流通分野における一層の規制緩和を要望する・各 論

2.地方公共団体による規制の緩和要望

食品販売関係


(26) 食品販売業の独自許可制度の廃止

要望事項

「食料品等販売業」という地方公共団体独自の営業許可制度を廃止すべきである。

要望理由

東京都、神奈川県、茨城県、埼玉県、長野県は、条例により、菓子や惣菜等の一般加工食品の販売のために独自の「食料品等販売業」許可制度を設けている。
食品衛生法に基づいて、既に必要な関連営業許可を有しており、食品衛生上、特に許可制にする必要が薄い一般加工食品等について、独自の許可制度を設けるべきではない。
また、福島県では、ふぐの調理・加工品等の販売にあたって、当該販売場ではふぐの調理・加工は行なわず、厚生省環境衛生局長通達「ふぐの衛生確保について」にしたがって適正に処理されたふぐ調理品等を販売するだけであっても、販売場ごとに専任のふぐ取扱者を1名以上置くこととしているが、他県では販売のみの場合は、ふぐ取扱者を置くことが義務づけられていない。

関係行政機関

都道府県あるいは政令指定都市の保健所

規制の根拠となる関係法令等

食品衛生法 第20条、第21条
食品衛生法施行令 第5条

(27) 営業許可業種の運用解釈基準の統一

要望事項

営業許可の種類ごとに、取扱うことができる食品の範囲及び一つの施設で複数の営業許可を受ける場合の施設兼用基準を明確化すべきである。

要望理由

食品衛生法に基づく営業施設の基準については、都道府県知事が定めることになっているが、都道府県毎の違いに加え、同一の都道府県内であっても、保健所や担当者によって解釈・運用が異なっている。例えば、持ち帰りの寿司・弁当を製造・販売するために、飲食店営業許可を受けている部門で、冷凍おはぎを解凍・包装して販売しようとした際、地域により、以下の3様の指示があった。

  1. 現状の飲食店営業許可でおはぎを扱ってよい。(例.京都 宇治)
  2. 現状の施設のまま、飲食店営業に加え、菓子製造業営業許可を取得しなければならない。(例.東京 立川)
  3. 現状の飲食店営業許可施設とは別に、区画され手洗い等を設置した菓子製造専用の作業施設をつくり、菓子製造業の許可を受けなければならない。(例.栃木 小山)
この例に限らず、食品衛生法に基づく営業許可の区分が明確でないために、保健所による構造設備基準の指導等もバラバラになっている。
衛生上問題のない限り、作業場所や設備を効率的に利用できる方向で、営業許可に関する運用・構造設備基準を標準化すべきである。

関係行政機関

都道府県及び政令指定都市の保健所

規制の根拠となる関係法令等

食品衛生法 第20条、第21条
食品衛生法施行令 第5条

(28) 食品衛生協会入会の事実上の義務づけの廃止

要望事項

食品衛生法上の営業許可申請に関連して、食品衛生協会の衛生指導員による事前審査を義務づけることによって、事実上、食品衛生協会への入会を義務づけることをやめるべきである。

要望理由

食品営業許可申請に際して、長野県や岐阜県の保健所では、保健所に対する申請の前に、県知事が任命した「食品衛生指導員」による申請書類や施設図面の確認及び施設完成後の検査等が必要となる。
例えば、長野県の食品営業許可申請の手続の流れは、

  1. 保健所による厨房図面確認、
  2. 衛生指導員による申請書・施設図面確認、
  3. 衛生指導員による施設検査(現場確認)、
  4. 衛生指導員による事前指導証明書の発行、
  5. 事前指導証明書を添付した上で申請書を保健所に提出、
  6. 保健所による施設検査、
  7. 許可、
となっている。
食品衛生協会に属する食品衛生指導員に対して現場確認と事前指導証明書発行のための来訪を依頼したところ、「食品衛生協会に入会しなければ事前指導は行わない」といって申請に必要な書類交付のための手続を拒否した例も見られる。

関係行政機関

都道府県及び政令指定都市の保健所

規制の根拠となる関係法令等

食品衛生法 第20条、第21条
各都道府県条例


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