国際熱核融合実験炉(ITER)の日本誘致実現を求める

1995年9月19日
(社)経済団体連合会


  1. 現在、米国、EU、ロシアおよび日本の四極の協力により、人類の恒久的エネルギー源として期待されている核融合開発の研究が進められております。核融合の燃料である重水素は海水中に豊富に含まれており、これが実用化されれば、人類は安全性の高いエネルギー源を確保することになります。

  2. 米国、EU、ロシア、日本は現在、国際核融合研究の新たなステージとして実験炉(ITER)の工学設計・建設プロジェクトに共同で取り組んでおります。これは先駆的な国際協力の枠組みの中で進められているものであり、わが国もその成功に向け重要な役割を果していくことが求められております。

  3. このような国際協力の下に、1998年にも建設が開始される予定の実験炉を誘致し、その研究開発のイニシアティブをとることは、21世紀に向けたわが国の先端技術研究の重要な基礎となるばかりか、世界の科学技術の発展のため、国際的に求められている責務を果たすことにもつながります。またITERの日本誘致による核融合研究の促進は、急速に経済発展が進むアジア諸国の科学技術を振興するとともに、懸念されるアジアの環境・エネルギー問題に対して一つの解決策を示すことにもなりましょう。

  4. そこで経団連は、国際熱核融合実験炉建設計画を実現し、併せて日本への誘致を図るべく、国をあげた取り組みをお願いしたいと存じます。いうまでもなく、ITER関連の施設ならびに研究成果は、四極が共有するものでありますが、わが国における研究開発基盤の充実という観点からみれば、公共投資基本計画において位置づけられるべき重要な社会資本の一つであると考えられます。必要な財源措置を含め、関係各位の英断を期待するものであります。

  5. なお日本誘致に当たっては、広大な土地を有し、新たな資源・エネルギー・環境関連の研究開発拠点として、将来発展が期待されているむつ小川原工業基地や苫小牧東部工業基地などがそれぞれ有力候補の一つとして考えられます。経済界も自ら、ITER研究の支援体制の強化や未来技術の研究タウンにふさわしい都市基盤の整備など、誘致に向けた各種の環境整備に協力する所存であります。

以  上


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