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APECの発展に向けて
−活動の効率化、集中化と民間の積極的参加の場を−

提言「APECの発展に向けて」の中にでてくる用語説明

1997年9月16日
(社)経済団体連合会


BIAC

BIAC(The Business and Industry Advisory Committee to the OECD)は、先進各国が重要な経済・社会問題について民間経済界の意見を取りまとめ、OECDならびに加盟国政府に対して提言を行う機関として1962年3月に設立された。BIACには、OECD加盟国の代表的民間経済団体が加盟しており、経団連もメンバーになっている。労働組合の立場から提言を行うTUAC(The Trade Union Advisory Committee to the OECD)がある。

(経団連資料より)

WTO・TRIPS協定

GATT/ウルグアイラウンドの7年にわたる交渉の結果、94年4月の閣僚会合で署名され、95年1月1日に発効した。この協定では、パリ条約、ベルヌ条約等の既存の国際条約を越える知的所有権の保護水準が義務づけられており、先進国・途上国を問わず知的所有権の幅広い分野における最低限の規範を明確にし、権利行使に関する最低限の基準を定めている。また、最恵国待遇義務により二国間交渉の成果が各国に均霑され、保護水準が国際的に向上するとともに、紛争についても、統一的な紛争処置手続を適用することが可能となる。先進国については96年1月から履行義務が生じており、途上国については2000年、後発途上国については2006年まで履行が猶予されている。

(特許庁資料より)

出願公開制度

出願公開制度は、審査の遅延により、出願された発明の内容が長期間公開されないことが企業活動を不安定にし、重複研究、重複投資、紛争の増加を招いているという弊害を除去することを目的としており、出願後一定期間(日本の場合は1年6ヵ月)を経過した時は、特許出願の内容を公開するという制度である。出願公開により、以下の効果が生じることになる。

  1. 補償金請求権が発生する、
  2. 拡大された先願の地位が得られる、
  3. 優先審査の申出をすることができる、
  4. 第三者による情報の提供ができることになる、
  5. 第三者の証明等の請求ができることになる。
(特許庁資料より)

先発明主義・先願主義

最先に発明した者に登録が認められるのが先発明主義。最先に出願した者に登録が認められるのが先願主義である。先願主義では、誰が先に出願をしたのが容易に認定でき、かつ明確であるために権利が安定するという長所がある。これに対して、先発明主義では、誰が先に発明したのかの立証が容易でないため、権利が不安定となる。

(特許庁資料より)

ディスカバリー(証拠開示)制度

訴訟におけるディスカバリーは、当事者が相手方または第三者に対して事実または証拠の開示を求めることである。
米法では、事件の公判審理に際して、相手方が提出できるあらゆる証拠を開示させることを各訴訟当事者に許している。
米国ではこのディスカバリー手続があるために、特許侵害事件について証拠の入手が世界のどの国よりもはるかに容易である。したがって、特許侵害訴訟を開始する場合には、相手方が特許を侵害していると信じるに足る情報と証拠があればよく、それ以上のものは要求されない。侵害についての確実な証拠は、訴訟を提起した後、ディスカバリー手続により合法的に容易に入手することができる。

(『米国特許実務用語辞典AIPPI JAPAN』より)

PCT(Patent Cooperation Treaty、特許協力条約)

従来の各国特許制度の下では、発明者は1つの発明について複数の国で保護を受けようとすれば、各国別に異なる言語による手続によって出願をしなければならず、各国の特許庁は、こうしてなされた同一の内容の出願を個別に審査し、権利を付与する。このような労力の重複を軽減させる目的でPCTは締結された。
PCTに基づく国際出願制度は以下の通り。

  1. 日本語又は英語で日本国特許庁へ国際出願をすることによって、指定した複数の国(指定国)へ同時に外国出願したのと同様の効果が与えられる。この点がPCTの最大のメリットである。
  2. 受理された国際出願については、先行技術の有無についての国際調査が行われ、その調査結果は出願人の発明の事前評価及び各国特許庁の審査に活用される。なお、この調査結果は国際出願内容とともに国際公開される。
(『平成9年度 特許庁広報』より)

マドリッド・プロトコル

マドリッド・プロトコルは、締約国の一国(以下「本国」という)に国際登録又は出願されている標章について、WIPO(世界知的所有権機関)の国際事務局に本国経由で国際出願(方式等に瑕疵がない場合直ちに国際登録される)し、保護を求める指定国を明示することにより、その指定国が保護を拒絶する旨の通告を一定期間(1年又は18ヵ月)内に国際事務局に行わない限り、国際登録した日をもってその指定国に直接出願・登録したものと同一の効果が発生するというものである。
そのため、単一の国際出願により複数の指定国に対して商標の登録の機会が与えられることから、国際的な事業展開上メリットがある。(改めて各指定国に翻訳文の提出及び手数料の支払い等が必要ない。)
しかし、制度の運営にあたりEUが欧州各国とは別に独自に一票を行使し得る点(いわゆる二重投票権問題)に反発して米国等が未参加のままである。日本も国際的環境が整った場合に速やかに加入することを念頭に置いて、所要の体制整備に着手している。

(特許庁資料より)

審査主義

日本や米国等は、知的所有権の登録にあたり、審査官によって登録要件を備えているか否かについて実体審査を行っている。このような制度が審査主義と呼ばれる。しかし、スペイン、イタリア、ベルギー、スイス(時計、織物に関するものを除く)、南アフリカ等では形式的な要件(いわゆる方式審査)のみを審査し、新規性、進歩性などの実体的な要件については審査せずに知的所有権を与えている。これらの国の制度は無審査主義と呼ばれ、その背後には、出願されたものを審査するのはあまり意味がないため、一応知的所有権を与えておいて、実際に紛争が発生した問題のある知的所有権だけを検討しいた方が合理的であるという考え方がある。すなわち、これらの国では知的所有権成立後に知的所有権を無効にするための訴訟を認めたり、権利侵害かどうかを争う訴訟の中で、その知的所有権が有効かどうかを一緒に判断するという仕組みになっている。

(竹田和彦著『特許がわかる12章』より)

新ヘーグアクト

ヘーグ協定(意匠の国際寄託に関するヘーグ協定)は、WIPOの国際事務局に単一の寄託を行うことにより、多数の国で1つ又は複数の意匠の保護を確保することを目的としている。現在は主要なアクトとして、1934年アクト及び1960年アクトが存在する。
1960年アクトは、1934年アクトと比較して、出願人に国の指定を認めた点、指定国に国際登録の保護の効力の拒絶を認めた点が主に異なる。出願人は国内官庁を経由して間接的に国際事務局に寄託することも可能である。
1960年アクトの下では、拒絶通告期間が6ヵ月と短いため、日本とはじめとする審査主義国の加盟が進んでいない。そのため、日本、米国、英国、スウェーデン等の審査主義国の加盟を促進し、広域化を図ることなどを目的として、新ヘーグアクト草案起草のための作業が91年以降進められている。

(『平成9年度 特許庁広報』より)

以 上


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