社団法人 経済団体連合会 新産業・新事業委員会中間提言

「新産業・新事業創出への提言 ─ 起業家精神を育む社会を目指して」

第5章 自立自助社会の構築を ─ アントレプレナーを育む社会を


以上、わが国において新産業・新事業を生み出し・発展させていくために必要な方策について述べてきたが、最終的な課題は国民意識の変革であり、起業家精神に溢れる社会を作り上げていくためには、創造的人材の育成に向けて教育改革などの中長期的な取り組みを進めなければならない。

  1. 国民の意識改革
  2. 新産業・新事業を支えていくのは結局は人である。制度、仕組みを整えても、国民全体の意識が起業に高い価値を置き、失敗を恐れず新たな挑戦を求めるものとならなければ、わが国に新たなビジネス・フロンティアは生まれない。
    平等を是とし、全体の和と安定を重んじる国民性は優れたものであっても、自由で活力ある市場経済の本質とは相いれ難い一面があることも事実である。国民の価値観を、結果の平等より機会の均等を重視するものに、事業での成功に高い評価を与えるものに、また、何よりも、自己責任原則を徹底し、リスク・テークと成功への大きな報償を是認するものに改めていかなければならない。

  3. 教育改革・創造的人材育成へ長期的取り組みを
  4. 国民意識の改革を進めていくことは、基本的には教育の課題である。画一的、硬直的な教育システムを改め、高等教育レベルに止まらず、初等中等教育、さらには家庭や社会の中で、アントレプレナーたり得る、あるいは科学技術の先端を拓くことができる創造的な人材を育成していかなければならない。また、教育過程の中で、次代を担う青少年がベンチャー・スピリットを身につけることができるような実践の場を提供する必要がある。
    これらは、一朝一夕にできることではなく、継続的な取り組みを要する課題であるが、今、直ちに着手しなければならない。


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