流通分野における一層の規制緩和を要望する・各 論

1.国による規制の緩和要望

酒類販売関係


(1)−1 酒類小売業免許の需給調整要件の速やかな廃止

要望事項

酒類小売業免許に係る距離基準、人口基準の需給調整要件を速やかに廃止すべきである。また、距離条件の撤廃にあたっては、同一税務署管内の移転については、届出で済むことと、同一店舗内の販売場所の移動については、届出が不要であることを明らかにすべきである。
なお、あわせて添付書類についても抜本的に見直すべきである。

要望理由

酒類小売業免許については、免許の可否の判断にあたって、人的要件の他に酒類の需給の均衡を維持する観点から人口基準と距離基準による審査が行なわれている。
政府の新規制緩和推進計画(98年3月31日)において、「需給調整規制については、撤廃の方向で見直す」こととされている。特に、酒類小売業免許については、人口基準を98年9月から段階的に緩和し、2003年9月1日をもって廃止し、距離基準を2000年9月1日をもって廃止することとしている。
需給調整は消費者の利便性を損なうものである上、モータリゼーションの発展等により、税務署管内における需給調整は有効性を失っている。
【参考】中央酒類審議会基本問題部会報告書「酒販免許制度の在り方について」(97年6月13日)

所管官庁

国税庁 課税部 酒税課

規制の根拠となる関係法令等

酒税法 第9条、第10条 第11号
酒類販売業免許等取扱要領 第2章 酒類小売業免許

(1)−2 大型店舗酒類小売業免許に関する規制緩和

要望事項

大型店舗酒類小売業免許の面積要件を少なくとも大店法においておそれの有無の判断基準となっている1,000m2に引き下げるとともに、開店時に全酒類の販売免許を付与すべきである。「店頭での販売のみに限る」等の販売方法や広告に関する制限をなくすべきである。

要望理由

店舗面積1万m2以上の大型小売店舗に対して、店舗面積1万m2当たりにつき、1件の酒類小売業免許(大型店舗酒類小売業免許)が付与されるが、当初3年間については、国産ビール、通常の清酒が販売できない。さらに、免許の条件として、税務署長によって広告や販売方法の制限が課されることが多い。
大型店舗酒類小売業免許の付与基準を1万m2以上に限定する合理的根拠は何ら認められない。また、開店時の販売品目の制限は、消費者利便を損なうこととなっている。消費者のニーズに応じて配達を行なったり、広告したりすることも、企業の販売努力の一環として認められるべきである。

所管官庁

国税庁 課税部 酒税課

規制の根拠となる関係法令等

酒税法 第11条
酒類販売業免許等取扱要領 第2章 第4大型店舗酒類小売業免許

(2) 酒類卸売業免許に関する附款の廃止

要望事項

酒類卸売業免許について、酒類に関する附款を速やかに廃止すべきである。

要望理由

酒類販売業免許取扱要領第3章で、酒類卸売業免許を細分化し、それぞれに取扱うことのできる酒類を限定している。例えば、輸入酒類卸売免許を有していても、国産酒類の取扱が認められていない。
品揃えの多様化によって卸の経営体質強化を図り、もって酒類流通業の健全な発展につなげるという観点から、酒類に関する附款の速やかな廃止が必要である。

所管官庁

国税庁 課税部 酒税課

規制の根拠となる関係法令等

酒税法 第11条
酒類販売業免許等取扱要領 第3章 酒類卸売業免許

(3) 期限付き酒類小売免許の取扱の統一化及び申請手続の簡素化

要望事項

  1. 免許期限の終了日から次の免許を申請するまでに置くべきとされている期間の統一。
  2. 開設予定日から起算して、申請日までに置くべきとされる期間の統一。
  3. 期限付き酒類小売業免許の取得に際して、年度の最初の免許申請時に、年度内開催分についてまとめて許可申請を行うことを可能とすべきである。

要望理由

  1. 税務署の裁量により、不必要に長い期間設定がなされている事例があり、事業者に過度の負担を生じさせ、ひいては消費者利益を損なっている。
  2. 標準処理期間(最長2ヶ月)が守られていない例が見られる。
  3. 期限付き酒類小売業免許の取得について、毎回申請しなければならない理由が乏しい。申請者の負担軽減を図るべきである。

所管官庁

国税庁 課税部 酒税課

規制の根拠となる関係法令等

酒税法 第9条 第2項
酒類販売業免許等取扱要領 第5章雑則 第10免許事務の処理期間

(4) 一般酒類小売業免許申請に際しての添付書類の簡素化・統一

要望事項

一般酒類小売業免許申請にあたって必要とされる添付書類の種類や内容を簡素化するとともに、取扱いを統一すべきである。

要望理由

税務署によって、提出する必要がないこととされている書類の添付を求められることが多い。税務署長が必要と認める書類は事業者に提出を求めてよいことになってはいるが、税務署によって運用がまちまちで、提出の必要性が薄弱である。
添付すべき書類について、出来るだけ簡素化の方向で統一化を図り、事業者・税務署双方の事務手続負担を軽減すべきである。

【具体例】
  • 所有資金を証明するための残高証明について、どれだけの残高が必要なのか明らかでない。100億円以上の残高証明を要求された例もある。
  • 直近3期分の事業報告ということで、1冊に10年分の事業報告が綴じ込まれているにもかかわらず、3冊の事業報告を提出させられた。
  • 既存販売業者が申請する場合に会社登記簿謄本、商業登記簿謄本、印鑑証明書、役員の履歴書等は、あらためて提出する必要はないとされているにもかかわらず、事実上、申請の際に、提出するよう求められている。
  • 新店の場合は、建築確認書と土地・建物の登記簿謄本(又は賃貸借契約書)を提出することになっているが、これに加えて、建築請負書、全フロアの図面および外観図、組織図、公図、建物・販売設備・家賃等に関する費用明細等の提出を求められている。

所管官庁

国税庁 課税部 酒税課

規制の根拠となる関係法令等

酒税法 第9条 第1項
酒税法施行令 第14条
酒類販売業免許等取扱要領 第2章 第3及び第4

(5) 酒税税率改定に伴う手持品課税追徴と減税分還付手続の簡素化

要望事項

税率改定時点での手持品課税および減税分払い戻しにかかわる申告については、税率改定日前後の課税あるいは減税の対象となる酒類の取引状況について記帳すべき期間を短縮するとともに、申告の書式を簡素化すべきである。
なお、貯蔵場所ごとの申告対象酒類別の所持量を明示することを前提に、法人単位でまとめて国税庁に提出できることも可能とすべきである。

要望理由

税率改定時点で手持品課税対象酒類(税率が引き上げられた酒類)を500リットル以上保有している酒類販売業者は、手持品課税の納税義務が課され、税率改定日をはさんで2週間程度の間、課税対象酒類の受入や販売の年月日や数量等について毎日記帳し、「貯蔵場所ごとに」、貯蔵場所の「所轄税務署」に対して納税に関わる申告書を提出しなければならない。また、税率改定によって税率が引き下げられた酒類について減税相当額の払い戻しを受けるためには、酒類販売業者は、課税の場合と同様の記帳義務が課される。
手持品課税や減税分払い戻しの手続は非常に煩雑であり、かつ一時期に大量の事務作業が必要となる。通常の営業を行なう上で、毎日の記帳が極めて過重な負担となっている。

所管官庁

国税庁 酒税課

規制の根拠となる関係法令等

酒税法 附則
酒税法の一部改正に伴う手持品課税の取扱いについて(97年7月8日 国税庁長官)
酒税法の一部改正に伴うウィスキー類等に係る酒税の減税相当額の調整措置について(97年7月8日 国税庁長官)


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