「親子会社法制等に関する問題点」に対するコメント

第2編 資産の評価に関する問題点


1(時価評価の必要性)

1 一定の資産について、時価による評価を認めるべきであるとの意見があるが、どうか。
(注)
  1. 「一定の資産」の範囲については、株式、社債その他の債券等が考えられるが、なお検討する。
  2. 一定の資産については時価による評価を認める旨の規定を設けた場合、どのような場合に時価による評価をしなければならないかは、公正な会計慣行を斟酌して判断される(商法第32条第2項)。
 「一定の資産」について、会計原則との整合性を図った上で、認めるべきである。
 なお、いわゆる持合株式に対する時価会計の導入は、株式持合の解消を加速させることとなるが、このことが、株式市場の需給関係を悪化させ、株式市場の長期低迷を招き、わが国経済の活性化を阻害することが懸念される。そこで、持合株式の交換制度(1998年8月5日付経団連提言「持合株式の交換制度に関する提言」参照)を導入することが必要である。

2(配当可能限度額との関係)

2 時価による評価による評価益から評価損を控除した額は、配当可能限度額(商法第290条第1項)の計算上、純資産額から控除すべきであるとの意見があるが、どうか。
(注)
 評価益から評価損を控除した額の具体的な取扱い(配当可能限度額の計算上、純資産額から直接控除する、評価益から評価損を控除した額を積み立てるための新たな法定準備金を創設する、資本準備金として積み立てる等)については、なお検討する。
 実現していない利益について配当可能利益とすることは、債権者を害する惧れが高く、認めるべきではない。
 評価損益については、新たな勘定を設けることを検討すべきである。


日本語のホームページへ