経済統計の整備に関する報告書
その他の経済統計の改善策
本文では政府が優先的に取り組むべき経済統計の改善策を示したが、さらに以下の統計についても今後見直しを図っていく必要がある。
- 鉱工業生産指数(通産省)
- 問題点
- 本指数の速報において、出荷の国内、輸出別の内訳が不明であり、出荷のより詳細な分析が困難となっている。
- 改善策
- 出荷については国内、輸出別の内訳を公表する。
*なお、鉱工業生産指数のもととなる生産動態統計については、(1)電子計算機の在庫統計の整備、(2)半導体製造装置、液晶製造装置等を調査対象に加える等、適時見直しを実施する。
- 製造工業生産予測指数(通産省)
- 問題点
- 機械、化学などの主要業種についての内訳(例えば、輸送機械、一般機械別)が不明である。また、鉱工業生産指数(530品目) に比べ、生産予測指数の採用品目(141品目) が少ないため、生産動向の的確な予測が困難となっている。
- 改善策
- 機械、化学工業の内訳を特掲する。
- 調査対象を拡充する。
- 法人企業統計(大蔵省)
- 問題点
- 資本金1億円未満の企業の抽出率が低く、中堅・中小企業に関するデータが不安定であるため、毎年4月のサンプル替えの際、調査結果に連続性が損なわれており、統計の利用価値を高める観点から見直しが必要である。
- 改善策
- 調査結果の連続性を高める。
- 資本金1億円未満の企業の抽出率を引き上げる。
- 商業動態統計(通産省)
- 問題点
- 消費形態の多様化のなかで、ディスカウントストア、コンビニエンスストア等新型店舗のデータが別途集計されておらず、大型小売店についても、客数、数量、単価、外商販売などが不明である。また、成長分野とみられる通信販売が調査対象に加えられていない。
サンプルの固定期間が長いため、多様化する商業の実態的確にとらえきれていない。
- 改善策
- ディスカウントストア、コンビニエンスストア等新型店舗のデータも特掲で公表する。大型小売店については、客数、数量、単価、外商販売額等の調査項目を整備し、その結果を公表する。
- 通信販売を調査対象に加える。
- サンプルの固定期間を現行調査の3年から1〜2年程度に短縮する。
- 第3次産業活動指数(通産省)
- 問題点
- 月次データが四半期毎に公表されるなど公表が遅い他、第3次産業関連統計の不備により、統計の精度の面で問題がある。
- 改善策
- 毎月、月次データを公表する。
- 教育・娯楽産業など本指数作成のための各種統計の拡充を図り、本指数の精度を高める。
- 卸売物価指数(日本銀行)
- 問題点
- 消費者物価指数と同様に価格破壊が進むわが国の物価動向を的確に捉えきれていないとの指摘がある。
- 改善策
- 今後とも、建値でなく実勢ベースの価格調査の割合を高める。
- 機械受注統計(経済企画庁)
- 問題点
- 機種分類が中分類であるため、詳細な分析が困難となっている。
- 改善策
- 小分類に細分化する(重要製品のみ内訳を開示することも考えられる)。
例、
- 運搬機械につき、クレーン、エレベータ、エスカレータに区分する。
- 電子応用装置につき、PC(パーソナル・コンピュータ)とWS(ワーキング・ステーション)の内訳を示す。
- 金属加工機械につき内訳を示す。
- 国民経済計算年報(経済企画庁)
- 問題点
- 製造業については食料品、繊維、電気機械など13業種の生産額等が掲載されているが、サービス業の分類の細分化が不十分である。
- 改善策
- サービス業に関して分類を細分化(医療・福祉、教育、余暇・生活、企業活動支援関連等)する。
- 新規統計の整備
- 問題点
- 経済情勢を判断する上で最近ますます重要性が高まっている情報関連投資の動向(例えば、米国ではGDP統計の設備投資の内訳の中で、情報関連投資の金額が開示されている)やオフィス・ビルに関する統計が整備されていない。
- 改善策
- 企業の情報関連投資及びオフィス・ビル(棟数、床面積、空室率)に関する統計を整備する。
- 季節調整法の改良
GDP統計速報など経済統計の季節調整値は四半期毎若しくは月毎に振れるという問題があり、季節調整法の見直しを検討する必要がある。
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