企業人政治フォーラム速報 No.15

1997年5月7日発行

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関西で初のフォーラム会合開催
〜関西シンポジウム〜

4月18日、東京地区以外でのはじめてのフォーラム会合となった関西シンポジウムが大阪のロイヤルホテルで250名の企業人を集めて開催された。以下はその概要である。

◎基調講演―テーマ:政治は復権するか、
後藤田正晴元副総理―

■日本の行き詰まり
現在の日本は、公共事業投資、医療や年金などの社会福祉政策等、政治・経済・社会のすべてにおいて行き詰まっている。

■改革は重点突破を
橋本内閣が進めている6大改革については、これから各政策の具体化が始まると色々反対がでてくる。これら既得権益層の反対をどう突破するかが問題である。
改革の進め方として、一括で進めるのが理想的ではあるが、目標を定め、重点突破し、国民にこれは本気だなと思わせ、味方につけることが必要である。

■時間の要素が必要
現在の改革は、明治維新、戦後改革以来の大改革といわれているが、かつてのいずれの改革も10年〜20年といった長い年月がかかっている。今回の改革も相当に年数がかかることを覚悟し改革のエネルギーを継続していくことが重要である。

■国民にわかりやすく説明を
そのためには、本当に後押ししてくれる国民の理解・合意が必要であり、改革の必要性や内容を国民にわかりやすく説明し、国民を奮い立たせなければならない。

■風は追い風、政治のリーダーシップの発揮を
中曽根内閣のときの改革と違い、現在の状況は、各議員とも選挙区で改革反対を言い出せない雰囲気があり、風は追い風であるといえる。このような時こそ、政治のリーダーシップの発揮により、改革を断行すべきである。「政治が復権するか」どうかははっきりとはいえないが、「復権させなければならない」ということは間違いない。

■現在は日本の政治が収斂していく過渡期
今は日本の政治が収斂していく過渡期であり、収斂にはあと2〜3回の選挙が必要ではないか。収斂後の姿としては、1つは自由党的な立場、もう1つは、自由を基本に民主の要素を付加するという立場、そしてもう1つ社会民主的立場が出てくれば望ましい。

◎パネルディスカッション―テーマ:政治の活性化をいかに実現するか―

(パネリスト:後藤田正晴氏、加茂利男大阪市立大学教授、藤井義弘日立造船会長、井上義國ダイキン特別顧問)
■地方分権について

井上ダイキン特別顧問:
戦後ずっと続いてきた中央集権を打破し、地方分権を進めることが是非必要であり、そのためには、税財源の移管という財政責任を伴った地方分権でないと不十分である。

後藤田氏:
まずは地方の行革も進めるべき。地方分権はもちろん重要だが、具体論になったときに、自治体の数や道州制との関連など難しい問題が多い。

■現在の政治状況について

加茂教授:
昨年の日本の総選挙と米国の大統領および議会選挙は、投票率が史上最低であったこと、決定的勝者を出さなかったこと、政党間の政策の差がほとんどなかったこと、さらに、住民投票の増加にみられるように重要な問題は自己決定するいう意識が強くなってきたこと、など類似点が多く興味深い。
政権を託されたものが、与えられた課題を達成できるかどうか、ということが問われているが、改革を進めるにあたっては、その政治的な基盤をどう作り出していくかという政治的収斂の戦略化が重要である。最近、沖縄の特措法の問題で保保連合という動きが顕在化してきたが、1位と2位の連携というのは日本人が一番嫌うパターンである。これが契機になって再び有権者の政治不信に火をつけないか心配である。

■国民の政治参加について

藤井日立造船会長:
国民の政治参加を高めるためには、政治の活性化、企業人の政治参加、投票方法・選挙制度の見直しなどが重要なポイントと考える。

加茂教授:
前回の総選挙をみてみると、投票を義務とする考えが崩壊したのではないか。政党間の競争により、有権者に選択の余地があるような状況をつくりださないといけない。


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