今後の情報通信市場のあり方に関する見解

V.今後の情報通信市場のあり方−競争の枠組み


既に述べたように情報通信分野におけるグローバルな競争は一層激化し、また、来るべき高度情報通信ネットワーク社会においては、ネットワーク上で様々な新事業が展開されるものと予想される。このような中で産業のインフラである電気通信ネットワークの戦略的な重要性はますます高まり、その設置・運用を担う通信産業の国際競争力を強化することは、わが国産業全体の発展にとって極めて重要である。

また、高度情報通信ネットワーク社会においては、技術が予想を超える早さで進歩し、その成果が通信事業者によってユーザーに還元されると同時に、ユーザー側からは新しい利用形態が提案され、その間の絶え間ない相互作用によって情報通信市場は活性化・拡大していくものと思われる。このような中で、第1に、第三者である行政が将来の市場動向を予測し、それに基づいて規制を行おうとすれば、その判断は自ずと恣意的とならざるを得ず、ダイナミックな相互作用を制約する恐れが大きい。したがって、「原則自由、例外規制」を政策の基本とし、例外的に規制を行う場合でも、競争促進のために最低限必要なものに止めるべきであり、対象事業者ならびに期限を限定する必要がある。第2に、あらゆる通信事業者とユーザーをつなぐ地域通信ネットワークがNTTのほぼ独占状態に置かれたままでは、通信事業者とユーザー相互の自由なアクセスとダイナミックな相互作用が制約される恐れがある。したがって、この地域通信ネットワークに、より自由にアクセスできるようにするとともに、地域通信市場において競争を促進する必要がある。

さらに、情報通信分野の技術進歩が予想を超えるものであることから、変化に柔軟に対応できる競争の枠組みを構築するとともに、一旦、構築した枠組みにとらわれることなく、市場の動向に合わせて不断の見直しを行う必要がある。

以上のような観点に立ち、上記II〜IVを踏まえ、今後の情報通信市場における競争の枠組みについて、われわれの見解を示す。

  1. 公正有効競争条件の整備
    1. 政府措置の内容の見直しと法定・ルール化
    2. 前回90年のNTTのあり方の見直し時において、「事業部制の徹底等」、「接続の円滑化」、「ネットワークのオープン性の確保」、「内部相互補助の防止」、「情報流用の防止」等を図るため、いわゆる政府措置(日本電信電話株式会社法附則第2条に基づき講ずる措置)が決定され、同措置の推進により公正有効競争がある程度、進展した。

      しかしながら、基本的には、同措置の推進は地域通信ネットワークをほぼ独占的に運営するNTTの自主的な取り組みに多くが委ねられ、その実行を担保する仕組みがないため、必ずしも期待された成果をあげていない。 したがって、同措置の内容を改めて見直すとともに、一層の推進が必要なものは法定・ルール化し、その実行を担保すべきである。例えば以下の事項がその対象として考えられる。

      【法定・ルール化すべき事項】

      1. 事業部制の徹底と内部相互補助の防止

        • 費用の直接配賦を原則とする事業部制収支分計の精度向上
        • 営業面を中心とする業務の長距離・地域分離の徹底と事業部制収支への反映
          (この場合、現行の政府措置に従って長距離通信事業部・地域別通信事業部とに区分する方法のほか、ネットワーク機能を卸売りする事業部とエンド・ユーザーにサービスを提供する事業部とに区分する方法も考えられる。)

      2. 情報流用の防止

         加入者情報等を流用した営業行為の禁止の徹底

    3. 相互接続の法定・ルール化等
    4. 特に、相互接続の円滑化については、NTTがサービス提供上使用する場合のNTTネットワークの使用条件と他事業者が接続して使用する場合のNTTネットワークの使用条件が全て同一でなければ、公正有効競争条件が整備されているとは言えない。また、全ての接続要望に対応すると言っても、他事業者からの接続要望を待つという姿勢が改められない限り、他事業者にとっては、実際に接続が可能か否か協議前に判断することができない。

      したがって、利害が相反する一方の当事者であるNTTに相互接続ルールを策定させるのではなく、競争を促進するためのルールの一環として中立的な立場から下に掲げるような相互接続の法定・ルール化を行うべきである。その際、個々の接続要望に個別に対応するという形ではなく、全ての事業者にNTTとの相互接続を保証するための環境を整備する必要がある。すなわち、全ての相互接続に必要な基本的機能をモジュラー化・アンバンドルすることで、他事業者が自らのサービスに必要な機能だけを組み合わせて使用できるよう、NTTは速やかに標準的インタフェースを用意し、そのコストを公開すべきである。

      また、そのインタフェースを準備するコストは公正有効競争条件を整備するためのコストとして自らが負担すべきである。標準的インタフェースと異なる形での相互接続要望があり、当該事業者がそのためのコストを負担する場合であっても、そのコストは透明かつ納得できるものでなければならず、これを監視するため、NTTにはコスト情報の開示を義務づける必要がある。

      さらに、事業者間接続料金については、当面、増分コストに基づいて設定されるべきであり、地域通信市場において有効な競争が現出し、NTTの市場シェアが一定水準に低下した時点で完全配賦コストに基づくようにすべきである。

      【法定・ルール化すべき事項】

      1. 接続の義務づけ
      2. 接続に要する期間
      3. 接続に必要な機能のアンバンドリング〔含むコロケーション〕(多様な接続点、多様な接続形態)
      4. 機能毎のコストのアンバンドリング(接続コストの範囲・算定方法の明確化)
      5. 接続料金の決定方法
      6. 接続条件の公開

      なお、95年9月末にNTTより示されたネットワーク、特に加入者回線のオープン化の方針は、接続点の増加ならびに接続形態の多様化につながるものであり、一歩前進である。
      しかしながら、

    5. NTTに対する非対称規制とプライスキャップ制の導入
    6. 公正有効競争を徹底するためには、上記の法定・ルール化に加えて、地域通信市場において有効な競争が現出し、NTTの市場シェアが一定水準に低下するまでの間、NTTに対し他事業者より厳しい規制を時限的に課す、いわゆる非対称規制を行うとともに、NTTに対する料金規制については、プライスキャップ制を導入すべきである(具体的には「3.規制の見直し、ルール策定・監視機能の強化」を参照)。

  2. 地域通信市場における競争の促進
    1. 競争促進のための措置
    2. 地域通信市場については、制度的には参入可能であるが、特に加入者回線部分は事実上、自然独占性が強く参入困難な状態にある。とは言え、無線、光ファイバー等の技術革新により競争が促進される可能性は拡大している。

      こうした中で、地域通信市場において有効な競争を生み出すためには、長距離系、地域系、衛星系、移動系の各通信事業者、PHS事業者、CATV電話提供事業者等、自ら設備を敷設してユーザーに直接サービスを提供することを通じてNTT地域通信ネットワークと競争し得る各種ネットワーク・インフラを有する事業者の発展を促すと同時に、サービス面での競争を促進するための環境を整備する必要がある。そのため、以下の措置を講じる必要がある。

      【ネットワーク・インフラの競争を促進するための措置】

      1. 電柱・管路・電力鉄塔等の開放、道路・河川占用規制の緩和
      2. 新たな周波数の開発

      【サービスの競争を促進するための措置】

      1. 相互接続に係わる上記1(2)の措置
      2. 番号桁数の同一化
      3. 番号ポータビリティの確保
      4. NTTの番号案内サービスの利用、電話帳への番号の掲載
      5. 業務受委託の弾力化・受託者範囲の拡大

    3. 加入者回線のオープン化の徹底
    4. また、上記1(2)で指摘したように、加入者回線のオープン化が地域通信市場における競争の促進につながるようにするためには、 が不可欠である。

    5. ユニバーサル・サービスのコスト負担のあり方
    6. 競争の促進と同時に、これまでNTTに委ねられてきたユニバーサル・サービスの範囲とコストをまず明確にした上で、そのコスト負担のあり方を決定する必要がある。その際、コスト負担のあり方については、事業者間で補填する方式、ユーザーが負担する方式、さらには生活保護者等を国が支援する方式、あるいはこれらを組み合わせた方式などを検討する必要がある。

  3. 規制の見直し、ルール策定・監視機能の強化
    1. 電気通信事業法等の見直し
    2. 国内外を問わず、あらゆる事業者により、あらゆるサービスが、安い価格で提供されるようにするため、以下の規制の見直しが必要である。ただし、見直しにあたっては、公正かつ有効な競争条件が実質的に確保されるよう十分留意することが必要である。

      【見直すべき事項】

      1. 市場区分(NTT法第1条、KDD法第1条、事業法第9条)
        −市場区分の撤廃(ただしNTTについては条件づき)−

        法制度上はNTT法、KDD法による国際・国内の区分が存在するだけであるが、国内市場においても長距離、地域等の区分が存在しており、それぞれの市場において管理された競争が行われているのが実態である。また、衛星を使って地球上のどの地点においても通信が可能となるようなシステムが計画されており、将来、現行の人為的な区分はますます意味を持たなくなることが予想される。したがって、NTT以外の事業者については、これら市場区分を撤廃し、事業者が自らの判断によって自由に市場に参入し事業展開できるようにすべきである。ただし、NTTについては、同社が地域通信市場をほぼ独占している状態に鑑みれば、国際通信事業への参入を直ちに認めることは公正有効競争の観点から問題があると考えられる。したがって、地域通信市場において上記1、2に示した措置により有効な競争が現出し、NTTの市場シェアが一定水準に低下した時点で参入を認めるべきである。

      2. 参入・退出規制(事業法第10条、18条)
        −需給調整条項の撤廃等−

        第一種電気通信事業は多大な設備投資を必要とするため、いわゆる既得権を得るだけの安易な参入は考え難い上、事業開始の義務の規定により、このような参入は防止されるものと考えられる。また、退出についても、複数事業者が存在する今日、サービス提供の不安定性が問題となることもないと考えられる。したがって、参入・退出については、できる限り規制を緩和する必要がある。参入許可基準の一つである、いわゆる需給調整条項(郵政省は「過剰設備防止要件」であるとしている)については、郵政省は「申請者が行う需要見込みを基本として対応する」ので問題ないとしているが、そうであれば、何故、需給調整条項が必要なのか疑問である。また、郵政省は公益事業特権を付与するためには「過剰設備防止要件」が必要であるとしているが、公益事業特権については、その他の方法によって対応は可能と考えられる。したがって、需給調整条項は撤廃すべきである。

      3. 役務(サービス)種類の変更許可制(事業法第14条)
        −届出制への緩和−

        法制度上、電気通信サービスは7種類(電報を除く電話、電信、専用、データ通信、デジタルデータ伝送、無線呼出し、その他)の役務に区分されているが、今後は技術革新等により、複数の種類にまたがるなどの新しいサービスの出現が予想される。したがって、新しいサービスの提供にあたって、役務種類の変更許可が円滑なサービス提供の妨げとならぬよう役務種類の変更許可制を届出制へ緩和すべきである。

      4. 業務委託認可制(事業法第15条)
        −条項の弾力的運用・受託者範囲の拡大−

        第一種電気通信事業者は自ら設備を保有しサービスを提供する事業者であるため、業務委託は限定的なケースしか認められていない。しかしながら、上記2で述べたように同条項をより弾力的に運用し、受託者の範囲を拡大することにより新たに設備を設置することが困難な地域通信市場、とりわけ加入者回線においてもサービス面での競争を促進することが容易となる。また、現在、受託者は原則として第一種電気通信事業者とされているが、これもCATV事業者等に拡大すれば、多様なネットワークを経済的に構築することが可能となり、競争の進展に寄与するものと考えられる。

      5. 料金・約款認可制(事業法第31条)
        −届出制への緩和、プライスキャップ制の導入−

        高度情報通信ネットワーク社会の実現に向けて、技術革新等による新たなサービスの円滑な導入、情報通信の一層の利用を促す柔軟な料金設定を可能にする必要があり、また、事業者の自主性尊重、経営の効率化、行政事務の簡素化等を図る観点から、NTT以外の事業者については、国民経済、国民生活に係わりの深い基本的なサービスは届出制とし、その他の競争状況下にあるサービスは規制を撤廃すべきである。NTTについては、上記1(3)で述べたようにプライスキャップ制を導入し、同制度の下に置かれない競争状況下にあるサービスは基本的に他事業者の場合と同等の扱いとすべきである。

        なお、同制度の導入・改定にあたっては、同一のプライスキャップ下に置かれるサービス・料金の種類(範囲が広くなれば、当該企業による料金設定の自由度が高まる)、生産性向上の期待値(値が大きくなれば、当該企業に求める経営効率化の内容が厳しくなる)を、以下の点に十分配慮して決定する必要がある。その際、基本的には、十分な競争状況下にあるサービスの料金は市場メカニズムに委ね、国民経済、国民生活に係わりの深い基本的なサービスであって競争が不十分なものをプライスキャップ下に置くべきである。また、例えば基本料金等独占状態にあるものについてはサブ・キャップを設けることとすれば、独占部門においても経営効率化のインセンティブが働くとともに、安易な料金値上げを防止することができる。

        (配慮すべき事項)

        • 経営効率化のインセンティブを与えること。
        • 内部相互補助を抑制すること。
        • 安易な料金リバランシングにつながらないようにすること。
        • 料金の引下げを妨げないようにすること。

      6. 相互接続に係わる規程(事業法第38条、39条)
        −新たな法定・ルール化−

        上記1に示したように新たに相互接続の義務づけを含めた法定・ルール化を行うべきである。

      7. 外資規制(事業法第11条)
        −緩和に向けた見直し−

        WTOにおいて基本サービスの自由化に向けて交渉が行われており、来春にはその結論が出る予定である。また、現在、米国議会で審議に付されている通信法改正法案には、諸外国の市場開放を狙いとして相互主義に基づき米国の外資規制を撤廃する旨の条項が含まれている。さらに、第二種電気通信事業者による電話サービスの提供が可能となることを契機に、わが国市場に外国通信事業者がより積極的に進出を図る可能性が高まっている。このような情勢に鑑み、外国通信事業者によるより自由な事業展開が可能となるよう、あくまでも最恵国待遇を原則として、現在、1/3未満とされている外資規制の緩和に向けた見直しが必要である。その際、安全保障上の問題に十分配慮する必要がある。なお、わが国通信事業者の海外でのより自由な事業展開のためには、諸外国に対してもWTO等の多国間交渉の場において基準の明確化、審査手続きの迅速化を含む規制の緩和を求めていくべきである。

      8. 事業者区分(事業法第6条)
        −第一種・第二種という区分の見直し−

        国内通信においては、公専公接続の解禁により第一種電気通信事業者と第二種電気通信事業者が異なる規制の下で同様のサービスを提供することとなる。また、国際通信においても、第二種電気通信事業者による基本音声サービスの提供が可能となり国内通信と同様の問題が生じる。さらに、将来的には、技術革新に伴い第一種事業者のサービスは一層高度化し、第二種事業者との境界はますます曖昧になることが予想される。したがって、設備を保有しているか否かを基準として事業者を区分している現行制度に代わり、提供するサービスの内容〔例えば国民経済、国民生活に係わりの深いサービスとそれ以外〕により規制の態様を切り分けるなど、設備を保有するか否かは事業者の判断に委ねることを検討すべきである。そうすることにより、事業者は事業戦略上最も望ましい形でネットワークを構成し、市場ニーズに迅速に対応したサービスを提供することが可能となる。また、新規参入が容易になることで競争が一層促進され、市場の活性化にもつながる。

    3. NTT法の見直し(競争の進展に伴い将来は廃止)
    4. 10年前の改革の精神に立ち返れば、NTTをいつまでも特殊法人として位置づけることは適当でない。むしろ、民間会社として自主的な経営を可能とし市場原理に基づく競争の中で経営効率化等を促すことが重要である。したがって、NTT法については、ユニバーサル・サービスの確保等のため、直ちに撤廃はできないが、経営の自主性の確保等の観点から、以下の見直しを行うべきであり、競争の進展に伴い将来は廃止すべきである。ただし、その際、ユニバーサル・サービスについては、別途担保する必要がある。

      【見直すべき事項】

      1. 取締役・監査役選任等決議認可制(NTT法第9条)
        経営の自主性を確保する観点から、撤廃すべきである。
      2. 事業計画認可制(NTT法第11条)
        上記 1.と同様の理由から、撤廃すべきである。
      3. 外資規制(NTT法第4条の2)
        上記(1) 7 と合わせて見直すべきである。

      なお、目的達成業務認可制(NTT法第1条)に関連して、アプリケーションやコンテンツは、ベンチャー企業をはじめ多様な事業者が参入し、創意工夫を発揮することが期待される分野であることから、それら分野へのNTTの事業展開にあたっては、公正競争が実質的に確保されるよう十分留意する必要がある。したがって、ネットワークの構築上不可欠と認められるものを除くアプリケーションの開発、ならびにコンテンツ分野への進出については、分離子会社によることとするなど公正競争を確保するための条件を明確にすべきである。

    5. KDD法の廃止
    6. 国際通信市場におけるKDDのシェアの現状、および上記(1) 1 で述べた国際・国内の市場区分の撤廃により、国際通信市場においては競争が一層促進されると考えられること等から、KDDは特殊法人ではなく、民間会社として位置づけることが適当であると考えられる。したがって、KDD法は廃止すべきである。

    7. ルール策定・監視機能の強化等
    8. 既に述べたように85年の改革以降10年を振り返ってみると、諸規制およびその運用を含む競争の枠組みに大いに問題があったと言わざるを得ない。上記1、2ならびに3(1)〜(3)では、そのような問題意識から望ましい競争の枠組みについて述べてきたが、その実行にあたっては、これまでの通信行政の抜本的な見直しが必要である。また、新たな枠組みは法律によって明確に規定されるべきであり、それを補完するためのルールは透明で公開された手続きを経て中立的な立場から決定される必要がある。さらに、新たに構築された枠組みの下での競争の進展状況ならびに既に述べた各ルールの遵守状況は中立的な立場から監視され、何らかの強制力をもって、それらの推進が担保されなければならない。そのためには、ルール策定・監視機能を強化することが不可欠である。その際、従前の通信行政からルール策定・監視機能を切り離し、行政組織の肥大化につながらぬよう配意しつつ、これを担う独立した透明性のある機関を設置することも十分検討に値する。

  4. 研究開発のあり方
  5. 研究開発は競争の枠組みにかかわらず、国をあげて取り組むべきものであるが、そのあり方は、わが国情報通信産業の国際競争力に重要な影響をもたらすと考えられるだけに、以下に基本的な考え方を示すこととする。

    デファクト標準を含む国際標準化において、わが国が主導性を発揮し、わが国における標準が世界の標準となるためには、主要通信事業者が研究開発の開始当初から国内外の通信事業者ならびに通信機器メーカー等との連携を進める必要がある。また、その成果の合理的価格によるオープン化、普及の促進が必要である。

    新たなアプリケーションの開発に向け多様な事業者間連携を進める上でベンチャー企業に対する期待は大きい。したがって、独創的なベンチャー企業を支援する仕組みを充実する必要がある。また、多大な投資と研究開発を要するネットワーク・インフラの高度化については、通信事業者が先行的に投資を行っていくことが肝要である。

    基礎研究については、当面、通信事業者ならびに通信機器メーカー等の民間部門に頼らざるを得ないが、新社会資本を整備する観点から、硬直的な予算配分を抜本的に見直し、国公立研究機関・大学が主要な役割を担うことができるような環境を整備することが重要である。一方、実用化研究については、事業に直結した形で行われることが不可欠である。


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