流通分野における一層の規制緩和を要望する・各 論

2.地方公共団体による規制の緩和要望

医薬品関係


(21) 医薬品一般販売業に対する上乗せ・横出し規制の撤廃

要望事項

地方公共団体によってまちまちな薬事法の上乗せ・横出し規制を撤廃すべきである。

要望理由

下記の例のように、医薬品の販売に際して、地方公共団体によって薬事法による規制に上乗せ・横出ししたまちまちの規制が課されている。規制の内容・程度が異なることについて合理性に乏しい。
薬事法の規制都道府県等の上乗せ・横出し規制
面積:約4坪以上(試験検査機関利用の場合)
  • 6坪以上(千葉県)
  • 天井の高さ2.1m以上(香川県)
対面販売設備:記載なし
  • 机や陳列ケース等、対面販売のための設備があること(福島県、兵庫県、京都府等)
居住場所、不潔な場所から区別されること
  • 二方向は壁とし、顧客が行き来できないようにすること(兵庫県、京都府)
非医薬品と区別して陳列すること
  • 顧客が直に手にとって触れることができないように陳列すること(兵庫県等)
  • 非医薬品と一緒に広告してはならない(兵庫県、三重県)
試験台設置:一般販売業は義務なし
  • 試験台の設置の義務づけ(長野県、宮城県等)

関係行政機関

都道府県あるいは政令指定都市の保健所

規制の根拠となる関係法令等

薬事法 第6条、第26条
薬局等構造設備規則 第2条

(22) 医薬品卸売一般販売業のうちサンプル卸について倉庫設置規制の緩和

要望事項

卸売一般販売業のうち、サンプル卸については、医薬品倉庫設置義務をなくし、ロッカー等でも保管できるようにすべきである。

要望理由

卸売一般販売業の構造設備については「医薬品を衛生的に、かつ、安全に保管するために必要な設備を有し、その面積はおおむね100平方メートル以上であること」とされているが、「医薬品を衛生的に、かつ安全に保管するのに支障がなく、かつやむを得ないと認められるときにはその限りではない」とされ、取扱量が小規模である場合、特定品目のみ取扱う卸の場合、製造業者の出張所等でサンプルのみを取扱う卸の場合には、この基準を満たさなくとも認められることになっている。
既に、一部の県(和歌山県、島根県、岡山県、広島県、山口県等)では、ロッカー等での保管が認められている。
サンプル卸で保管する医薬品のサンプルは、製剤見本として、色や剤形を見るためのものであり、患者が服用するためのものではないので、保管についてはロッカーで充分である。

関係行政機関

都道府県あるいは政令指定都市の保健所

規制の根拠となる関係法令等

薬事法 第26条
薬局等構造設備規則 第2条の2
薬事法の一部を改正する法律の施行について(局長通知)第二 2(2)

(23) 薬剤師会入会の事実上の義務づけの廃止

要望事項

医薬品一般販売業の新規開設申請の申請用紙の受領や提出について、薬剤師会入会を条件とするかのような窓口での指導を廃止すべきである。

要望理由

愛知県等においては、医薬品一般販売業の新規開設申請について、保健所によって、薬剤師会から申請用紙を受取り、薬剤師会宛ての用紙に記入し、保健所に提出することが求められる。中には、薬剤師会に入会せずに申請書を保健所の窓口に提出しようとしたところ、受取りを拒否された例もある。
その結果、薬剤師会入会をなかば義務づけられ、入会に伴い、入会金、年会費、協力金を納付することを求められている。

関係行政機関

都道府県あるいは政令指定都市の保健所

(24) 医薬品一般販売業及び卸売販売業の許可申請時の添付書類の統一

要望事項

許可申請の際には、法令において根拠のない添付書類の提出は不要である旨を徹底するとともに、提出しなければならない添付書類についても、その内容、様式を簡素化する方向で統一すべきである。

要望理由

許可申請の提出先の各都道府県により、申請にあたって添付を求められる書類の種類や添付書類の内容、種類、書式が異なっており、書類作成が煩雑になるため、申請者にとって過大な負担となっている。例えば、東京都、千葉県、愛知県、福岡県、熊本県、大分県等では店舗の所在地の案内図・見取り図、埼玉県では会社の組織図等が求められている。
なお、94年12月28日の薬務局長通知「薬局及び医薬品の販売業に関する規制の緩和について」の第二の五において「手続の迅速化を図る観点から、申請者に対し、店舗の所在地の案内図等、薬事法施行規則等の根拠に基づかない添付書類の提出を求めないものとすること」とされている。この点について、さらなる周知徹底が望まれる。

関係行政機関

都道府県あるいは政令指定都市の保健所

規制の根拠となる関係法令等

薬事法 第26条
薬事法施行規則 第29条(第1条を準用)

(25) 医薬品小売販売における薬歴管理のペーパーレス化

要望事項

薬剤師の管理する患者の薬剤服用歴(薬歴)のコンピュータ管理を認めるべきである。

要望理由

保険薬局の薬剤師は、行政指導の指針として定められた「薬局業務運営ガイドライン」によって、患者毎の薬歴管理を実施し、記録を保存するよう指導されている。
「薬局業務運営ガイドライン」では、「紙での保存義務」は規定されていないが、コンピュータによるデータ管理は認めても紙による保存を義務づける自治体もあり、大きな負担となっている。
なお、97年3月28日「規制緩和推進計画の再改定について」において「各種法律によって保存が義務づけられている書類について、帳簿等の電子データによる保存を認めるなど、諸制度の目的に配意しつつ、情報化に対応するための制度の見直しを図るべく検討を行う」こととされている。
コンピュータによる薬歴管理が認められれば、データの高速検索、配合禁忌等の確認、スペースの効率的利用等が可能になるものと期待される。

関係行政機関

都道府県あるいは政令指定都市の保健所

規制の根拠となる関係法令等

薬剤師法 第26条、第27条、第28条
薬剤師法施行規則 第15条
薬局業務運営ガイドラインについて(93年4月30日 局長通知)


日本語のホームページへ