政策研究を充実させ、知的インフラを整備すべきである。また、日本の経験はもとより東アジアの経験に基づく経済・社会開発のモデルを提示するなど、世界に向けて情報の発信していく努力が必要である。
限られた援助資源を有効に使い、一国でも多く援助卒業国を創出するためには、援助国間の連携が重要になってきている。地球規模問題のように地域的な広がりがあり、国際的な協調が要求される問題においては、一層、援助の連携が求められる。援助国各国にはそれぞれ独自の援助の理念、方法、実施体制があり、実際の援助の連携においては、各国の特徴を活かし、お互いの経験を持ち寄り、相互補完・相互助言の関係を築いていくことが望ましい。また、それらと民間部門の意見交換の場も必要である。
さらに、日本は世界の成長センターといわれる東アジア諸国との連携を深め、これらの国のアジア地域の低開発途上国、さらにアフリカ等他地域に対する協力(南南協力)を一層支援すべきである。具体的には、被援助国から援助国に転じた国々に対する援助分野での協力、また、中進国等での第三国研修を一層推進し、重層的な援助を実施していくことが重要である。