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2006年 自由民主党と政策を語る会


日本経団連は、4月26日に、経団連会館で「自由民主党と政策を語る会」を開催した。同会には奥田会長以下、日本経団連の幹部や会員代表者など約370名が出席、中川秀直政務調査会長、甘利明政務調査会長代理、丹羽雄哉社会保障制度調査会長、伊吹文明税制調査会小委員長と自由民主党の政策や取り組みに関する意見交換を行った。以下はその概要である。

1.奥田会長開会挨拶

わが国経済には明るい展望が開けてきた。これも小泉改革の進展と企業の経営革新があいまって、日本再生のための工程が明確になってきたからである。
しかし、改革は道半ばである。後戻りは許されない。地球規模の競争が激しさを増す中で、日本は本格的な人口減少社会を迎えている。政治と経済が車の両輪となって改革を加速させることが重要だ
日本経団連は企業の重要な社会貢献として、政策評価に基づく政党への自発的な寄付を促進している。幸い寄付額は増加しているが、日本を活力と魅力溢れる国とするために、政策を軸とした政党への支援をより一層高めていきたい

2.自由民主党の政策と取り組みについて

(1) 中川秀直政調会長

日本は、規制の多さ、国家金融の大きさ、政府保有資産の大きさなどから、世界的にみても「大きな政府」である。「小さな政府」の目的は、「官から民へ」で潜在成長率をあげることだ。「官」が主体である限りは、何ら富を生まない制度や国有資産でも、それが民に移り産業になることで富を生み、生産性をあげていく。「小さな政府」を目指し「成長国家」を作ることが、「成長の党」としてのわが党の新たな使命だ
日本の潜在成長率は1%台といわれているが、これに甘んじるわけにはいかない。20世紀初頭のアルゼンチンは、一人当たりのGDPで西欧諸国を凌駕していたが、1998年には西欧諸国の半分以下に落ち込んだ。「母をたずねて三千里」にあるように、かつてアルゼンチンは西欧諸国からの出稼ぎ者を受け入れていたが、生産性を高めることができなかったために、経済的な地位を失ってしまった。日本がそうならないためには、「改革はもう疲れた」と言っているわけにはいかない。
小泉構造改革の結果、不良債権処理はほぼ終了し、デフレ克服も展望できるようになった。今がまさに新しい成長戦略の実現を通じて、活力ある成長社会を取り戻すためのチャンスである。政策を総動員し、潜在成長率2−3%を実現していく必要がある
自民党が改革政党として小さな政府をつくるのか、それとも、抵抗政党として増税だけに頼り役人天国の大きな政府をつくるのかは、来年の参議院選挙を左右する問題だ。絞った雑巾はいつの間にか湿ってくる。増税をお願いするにしても、常に雑巾を絞る努力をしないと国民の納得は得られない。党の命運をかけて、財務省ではできない改革を政治主導で実現する歳出削減の最大の課題は、公務員人件費の問題だ。特に、地方公務員の改革は自民党にしか対応できない民主党は、地方公務員を「聖域」にしようとしている
役所からは自らを切るアイデアはなかなか出てこない。しかし、官僚以外の知恵の場が乏しいことも事実だ。経団連からは、是非とも具体的な歳出削減のアイデアをいただきたい。また、新しい発想の政策を自民党が推進できるよう、経団連がシンクタンクをつくり、是非、成長の党、小さな政府の党の自民党を、知的な面からも、サポートしていただきたい。
経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)は、海外市場の拡大を日本経済の発展に結びつけるために極めて重要だ。しかし、EPA・FTAへの対応を見ると、日本は諸外国に比べて大きく出遅れている。この原因は、各省がバラバラに対応しているからである。自民党のFTA特命委員会の活動をさらに強化して、各省を束ねていきたい。
また、日本が中国や韓国とEPAを締結していないということは考えられない。日中・日韓のEPAについても積極的に推進していく。
今後の日中関係は、経済面などを含めて、競争と協調、摩擦と協力が並存していくだろう。こうした中で、我々は、靖国問題が外交問題にならないような努力をすべきである。例えば、日中の研究者が今の相手国の実情を客観的に分析し、メディアが客観的に報道するといったことが重要だ。また、靖国問題のような政治案件は党間で処理し、政府間は実務的な協力を重ねるといった仕分けも重要である。
チャーチルは「社会主義は富めるものを引きずり下ろすが、自由主義は貧しいものを引き上げる」と言った。民主党が格差是正の名のもとに、チャーチルがいうところの社会主義化するとすれば国益の観点から残念なことだ。自民党は、苦しくとも自由主義政党としての王道を歩んでいく

(2) 丹羽雄哉社会保障制度調査会長

少子高齢化の進展により高齢者を支える現役世代が減少しており、わが国の社会保障制度はその持続性を高めるための見直しを行う必要がある
このため、一昨年の年金制度改革では、現役世代の負担能力の減少率を含むマクロ経済の変化を給付水準に反映させる仕組みを導入し、年金給付と経済の調和を図った。また、昨年は介護保険制度を見直し、在宅でも必要となる食費や光熱費は保険給付の対象から外すことにした。
現在は、医療制度改革法案を国会で審議中である。この改革の最大の目玉は、75歳以上の高齢者を対象とした高齢者医療制度の創設である。従来、高齢者医療費の大半は若年世代の支払う保険料でまかなわれてきたが、今後は独立型の高齢者医療制度の中で、全ての高齢者に広く薄く負担を求めていく。
以上のような改革により、2025年における社会保険料の負担水準は35%から30%へと低下する見込みだ。
また、政府は、今週にも被用者年金の一元化、すなわち共済年金と厚生年金を一元化する方針を決定する(4月28日に閣議決定された)。これにより年金の財政基盤が強固になるとともに、将来的には同一賃金であれば同一拠出・同一給付となるので官民格差解消に向けた一歩となる。
なお、被用者年金の一元化の決定に当たり、公務員OB特有の年金給付の構造にも切り込んだ。45年前に恩給が廃止されて公務員共済が創設された際に、制度創設当時在籍していた公務員OBに対しては、共済制度創設前から共済の保険料を支払っていたと見なして年金給付を行う措置が取られてきた。この措置を維持するために、国・地方は追加費用として税金を投入している。現在の国・政府の負担額は1兆7000億円に上る。今回、公務員OBへのこの措置による給付を最大27%、年金支給総額の10%に至るまで縮減することにした。45年も続いてきた措置であり、大きな抵抗があることが予想されるが、自民党は国民の理解を得ながら可能な限りの歳出削減を図っていくつもりである。

(3) 伊吹文明税制調査会小委員長

制度増税の議論の前提として、国の歳出削減と政府資産の圧縮を行う必要がある。景気の回復により、自然増収があることが望ましいが、物価が上昇すれば物価スライド制により社会保障費も増大するため効果のほどについては検証が必要だ。
議論を進めるためには、まず主権者である国民に対して増税の目的を明確にしなければならない。国民間の公平感の確保にも配慮し、特定の層に負担が偏ることのないようにする必要がある。国際化が進展している現在においては、税が原因で企業が海外に移転し、資産が海外に流出することも考えられる。日本の空洞化や企業の競争力低下を引き起こすようなことがあってはならない
2005年の総選挙で、自民党は、「2007年度を目途に消費税を含む税体系の抜本改革を実現する」との公約を掲げている。また、昨年12月の税制改正でも、自民党・公明党で同様の方針を示している。この公約を達成するためには、国の歳出削減および政府資産の圧縮の進展状況と経済の動向を見極めなければならない。自民党の政策責任者は、増税に向けた国民の納得感を高めるための様々な取り組みを進めていかなければならない。仮に消費税を相当程度上げるとなると、生活必需品等の特定品の免税の実施やそのための具体的な制度整備も検討しておく必要がある。党税調としては、どのような税目を見直すことになっても対応できるよう、検討を進めているところである。

3.意見交換

(1) 経団連側発言

張副会長 (歳出入一体改革)

歳出入一体改革の目的は、競争力のある製造業と高品質のサービス業が相互に連携し、生産性を高めあう、活力ある経済社会を実現するということである。持続可能な社会保障制度の確立や徹底的な歳出削減を通じたプライマリー・バランスの黒字化を目指し、その進捗状況を見極めながら、歳入面の見直しを行なうべきだ。
経済活動の拡大を図ることが、結果として安定的な税収の確保につながることから、産業の国際競争力強化に資する法人実効税率の引下げや、減価償却制度の抜本的見直しを実現すべきだ。
また、今後の高齢社会のことを考慮し、消費税の増税を検討すべきだ。消費税増税に当たっては、政府与党が徹底した行政改革や歳出削減の姿を国民に示し、その上で、経済情勢を見極めながら、段階的に引き上げることが望ましい。

庄山副会長 (科学技術政策)

現在、わが国においては、自民党の尽力により、科学技術創造立国に向けた改革が大きく進展するとともに、知的財産立国の実現に向けた改革も進められている。
第3期科学技術基本計画では、これまでの成果や投資をイノベーションへと結び付け、国民に目に見える形で還元することが重要だ。そのためには、基本計画やや分野別推進戦略にしっかりと取り組むとともに、研究開発投資の成果をわかりやすくとりまとめて公表し、今後の政策に反映するなどのフォローアップを行う必要がある。また、戦略的な知的財産政策の強化や先端融合領域において世界に通用する人材の育成が極めて重要である。

宮原副会長 (通商政策)

WTOについては、年内の新ラウンド交渉妥結のために政府・与党一体となって、他の加盟国との調整にリーダーシップを発揮していただきたい。
また、戦略的に重要な東アジア諸国・地域との高水準のEPAの早期締結とともに、資源・エネルギーの安定確保のための資源国との経済連携の強化も重要であり、今後とも一層のご尽力をお願いしたい。
なお、わが国がWTOやEPAの交渉を戦略的に進めるためにも、外国人受け入れ体制の整備や農業の構造改革を、着実に推進していただきたい。

(2) 自民党側発言

甘利明政調会長代理

国際競争力に資する税制ということでは、2006年度税制改正において、研究開発減税を試験研究費が増額した場合に税額控除を認める従来の方式と、研究費総額の一定割合を税額控除する方式を選択的に利用できるようにした。また、IT投資税制については、情報基盤強化税制として再構築し、産業競争力の向上に資する設備等で情報基盤の強化を促すものの取得等をした場合を減税の対象とすることにした。
自民党は競争力の強化を重要なテーマとして捉えている。イノベーションの創出が競争力を高めるのであり、新産業創造戦略を産業界と連携して重点的に推進する。新産業創造戦略の中でも科学技術創造立国と知財立国が2つの大きな柱となる。知的財産戦略については、党全体として戦略的に取り組むために知財戦略調査会を創設し、国内の産業界と大学との人材の連携や技術協力の推進に向けた制度整備大学の知財戦略本部およびTLO(技術移転機関)の機能の統合整理などを検討している。スパコンやロケット、高速増殖炉などの国家基幹技術については、アジア太平洋地域との連携も含めて様々な取り組みを行っている。
FTA・EPAについてはFTA・EPA特命委員会を再編し、農林水産分野に強いのみならず国際的な感覚も併せ持っている議員に総責任者をお願いすることで、わが国にとって通商交渉上、問題が生じることが多い農業分野でも、国内対策まで含めた対応が取れるよう体制を強化した。WTOの新ラウンドについては今年中の合意を目指して党として全力を挙げて取り組む。

中川政調会長

米国では、大統領の一般財政教書で、国際競争力強化に向けた戦略の一環として、本年は特に数学と物理の教育重視に10年間で1370億ドル以上の予算を確保するとの方針を示している。また、英国でも学校教育の自由化など競争力向上を目指した法律を国会に提出している。わが国でもこうした視点を意識し、競争力強化に向けた人的資本の強化をポスト小泉改革の柱の1つとする必要がある。
技術革新は経済成長のエンジンである。このため、第3期の科学技術基本計画では政府研究開発投資の総額を25兆円に設定した。しかし、基礎研究だけで経済成長が加速するものではない。新しい技術を活かすための新しい制度を整備することが不可欠だ。かつて、官房長官時代(2000年)、電子商取引の拡大のために、経団連の調査をベースに書面交付を義務付けている法律を一括法で改正した。この手法は画期的なものだったが、制度改革の中身は米国の後追いだった。今後は、新技術を活かすための制度改革を世界に先駆けて実践していく必要がある。

伊吹税制調査会小委員長

法人税率については、数多くの租税特別措置と併せて、諸外国の法人実効税率と比較しながら検討する必要がある。法人資産の償却制度については見直しを検討中である。
制度増税は、順序を追った財政再建に向けた取り組みの最終手段である。その上で、消費税は、税率を上げる候補として多くの人が念頭に置いている。国税・地方税合わせた約86兆円のうち、間接税は26兆程度に止まる。直接税は約60兆円である。社会保険料は54兆円であり、これもある意味直接税である。あまり直接税のみに頼れば、経済活力が失われていくことになる。

甘利政調会長代理

米国の場合には、自国の発展のために留学生をそのまま社会に受け入れるような仕組みが整っている。日本企業においても優秀な留学生の受け入れを積極的に進めて欲しい。

4.御手洗副会長挨拶

非常に有意義な意見交換が出来た。日本の成長力を高めるためには、引き続き様々な分野で改革を断行しなければならないという自民党の考え方には同感だ。日本経団連としては、日頃、政策立案・実行を担当している先生方にこのような会合を通じて経済の実態を把握していただくことが重要と考えており、引き続きこのような政策対話をお願いしたい。

以上

書面による意見交換 (後日実施)

経団連側

5月にビール減税が実施されるが、依然としてビールにかかる酒税は、ドイツやアメリカに比しても、国内の他の酒類に比しても、高税率となっている。更なるビール減税を実施し、国際的格差を是正して欲しい。

自民党側

酒税のあり方については、税制の中立性・公平性・国際性の観点や財政状況等を踏まえ、酒類間の税率格差を縮小する方向で、抜本的税制改革も念頭に置きつつ、引き続き検討する。
なお、清酒としょうちゅうといった異なる分類に属する酒類間の税負担のあり方についても、酒類の製法のみならず、その商品としての特性などを勘案しつつ、消費税を含む、将来の酒税全体の中で見直していきたい。

経団連側

自民党内では環境税が税制調査会の検討課題とされており、産業界として強い懸念を抱いている。環境税は民間の自主的な行動や技術開発投資に水をさし、産業の国際競争力を低下させる懸念がある。税や規制ではなく、民間活力を活かした温暖化防止対策を実施して欲しい。

自民党側

わが国は環境先進国として、地球温暖化問題において世界をリードする役割を果たすため、平成17年4月に京都議定書目標達成計画を閣議決定し、国、地方をあげて多様な政策への取り組みを開始し、6%削減約束を確実に達成することとしている。環境税については、平成20年から京都議定書の第一約束期間が始まることを踏まえ、さまざまな政策的手法全体の中での位置づけ、課税の効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、既存の税制との関係等に考慮を払いながら納税者の理解と協力を得つつ、総合的に検討していきたい。

経団連側

株式会社やNPOなど多様な経営主体の学校教育分野への本格参入を認めるとともに、利用者側に選ぶ権利を与える「学校選択制」を全国展開して欲しい。「バウチャー制」の導入についても検討を進めて欲しい。

自民党側

学校は公の性質を有し、公共性、継続性・安定性が不可欠であることから、学校の設置主体としては、国、地方公共団体及び学校法人が基本である。
現在、特区において、(1)株式会社やNPO法人による学校法人の設立をし易くするよう、校地・校舎の自己所有を要しない特別措置が講じられており、この特例については自己所有に代わる所要の代替措置を講じた上で、今後全国化される予定であり、(2)また、株式会社等による学校の設置についての要望に対しては、必要な資産の保有や情報公開、セーフティーネットの構築等の措置を講じることを条件として、特区において、これを認めることとされているところである。
今後、株式会社立学校の全国化については、特区における株式会社立学校の運営状況について十分な調査・検証を行った上で、適切に対応してまいりたい。
学校選択制については、文部科学省において、事例集の作成や関連法令の改正を行い、また、各市町村の教育委員会等に対して、生徒、保護者、地域住民の意向を踏まえた検討を要請するなど、地域の実情に応じた学校選択制の普及に努めている。
学校選択制を導入すべきか否かは、地域の実情を十分に踏まえ、各自治体が判断すべきことであり、学校選択制を全国一律に義務付けることは適当でないと考えている。
教育バウチャー制度については、政府が本年3月に閣議決定した「規制改革・民間開放推進3か年計画」等において、その意義・問題点の分析等様々な観点から研究・検討し、2006年度中に結論を得ることとなっている。
これらを受け、文部科学省において、昨年10月、外部有識者も含めた「教育バウチャーに関する研究会」を設置し、海外事例の実態把握等、研究・検討を実施していると承知しているが、教育バウチャーについては、その定義も定まっておらず、諸外国の実施例も極めて少ない状況にあり、その意義、教育上の効果については賛否両論様々であるものと認識している。
今後、同研究会の検討を踏まえ、我が国に同制度を導入した場合にどのような問題があるのかも含め、様々な論点について十分に検討することとなる。

経団連側

国際競争力強化の観点から、輸出入・港湾諸手続に関係省庁の横断的な連携を機能させて欲しい。全体最適のBPR(業務改革)を行うことにより、「真のワンストップ・サービス」を実現して欲しい。

自民党側

2005年12月に関係府省で連携して「輸出入及び港湾・空港手続関係業務の業務・システム最適化計画」を策定し、2008年10月に府省共通ポータル(窓口)を稼働させることとしたところである。これにより、ポータルに接続すれば全ての関係手続を行うことが可能となる、次世代シングルウィンドウ化が実現し、利用者の利便性が一層向上するものと期待している。

経団連側

首都圏の渋滞を解消し、経済的にも環境的にも効果の大きい首都圏三環状道路を早期に整備して欲しい。
「道路特定財源について一般財源化を検討する」との方針が昨年末に政府与党から出されているが、産業の国際競争力の強化や環境対策の観点から、必要な道路の整備は続けて欲しい。

自民党側

首都圏三環状道路は、首都圏の渋滞緩和や環境問題の解決に大きく寄与する重要な路線と認識しており、現在、首都圏中央連絡自動車道(延長:約300km)、東京外かく環状道路(延長:約85km)、首都高速中央環状線(延長:約47km)の3つの環状道路の整備を進めているところ。
今後も一層の重点投資を進め、2008年代半ばまでには、首都圏中央連絡自動車道の概成、および東京外かく環状道路の千葉区間の供用を含め、約80%の整備率を目指す。その時点では、暫定的な環状のネットワークが完成し、環状道路の概ねの効果が早期に発揮されるものと期待している。
高速道路以外に関しては、例えば、国際標準コンテナ車が積み替えなく通行できる道路ネットワーク「国際物流基幹ネットワーク」の構築や、渋滞対策に資する立体交差事業や拡幅事業、「開かずの踏切」等の踏切対策等を積極的に推進しているところ。
いずれにせよ、昨年末に政府・与党で合意された「道路特定財源の見直しに関する基本方針」において、「道路整備に対するニーズを踏まえ、その必要性を具体的に見極めつつ、真に必要な道路は計画的に整備を進める」とされており、今後とも真に必要な道路については、厳格な事業評価や徹底したコスト縮減を図りつつ、着実に整備を進めていく必要があると考えている。

経団連側

魅力ある街づくり、国づくりに向けて、都市や地域の再生を進めるためには、それぞれの地域が個性や文化・伝統を活かして、主体的に取り組んでいくことが重要である。自民党はまちづくり3法の見直しに際して、全国一律ではなく、三大都市圏や政令指定都市とその他の地方を分けて対応するという工夫によって、実情を踏まえた土地利用の推進の方向性を示している。今後ともそうした地域の取組みを見守り、適切な政策誘導の措置をお願いしたい。

自民党側

自民党における、いわゆるまちづくり3法の見直し作業においては、

  • 住宅、病院等の公共公益施設、事業所そして商業施設は、それぞれが都市の重要な構成要素
  • 人口が減少していくこれからの時代、それぞれの構成要素が適正に立地し、多くの人にとっての暮らしやすさが実現することを目指す
  • このため、「市街地の整備改善と商業等の活性化」という現在の中心市街地活性化法の目的自体を見直し、土地利用規制の緩い郊外では、拡散型都市構造へ向かう流れに「ブレーキ」をかける
  • 一方で、中心市街地ではにぎわいの回復を目的とした、コミュニティとしての魅力向上、都市の重要な構成要素の集積促進等、中心市街地の再生に「アクセル」をかけることの双方の一体的推進を目指す

との基本理念に基づき作業を行い、都市計画法、中心市街地再活性化法の改正案を国会に提出したところ。
今回の改正により、中心市街地活性化基本計画の認定をうけたやる気のある中心市街地を重点的に支援すること。その認定にあたっては、三大都市圏等の大都市部と地方都市とでは、準工業地域に大規模集客施設が立地した場合の中心市街地への影響が異なることから、地方都市においては特別用途地区の活用により準工業地域の大規模集客施設の立地規制を促進することを、基本計画の認定要件とすることとしている。このように認定要件を大都市部と地方都市で分けることにより、地域の実情を踏まえた土地利用の推進を図っている。
法の施行後には、政府に推進本部を設置し、基本方針の策定など運用体制を整備するとともに、来年度予算等への対応を図る予定になっており、党においても、引き続き地域の取り組みを見守り、地域の実情に応じた主体的な取り組みについて、適切に応援してまいりたい。

以上

自民党作成資料

日本経団連の2006年の優先政策事項と自由民主党の政策・取り組み <PDF>


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