次代を担う人材と情報リテラシー向上策のあり方に関する提言

I.今後の経済社会と情報リテラシーについて


  1. 今後の経済社会と求められる人材
  2. 今後、わが国は、「魅力ある日本」の創造に向けて、真に豊かで活力ある市民社会を構築するとともに、世界の平和と繁栄に貢献していく必要がある。個人は、グローバルな発想にたって行動し、職場において個性を活かしているほか、家庭、地域や共通の趣味・関心を有するグループなどの横型の共同体に主体的に参画し、また、国際的な交流をもちながら、家族や社会との絆、心のふれあい、自らの存在を実感していることが望ましい。企業は、グローバル化した大競争時代や急速な技術革新に対応して、自己責任と厳しい企業倫理の下で、個性的、創造的な活動を展開し、豊かな国民生活に資する商品・サービスの開発・提供を行うことが求められる。行政においても、国際的に調和のとれた制度づくり、政策運営を図るとともに、情報を適切に公開し、透明かつ効率的で利便性の高いサービスを提供していかなければならない。

    こうした経済社会の中で求められる人材は、経団連の1996年3月の提言「創造的な人材の育成に向けて〜求められる教育改革と企業の行動〜」の中で指摘されているように、主体的に行動し(いろいろな問題への対応に際して、知識として与えられた解決策を適用するのではなく、自由な発想により自力で解決する)、自己責任の観念(選択に伴う責任を引き受ける)に富んだ創造力あふれる人材である。

  3. 情報ネットワークの可能性と情報リテラシー
  4. 情報ネットワークは、これまで一部の専門家が扱う特定領域のものと位置付けられてきたが、パソコンの操作性の向上・低廉化に加え、インターネットの爆発的普及などを背景に、専門知識をもたない一般の人でも十分活用できるようになり、利用者の裾野が飛躍的に拡大した。

    インターネットに代表される情報ネットワークは、瞬時の情報伝達を可能とするため、時間、距離、組織等を越えて、いつでも、どこでも、どのような相手とも自由に情報交換、意思疎通や共同作業ができるようになる。その結果、コミュニケーションの範囲の拡大や心の通い合いが可能となる。情報ネットワークは、感情が込められた情報が交換されることによって、人間関係にふくらみをもたせ、心のこもったツールになりうる。また、情報共有、煩雑な手続きの簡略化等によって主体的に決断する機会が増えるとともに、創造的な活動が促進される。在宅勤務、サテライトオフィスでの勤務も、情報ネットワークを介して円滑に行えるようになる。

    こうした効果をもたらす情報ネットワークは、障害者の社会参加を含め、多彩な国民生活を可能とするとともに、企業活動の活性化、行政の効率化・高度化を実現する、経済社会に不可欠のインフラとなっている。したがって情報ネットワークを使いこなし、生活や企業活動、行政等に活用できる情報リテラシーは、一部の専門家の特殊技能ではなく、国民の基礎的な能力である。高度情報通信ネットワーク社会が花を咲かせるためには、国民全体の情報リテラシーの向上が急務である。


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