[ 日本経団連 | 企業人政治フォーラム ]

21世紀は市場主義政治の時代


我々が政治に何かを求めなければならない、あるいは求める政治の実現に向けて我々の側から何らかのアクションを起こしていかなければならない、としたら、それは政治の怠慢である。経済活動と比べると、そうした怠慢がいかに非難されるべきものであるかは明らかである。市場は企業に何も求めない。例えば、消費者は自動車メーカーにこうした車を作ってくれとは頼まない。自動車メーカーは自らの力で消費者のニーズを探り、消費者の喜ぶ車を作る。それができない企業は市場から淘汰される。

政治と国民の関係もかくあるべきである。そもそも国民も悪い。自ら風下に立って議員を「先生、先生」と呼びへつらい、安直に求めていくから、政治が慢心する。今回のレポートのテーマの選択もそのような安直さの延長線上にあるのではないか。

経団連は自立、自主、自己責任の下、民主導の21世紀の実現を目指している。そのリーダーシップによって、企業は日本経済が低迷する中を自らの創意工夫で将来を切り拓こうと懸命の努力を重ねている。経済にできることが政治にできないはずはない。経済一流(最近の状況では、これも些か怪しげではあるが)、政治三流などというとてつもなくバランスの悪い国家など存続し得ないからである。政治と経済は車の両輪であり、片方のタイヤがパンクした車はたちどころにスピンアウトしてしまう。

我々国民は政治に何も求めないし、求めるべきでない。政治こそがあるべき姿を求めて、民に問いかけ、アクションを起こす。そして、国民はそうした政治のダイナミズムを厳しく、かつ積極的に評価する。市場と真剣勝負で向かい合うのは、何も経済だけの責務でなければ特権でもない。21世紀は市場主義経済のみならず市場主義政治の時代でもあることを、政治の側は知るべきである。

以 上

この小論文は、企業人政治フォーラム主催の政治集中セミナー出席者からご提出いただいた参加者個人のご意見です。

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