消費者志向型の流通システムの確立に向けて

2.流通構造変革の背景


この構造変革は、流通業をはじめ製造業、物流業等の活発な事業革新によりもたらされたものである。事業革新を促した経営環境の変化として、以下の3点が挙げられる。

  1. 国際化の進展

    ボーダレス化の進展に伴うわが国企業のアジア諸国等への展開や技術移転等もあり、消費者のニーズに合致する製品を低価格で海外から調達することが可能となった。数次にわたる輸入の自由化や関税の引下げ、さらには近年の円高傾向は、流通業ならびに一部製造業のグローバルな商品調達に拍車をかけている。

  2. 情報化の進展とモータリゼーションの浸透

    情報処理・情報通信分野における飛躍的な技術進歩やハード・ソフト両面における情報通信基盤整備の進展により、POS、EDI等の情報システムの普及が急速に進んでいる。POSデータに基づく的確な在庫管理や生産管理、EDI化によるリードタイムの短縮、省力化は、流通システム全体としてのコストダウンを技術的に可能とした。
    また、モータリゼーションの浸透に伴い商圏は拡大し、小売業の立地選択の自由度が増すとともに、大規模店舗の採算効率が改善した。

  3. 大店法の規制緩和等

    90年以降、三次にわたって大店法の規制緩和が行われ、大規模小売業の出店が比較的円滑となり、多店舗展開が従前に比べ容易となるとともに、モータリゼーションの浸透と相まって、大規模駐車場を整備した郊外立地型の新業態、新規出店が増加している。
    この他、近年の地価、金利水準、有効求人倍率の低下等もあって、流通分野においては大規模店を中心に新規参入が続出している。


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