[ 日本経団連 | 企業人政治フォーラム ]

リーダーシップを阻む構造の改革


日本のリーダーシップは深刻な状況だ。今日の政治では、多くの人がおかしいと思っていることですら、すんなりと実現できない。公約だけ聞けば、すぐに素晴らしい社会になりそうなのに、選挙が終わるとまた元に戻る。

この理由は簡単だ。政治と政治を取り巻く者達(有権者、役所、マスコミ、企業・団体等)の関係が、リーダーシップの発揮を阻んでいるからだ。有権者が人柄や見た目で選んでいる限り、政治家は真剣に政策を問い掛けはしない。役所が最大の政策ソースなら、抜本的な改革に向けたアクションは政治からは生まれない。マスコミが政局の演出者なら、世論の注目は政策には集まらない。

政治と企業・企業人との関係も、政治のリーダーシップにマイナスに作用している。「政治にはタッチしない」とする企業が多いから、政治が企業を理解する機会そのものが乏しくなる。「断われない」などの理由で、政治に接する企業が多いから、政治との関係はコッソリと進めるものになる。

「しがらみのない人こそ、決断力が必要な政治家に適任だ」という声がある。しかし、しがらみの全くない人が国政のトップに立つことは夢物語だ。重要なのは、「しがらみ」をもっと質のよいものにすることであり、このために皆が変わることだ。

特に企業・企業人にとっては、政治との関係を積極的に意義付けることが第一歩だ。利権誘導や癒着とは無縁の形で、日本経済全体の視点から、支援する政治家・政党とそうでないものとを明確に線引きすることが重要だ。どのような政策が必要かを高いレベルで明確にし、それに向かって行動する政治家や政党を支援することにしよう。支援に値しない政治家のパーティ券は買わないことにしよう、選挙には協力しないことにしよう。

こう変われば、政治との関係は「株主の利益にも日本経済全体のためにもなる」と主張できる。そして、新規参入も含め、政治を変えるドライビング・フォースにもなれる。

以 上

この小論文は、企業人政治フォーラム主催の政治集中セミナー出席者からご提出いただいた参加者個人のご意見です。

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