総会決議

閉塞状況から脱却し、活力と創造性あふれる経済社会づくりを進める

1995年5月26日
社団法人 経済団体連合会


わが国は戦後50年、重大な岐路に立っている。わが国の経済社会システムは、今や世界的な変革の時代に対応できないものになっている。このような中で、急激な円高、製造業・金融市場などの空洞化と雇用不安、さらに阪神大震災や混沌とした政治、社会情勢などにより国民の不安・閉塞感は増大している。

もとより、これまでの幾多の経験と国民の叡知を結集すれば、雇用問題を含めこれらの難局は必ずや打開できると確信する。われわれは、何よりもまず企業家精神を最大限に発揮し、創造的な企業活動を進めていく。政府も、従来の発想を超えた大胆な政策を立案し、断行すべきである。

そのために経団連は、21世紀を展望した3%成長を目標とする経済社会ビジョンを自ら策定し、民間主導のもと、自立と共生の精神に富み、真の豊かさを享受できる国民生活の実現をめざす。

【記】

  1. 活力ある経済社会を取り戻すため、行政改革委員会を全面的に支援し、規制緩和推進計画の早期かつ着実な実行を迫る。豊かな国民生活実現の観点から、内外価格差の是正への優先的取り組みと農産物の価格支持制度の見直しを求める。また、企業として円高差益の還元に率先して努力する。

  2. 震災復興に全力をあげるとともに、景気の本格的な立ち直り、内需拡大のため、資産デフレ対策、緊急円高・経済対策の速やかな実行を求める。その一環として先進国で最も重い法人税負担の軽減、国際的にも不合理な地価税、有価証券取引税、みなし配当課税の撤廃など、税体系の抜本改革に努める。

  3. 21世紀を見据えた公共投資の重点配分と基幹的インフラである大規模拠点空港の建設、情報通信・科学技術基盤の整備・拡充などを働きかける。既に国会決議が行われている首都移転への早急な取り組みを求める。

  4. これらの内需拡大策を講じつつ、国としての自主的な経常黒字削減計画の設定を促し、拡大均衡をめざす。また、円建て貿易、短期金融市場の整備など円の国際化への取り組みを進める中で、為替の安定化策を働きかける。

  5. 次代の産業を担う、新技術の開発、新産業・新事業やハイテクベンチャー企業の創出、育成のための環境整備に努める。また、創造性に富む人材育成のため、教育のあり方を探り、採用・人事制度を含め企業とのかかわりを中心に提言し、実行に移す。さらに、社会貢献活動を推進し、その主要な柱であるボランティア活動の支援を通じて、新しい市民社会の形成に積極的に参画していく。

  6. 世界貿易機関(WTO)の活動を支援するとともに、海外諸国との対話・広報を強化・拡大する。民間の意見を11月のAPEC大阪会議に反映させる。さらに、地球環境・難民救済・直接投資と人材育成など国際的課題に果敢に取り組む。

  7. 政党の健全な発展ならびに決断と実行力のある政治を求める。


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