創造的な人材の育成に向けて
〜求められる教育改革と企業の行動〜

参考資料

創造的な人材の育成に関するアンケート調査結果概要


経団連「創造的な人材の育成に関する懇談会」では、提言のとりまとめの参考とするため、(1)経団連会員企業(95年10月)、(2)会社員個人(経済広報センターが実施、同10月)、(3)海外在住の日本人(同10月)を対象にアンケート調査を実施した。同時に、さくら総合研究所でも大学生・大学教員を対象(同6月)にアンケート調査を実施した。以下はその概要である。

  1. 経団連会員企業向けアンケート
  2. 調査対象:
    経団連法人会員 968社。うち 501社が回答。回答率は約52%

    概  要:
    1. 企業の発展・存立にとって創造的人材の必要性
      非常に重要 90.6%
      ある程度重要 9.4%

    2. 創造的人材が重要である業務分野(複数回答)
      新規事業展開60.8%
      経営企画 56.6%
      研究開発 56.0%
      商品企画 55.8%
      営業 32.5%
      人事・教育 19.4%
      海外展開 7.9%
      財務・経理 2.0%
      その他 2.0%

    3. 人材の採用(択一回答)
      • 卒業生を採用する大学の数(年間)
        (本設問は年間に50名以上を採用する企業174社にのみ質問)
        30校未満 18.4%
        30校以上 50校未満47.7%
        50校以上100校未満26.4%
        100校以上 7.5%

      • 採用の際に重視する事柄(複数回答)
        熱意・意欲 86.7%
        人柄・協調性 57.3%
        創造性 40.7%
        専門知識・研究内容 34.9%
        個性 31.0%
        学生時代力を入れたこと16.7%
        実戦知識・実務能力 11.3%
        学校の成績 6.5%
        出身学校 5.0%
        その他 2.8%

      • 学校名不問の採用(採用時に学校名を聞かない)
        導入 7.5%
        検討中・予定27.9%
        検討予定なし64.6%

      • 職種別採用
        導入 26.9%
        研究職のみ 12.0%
        検討中・予定22.1%
        検討予定なし39.0%

      • 採用時期の多様化
        導入 13.4%
        (通年採用) 11.4%
        (秋期採用) 2.0%
        検討中 32.3%
        検討予定なし52.2%

    4. 企業内の人事システム(択一回答)
      • 出身大学の社内評価(昇進・処遇)に与える影響
        評価の要素とならない94.0%
        評価の参考要素となる 5.6%

      • 専門職制度
        導入 31.7%
        検討中・予定54.1%
        予定なし 30.9%

      • 年俸制
        導入 15.0%
        検討中・予定54.1%
        予定なし 30.9%

    5. 企業と家庭教育とのかかわりについて
      • 従業員が家庭教育に参加できないことに対する企業の責任(択一回答)
        企業にも責任あり16.6%
        個人の責任 40.5%
        わからない 42.9%

      • 従業員の家庭教育に対する企業として配慮すべき点(複数回答)
        従業員の休暇取得促進 52.2%
        労働時間短縮 47.4%
        転勤時期の配慮 33.6%
        フレックスタイム制導入21.5%
        配慮は不要 9.5%
        親の職場見学 8.9%
        その他 4.9%

  3. 会社員向けアンケート(経済広報センターが実施)
  4. 調査対象:
    会社員3257名。うち 666名が回答。回答率は約20%。

    概  要:
    1. 学校教育
      • 現在の学校教育は創造的人材を育成できる教育か(択一回答)
        全くそう思う 2.3%
        まあ思う 6.2%
        あまりそう思わない63.7%
        全く思わない 27.6%

      • 日本の学校教育が画一的な教育である根本的な原因(複数回答)
        入学試験のための勉強 73.3%
        大学入試が知識偏重 49.8%
        教師、教授の能力・意識 45.0%
        家庭・地域の教育力不足 41.6%
        学校が閉鎖的 33.0%
        企業で個性・創造性が活かされない30.8%
        企業の大学名重視の採用 29.1%
        学習科目が多い 28.4%
        同じ年齢の子供に同じ内容を強制 27.9%
        大企業に入社した方が得 16.7%
        教師、教授の仕事が多く待遇も悪い11.7%
        その他 11.7%

    2. 企業内教育について
      • 企業には創造的人材を育成する環境・制度があるか(択一回答)
        十分ある 5.3%
        ある程度ある42.3%
        あまりない 35.6%
        ほとんどない15.5%

      • 企業で自分の個性や創造性を発揮できているか(択一回答)
        全くそう思う 6.3%
        まあそう思う 51.7%
        あまりそう思わない35.3%
        全くそう思わない 5.7%

    3. 家庭教育について
      • 会社員が家庭教育に関わりにくい理由(複数回答)
        残業や早番が多い 52.9%
        配偶者等の家族がする46.5%
        教育は学校が行うべき35.7%
        休暇が自由にとれない32.4%
        家では休みたい 32.1%
        教育に自信がない 28.8%
        単身赴任がある 23.7%
        教育に関心がない 22.7%
        学習内容が難しい 9.0%
        放任主義が良い 8.9%
        その他 8.7%

  • 海外向けアンケート
  • 調査対象:
    海外の日本人商工会関係者 202名が回答。
    対象地内訳は、米国(ニューヨーク、ロサンゼルス)、欧州(ロンドン、デュッセルドルフ、パリ)、アジア(ジャカルタ、マニラ、バンコク、シンガポール)

    概  要:
    1. 現地の教育と比べて日本の教育は画一的か(択一回答)
      そう思う 84%
      どちらとも言えない10%
      そう思わない 6%

    2. 日本の教育が画一的である理由(複数回答)
      受験を目的とした教育 79%
      異質を嫌う風土 59%
      教育制度の硬直化 54%
      企業の採用の有名大学指向38%
      家庭・地域の教育力の低下20%
      その他 22%

    3. 現地と比べて日本の親(サラリーマン)は家庭教育の参加が少ないか(択一回答)
      そう思う 70%
      どちらとも言えない16%
      そう思わない 14%

    4. 日本の親(サラリーマン)の家庭教育への参加が少ない理由(複数回答)
      労働時間が長い 56%
      親の意識 33%
      学校に期待しすぎる 31%
      周囲の雰囲気に影響される11%
      その他 37%

  • 大学生・大学教育向けアンケート(さくら総合研究所が実施)
  • 調査対象:
    大学生1000名、うち 367名が回答。大学教員1000名、うち 489名が回答。

    概  要:
    1. 大学教育に対する問題意識(択一回答)
      大学生大学教員
      非常に良い 0.8%
      問題ない 15.5% 1.8%
      改善が必要 70.3%72.8%
      全面的改善が必要13.4%25.4%

    2. 大学教育の改善に必要なこと(複数回答)
      • 大学生
        専門教育の充実 48.2%
        カリキュラムの弾力化─単位互換制度等40.7%
        環境・施設の改善 37.1%
        学生の意見を取り入れる機会の拡充 35.5%
        講義内容の充実─外部講師の受入れ等 30.9%
        入試選抜方法の改善 18.6%
        一般教養の充実 13.0%
        奨学制度の充実 6.2%
        その他 14.3%

      • 大学教員
        大学院教育の充実 54.6%
        大学間単位互換制度の拡大 42.7%
        教育費に対する税制上の所得控除の拡大37.1%
        生涯学習体系の充実 30.6%
        大学設置基準等の諸規制の緩和 29.8%
        留学生受入れ体制の整備 20.8%
        秋期入学制度の拡大 10.4%
        その他 16.9%

    3. 大学の授業の改善に必要なこと(複数回答)
      大学生大学教員
      マンモス教室での講義改善 39.4%36.9%
      授業内容の毎年の改善 36.5%41.5%
      学生による講義評価システムの導入 46.3%24.0%
      第三者機関による講義評価システムの導入17.9%14.0%
      学生に考えさせ参加させる授業の工夫 55.0%71.9%
      教官の研究志向の姿勢を
      教育も重視するように改める
      35.6%
      単位授受の厳格化 19.9%27.7%
      公開講座の拡充 11.7%
      その他 4.6%10.2%

    4. これからの大学教育に求められるもの(大学教員のみ対象:複数回答)
      問題解決力ある人材育成89.8%
      意思表示能力の育成 61.8%
      個性・創造性の養成 49.7%
      専門分野知識の養成 43.6%
      外国語能力の育成 21.9%
      一般教養知識の教授 12.9%
      その他 3.7%

    5. 大学が企業に求めるもの(大学教員のみを対象:複数回答)
      幅広い大学から人材の採用55.8%
      人材・情報交流 42.5%
      研究活動等への資金援助 40.1%
      奨学金等の援助 38.9%
      共同研究の活発化 35.2%
      通年採用 16.6%
      その他 7.2%

    6. 大学入試に対する問題意識(択一回答)
      大学生大学教員
      非常に良い 0.2%
      特に問題ない 39.8%17.8%
      改善が必要 48.0%48.0%
      全面改善が必要11.4%11.4%

    7. 入試改善のために必要なこと(複数回答)
      大学生大学教員
      面接の評価ウェイトを上げる 39.9%32.1%
      小論文の評価ウェイトを上げる 28.9%32.1%
      私立大学への分離・分割方式導入による
      受験機会の複数化
      26.1%21.8%
      内申書のウェイトを上げる 20.2%17.5%
      後期試験入学枠の拡大 17.4%13.8%
      1つの高校から特定大学への入学者数に
      上限枠を設ける
      13.8%12.3%
      推薦入学枠の拡大 13.3%25.6%
      その他 22.9%35.3%


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