[ 日本経団連 | 企業人政治フォーラム ]

多くの国民が政治家を目指すための制度改革


小中学生に将来なりたい職業はと聞くと「政治家」との答えは皆無に近いだろう。本来、政治家には志が必要だが、国民が、政治家をうさんくさいもの、近寄りがたいものととらえ、週刊誌的興味でしか政治に関心をもち得ないとしたら、このエッセーのテーマである「こうすれば政治を変えられる」ということを考えることすら、書生じみていて気恥ずかしく思える。

そこで、理想論はヨコに置き、ごく普通の国民でも志さえあれば政治家になれる途を開くために、選挙制度面を中心にいくつかの提案をしたい。

参議院を廃止する。参議院には、良識の府として、衆議院に対するチェック&バランス機能が期待されているのもかかわらず、党利党略が幅を利かせ、本来の使命を果たしているとは言いがたい。参議院で与党が惨敗すると、無理な連立を組み、思い切ったリーダーシップを発揮できない状況が長期化する。

衆議院の定数を150(全て小選挙区)とする。区割りは、過去3回の投票数に基づき決める。今の選挙区は狭く、1議員の代表する有権者人口が20〜40万では利益誘導型の政治に陥りがちである。選挙区の数を半分にする。併せて比例区もやめる。また、真に参政権を行使した有権者の意思を尊重すべく、過去の投票実績を基準に区割りを見直す。

選挙費用は政党が負担する。公認候補の選定は、現職優先の慣行を改め、予備選(党負担)を実施する。政治献金は、個人でなく政党に対して行う。ジバン、カバン、カンバンのない候補者が政策で挑戦する機会を拡大する。

多選の禁止。当選回数を通算10回以内に制限し、政界の若返りをはかる。

いくら制度を変えても仏作って魂入れずに終わっては、政治は変えられないが、少なくとも上記の提案は、既得権を排し、多くの国民が政治に関心を寄せ、政治を変えようとする気運を盛り上げる契機となろう。

以 上

この小論文は、企業人政治フォーラム主催の政治集中セミナー出席者からご提出いただいた参加者個人のご意見です。

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