[ 日本経団連 | 企業人政治フォーラム ]

「政治を我々の手に取り戻すために」


アリストテレスが「人間は政治的動物(politikon zoon)である」と言ったように、本来政治はポリスに所属する市民の営みの中でも最も崇高なものである。然るに、政治がワイドショー化し、政治家は利権を・官僚は権益のみを追求していると多くの人が思い、なるべく政治とは係わり合いになりたくないと思い、政治参加の道がますます遠ざかり国民の参加が得られなくなる。この時代閉塞の状況を打開する方法として3点を提言したい。

1点は、良識有る企業人から見ての望ましい政治家像を確立するとともに、望ましくない政治家の要件としてのネガティブ・リストを作成し、企業人として応援したい政治家を擁立するとともに、応援したくない政治家をスクリーニングすることである。実際のパーティ券の購入要請に来る秘書達は、トップとの人脈を訴えるばかりで、識見・政見を説くことは殆ど無い。ネガティブリストに載った政治家への協力を手控えることにより悪貨が淘汰されて行くのではないか。

2点は、キャリア官僚の若手現役時代の収入を確保するとともに議員立法の立役者としての政策秘書への転身を誘導・奨励する(勿論・給与は全額受領する)ことである。

あとは、役所の権益を笠に着た天下りを廃止し、能力本位での再就職を大臣官房ではなく民間のエグゼクティブ・サーチが行うことで、後輩が先輩のために(何れは自分のためと)天下り先を開拓する悪弊を止め、官僚が在任中に能力開発に努める美風を涵養することだ。勿論、特殊法人は全面的に見直し民営化すべきだ。

3点は、企業の若手管理職に、政策立案能力とリーダーシップの育成のため、政策秘書や政治家の仕事を有期で経験し、出向期間が明けて企業に戻りステップアップして上級管理職や役員への登用の道を作ることである。限られた期間に全力投球できるのでしがらみに囚われない政治が実現できるのではないか。

以 上

この小論文は、企業人政治フォーラム主催の政治集中セミナー出席者からご提出いただいた参加者個人のご意見です。

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