私たち国民にとって、どのような政治が望ましく、いった何が「良い政治」なのでしょうか。ごく単純な発想に立てば、国民に最大限の幸福をもたらすことが政治の使命であり、私たちが望むものです。しかし「幸福」とは、そもそも各人各様のものですし、その要素にしても、平和な社会、平穏で快適な生活、物質的な豊かさ、仕事や趣味での達成感、知的好奇心の充足、将来の安心etc.と、とても捉えきれるものではありません。
また、政治への要望としてよく「クリーンな政治を」「利益誘導型手法からの脱却を」といったことが言われますが、単に政治手法のあり方に対する声であり、その向こうにどのような社会があるのか、よく見えてこない気がします。
私はといえば、もちろん常に幸福な人生を追求していきたいと思い、そのためには政治ときちんと向き合っていきたいと考えます。しかし、今のところ自分が政治に何を期待するのか具体的には良く判らない、というのが正直なところです。
このような政治に対する参加意識の低さは、何も私に限ったことではなく、現代の日本人に共通した問題と思われます。このままの状態で政治家に対する不満を述べ立てるのみでは、事態の改善は望めません。有権者一人ひとりがもっときちんと政治と向き合うことが必要です。そのためには、政治に関する「教育」について、再考する必要があるのではないでしょうか。
こうした観点から、義務教育だけでなく高校・大学教育をも含めて、単に「政治のしくみ」を教えるだけではなく、自ら考え選択することの意義と方法について教えていく必要があると考えます。また、ルールを守ることの大切さとともに、社会のルールをいかに形成していくべきかについても教えるべきでしょう。
さらには、我々社会人に対しても、企業人と政治の関わりや一市民としてのあり方など、もっと教育の機会が用意されなければなりません。
このようにして、国民すべてが政治に関心を持ち政策形成に参加していくことが、今の極めて困難な社会状況を克服する道につながるのではないかと思います。
この小論文は、企業人政治フォーラム主催の政治集中セミナー出席者からご提出いただいた参加者個人のご意見です。 |