「短期金融市場と円の国際化」関連資料

1. 短期金融市場とは


インターバンク市場 コール市場(有担保コール、無担保コール)
手形市場
ドル・コール市場
オープン市場 レポ(現金担保付き債券貸借取引)市場  (注)
債券現先市場
CD(譲渡性預金)市場
CP(コマーシャル・ペーパー)市場
TB(割引短期国債)市場
FB(政府短期証券)市場
(注)
租税特別措置法第8条により、金融機関等の受ける利子所得に対しては
源泉徴収が不適用となっており、現在レポ市場は事実上インターバンク市場と
なっている。今後、事業法人や非居住者に対する源泉徴収不適用の措置等の
税制改正が行なわれると真のオープン市場になっていくと言われている。

  1. 定義
  2. 償還期間が1年以下の金融資産を取引の対象としている市場

  3. インターバンク市場とオープン市場
  4. 各短期金融市場・歴史
  5. インターバンク市場

    1. コール市場:
      金融機関相互間の資金過不足を調整するための市場。1902年前後に自然発生的に成立し、昭和初頭に至るまで、無担保取引が主流となっていた。その後、1927年の金融恐慌時の反省から、有担保原則が確立され、1970年頃まで我が国のインターバンク市場の中心となった。1985年7月に無担保コール市場が創設され、その市場規模は拡大している。有担保コール市場と無担保コール市場とに分かれる。

    2. 手形市場:
      コール市場を補完して、やや長めの取引を扱う市場。1971年に、従来有担保コール市場において行なわれてきた期間2ヶ月以上のやや期間の長い取引を包摂する市場として、手形市場が創設された。近年では、手形割引・手形貸付形態での銀行借入が伸び悩んでいることに伴い、手形市場の取引規模は伸び悩んでいる。

    3. ドル・コール市場:
      外国為替公認銀行が日本国内において、ドルその他の外貨資金の無担保貸借取引を行う市場。1972年4月に為銀の短期的な外貨資金過不足を相互に調整するための場として創設された。

    オープン市場

    1. 債券現先市場:
      一定期間後に一定価格で買戻す(または売戻す)ことを予め当事者間で約定して行なう債券売買取引市場。我が国で最も歴史の古いオープン市場であり、戦後、証券会社の債券在庫ファイナンス手段として市場が形成された。1976年には大蔵省証券局長通達が発出され、取引ルール等が整備されたが、有価証券取引税の問題もあって、その後、短期金融市場に占める債券現先市場の地位は低下を続けている。

    2. CD市場:
      第三者に譲渡可能な短期の大口定期預金の市場。1979年5月に導入された。

    3. CP市場:
      事業法人が発行する短期・無担保の約束手形の市場。商取引の裏付けをもたずに発行され、特に優良と認められる事業法人等に発行体が限定されているという点で、一般の商業手形とは異なる。CPは、証券取引法上の有価証券の範疇に収められる。

    4. TB市場:
      割引短期国債(借換債)。1985年以降の国債の償還、借換えを円滑に行なうため導入された短期の借換え債であり、86年2月に第1回の発行が行なわれた。

    5. FB市場:
      短期の資金繰り債。現在発行されているのは、大蔵省証券(蔵券)、食糧証券(糧券)、外国為替資金証券(為券)の3種類。FBの歴史は古く、明治19年(1886年)7月に大蔵省証券が利付債の形式で発行されたのが最初で、1902年3月に割引債の形式に改められて現在に至っている。発行方式は1956年5月までは、全て日銀全額引受だったが、翌年から定率公募残額日本銀行引受方式に変わった。

    6. レポ市場:
      1996年4月から開始された現金担保付き債券貸借取引市場。つまり、現金を担保として債券を貸し借りする取引のことである。債券の貸出者は、担保として現金を受け取るため「債券の貸出者=資金調達者」、一方、債券の借入者は担保としての現金を差し出すため「債券の借入者=資金運用者」という図式になる。この取引において、担保に出された現金に対する金利を「付利金利」という。なお、米国におけるレポ取引は、「買い戻し条件付き債券売買」のことであり、日本における債券現先取引に近い。


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