高度情報通信社会づくりのための緊急提言
― 情報通信ニューディール計画の策定と推進体制の整備 ―

高度情報通信社会推進に向けた基本方針見直しに関するアンケート結果骨子

1998年11月  経団連・産業本部
(回答企業115社・回答率60.5%)

【基本的考え】(上位4項目列挙)

  1. 高度情報通信社会に向け政府が重点的、優先的に取り組むべき分野
  2. (2項目選択 %)
    (1)料金低廉化、サービス多様化に向けた、情報通信分野
    における規制緩和・撤廃や公正競争条件の整備
    59.1
    (2)書面や対面でのやりとりを前提とした法制度の見直し48.7
    (3)低廉で大容量の情報通信インフラ整備への支援45.2
    (4)公的分野の情報化23.5

  3. 見直しを急ぐべき法律、制度
  4. (2項目選択 %)
    (1)保存義務づけ書類の電子データによる保存44.3
    (2)各種業法の見直し(書面交付や対面販売の義務づけ等)39.1
    (3)民法、商法等の見直し37.4
    (4)セキュリティ保護立法32.2

  5. 情報セキュリティ対策として国が取り組むべき事項
  6. (2項目選択 %)
    (1)不正アクセス対策のための法整備(罰則の導入等)87.8
    (2)セキュリティ技術の開発・普及42.6
    (3)コンピュータ・ウィルス対策のための法整備30.4
    (4)民間との協力体制の構築(ログ等の保存・提供等)18.3

  7. 公的分野の情報化を早急に推進すべき事項
  8. (複数回答 %)
    (1)申請・申告手続の電子化82.1
    (2)行政情報等の電子的手段による公開64.3
    (3)保存義務づけ書類の電子化59.8
    (4)ワンストップサービス、ノンストップサービスの実現33.9

  9. アウトソーシングの推進上解決すべき課題
  10. (複数回答 %)
    (1)守秘義務の明確化74.0
    (2)予算の単年度主義の見直し、複数年契約の導入53.4
    (3)システムの開発費の予算措置化28.8
    (4)その他5.5

【具体的指摘】

  1. 行政情報化に関する共通課題の解決
  2. 共通ICカードの開発、導入、ICカードリーダーの普及、電子文書の原本性、申請者等の認証、手数料等の納付 等

  3. 行政、国会、裁判所等の情報の原則ネットワークによる公開
  4. プライバシー・企業秘密に配慮した上での積極的な情報公開、白書、統計情報、予算書、行政組織、人事情報、各省庁のガイド、報道発表資料、法律、政令、省令、政省令検討情報、行政手続き(マニュアル、審査基準等を含む)、審議会の詳細議事録、各種登記関係書類、判例、裁判記録、法案審議関係資料・議事録、各種審議会・研究会報告書(過去のものも含む)、入札関係資料、公図、地籍図、地番図、都市計画図、電子基準点、公共施設等の緯度経度情報、標高、路線価、国勢調査、国勢調査の基本単位区、道路交通情報通信システムセンターの交通情報、有価証券報告書、日本貿易月表、工事実績情報、生産動態統計調査、事業所統計、各種データベースの仕様 等

  5. 申請・申告手続の電子化
  6. 印鑑証明の申請、商業登記、不動産登記関係書類、各種添付書類(地図を含む)、各種調査・アンケートのデジタル化、厚生年金法上の書類、雇用保険法上の転出・転入届出、電気事業法上の各種申請、輸出許可申請、インボイスの電子化、有価証券報告書、道路占用許可申請、建設業法上の各種届出、貸金業法上の各種届出、電気通信事業法・電波法上の各種申請、工場立地に関する書類、繊維生産設備に関する書類、消防法関係書類、税務申告書類 等

  7. 公共調達の電子化
  8. 入札関係情報の電子公開、公共工事の競争参加資格審査の登録申請・指名登録申請、インターネットによる電子入札

  9. 歳入・歳出手続きの電子化の促進
  10. 大蔵省官庁会計事務データ通信システムの拡充、会計法令等の見直し

  11. ワンストップ・サービス、ノンストップ・サービスの実現
  12. 住民基本台帳ネットワークを活用した各種行政サービス、納税証明、建築確認申請関連手続き、自動車販売流通に係る諸行政手続き、NACCSシステムの改善 等

  13. 教育の情報化の推進
  14. 全学校のインターネット接続目標(2003年度)の3年前倒し、全教室のインターネット接続の早期実現(米国は2000年実現目標)、職員室の情報ネットワーク化の促進、教員1人1台端末、ホームページ作成、学校のインターネット接続に要する通信・接続費用の財政支援、地方公共団体のオンライン接続禁止条項の見直し、遠隔教育・病院内学級・在宅学習の活用、児童・生徒向けコンテントの充実 等

  15. 医療・福祉分野の情報化の推進
  16. 健康保険証の大容量ICカード化、レセプト審査・支払業務の電子化・ネットワーク化、病院情報ネットワークの整備、在宅ケア支援ネットワークの整備、カルテ・処方箋の電子化 等

  17. 地方公共団体における情報化促進
  18. 住民基本台帳ネットワークの整備、個人情報保護条例に基づくネットワーク接続規制の見直し、申請書類等のフォーマットの統一(固定資産税等)、地域のネットワーク化の推進 等

  19. 電子商取引発展の制度上の課題
    1. 契約に関する法制度の見直し
      電子署名に対する法的効力の付与(署名または押印と同等)、電子認証・電子公証の制度化、公的認証制度の実現、印紙の取扱い 等

    2. プライバシー保護
      個人情報保護に関する法制度の整備、苦情処理体制の整備、暗号技術等の技術開発の促進、自主規制(事業者倫理ガイドライン)と自覚

    3. 消費者保護
      基本となる法律、ガイドラインの整備(民法・商法の見直しも含む)、業界ガイドラインのオーソライズ、電子商取引に関する消費者救済機関の整備(相談、仲裁、補償等)、標準約款の策定 等

    4. 保存義務づけ書類の電子化の促進
      税法上の帳簿書類の電子化に関する規制緩和(承認手続きの簡素化、承認要件の明確化、EDIによる受発注データの保存要件の明確化、原始証憑等電子保存を認める範囲の拡大等)、建設工事の請負契約に関する書類、厚生年金基金法上の被保険者情報、労働基準法上の書類、商業帳簿、各種永久保存文書 等

    5. 規制緩和

      1. 職業安定法上の許可制の撤廃
      2. 旅行業法の規制緩和
      3. 銀行ATMに関する規制緩和
      4. 銀行利用回線のリセールの解禁
      5. コマーシャル・ペーパーのペーパーレス化
      6. 訪問販売法、割賦販売法、不当景品類および不当表示防止法等の見直し
      7. 医薬品小売販売における薬歴管理のペーパーレス化
      8. 測量法の見直し
      9. 暗号技術を用いた貨物および技術に関する規制の緩和

    6. 不法アクセス対策立法(刑罰の導入等)

    7. 電子マネーに関する法的整備

    8. 違法・有害コンテンツ対策

    9. 手数料等前納主義の見直し

以 上

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