企業人政治フォーラム速報 No.16

1997年5月20日発行

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ビジネスマン出身の新国会議員と語る会

4月24日、昨年12月に開催した「新国会議員と語る会」の第2弾として題記会合を開催した。今回は、かつてビジネスマンを経験した新国会議員に集まってもらい、昨年の総選挙の総括やビジネスマンを経験した立場から見た国会の現状とそのあり方、日本の構造改革などについて幅広く語ってもらった。以下はその概要である。

■二院制を見直すべき/飯島忠義議員
(自民党、51歳、1968〜75年富士ゼロックス、75〜79年アメリカンファミリー生命保険会社勤務)

  • 地方議員を16年経験。日本の将来を考えるには地方議員では限界があると感じ、立候補。初めての国会を経験して、二院制を見直すべきだと痛感。また、予算委員会で多くの大臣が拘束され、他の常任委員会が開かれないのも非効率。
  • 橋本内閣の進める6大改革については、推進していこうとの雰囲気がずいぶん出てきている。今進めている金融ビッグバンを足掛かりに、すべてを押し進めるべき。

■連邦制の導入の検討を/今村雅弘議員
(自民党、50歳、1970〜1995年国鉄・JR九州勤務)

  • 議員は勉強家が多いのには驚いたが、委員会等での質問は各党で重複が多く無駄である。
  • 日本は大きくなりすぎ、今のやり方ではいずれ行き詰まる。連邦制の導入を検討すべき。

■役所に企業の経営感覚を取り入れるべき/冨沢篤紘議員
(新進党、57歳、1963〜70年三菱銀行勤務)

  • 民間はいかに経費を節約し、利益を出すかに苦労しているのに、役所は予算を100%消化することしか考えていない。役人を企業に出向させる制度をもっととりいれるべき。
  • サラリーマンは源泉徴収のため、自分がいくら税金を払っているかを知らない人が多い。それが、サラリーマンの政治参加意識の低下につながっているのではないか。サラリーマンももっと政治に参加すべき。

■国会の委員会は形骸化/川内博史議員
(民主党、35歳、1986〜88大和銀行勤務、1988〜ホテル取締役)

  • 委員会での議論は、すべて役人による筋書きができてしまっており、形骸化している。
  • 日本の税制は複雑すぎる、簡素化すべき。

■昨年の総選挙の総括とスタッフの数

小選挙区制になって選挙資金はかからなくなったかという問題に関して、中選挙区制との直接の比較は難しいものの、冨沢議員を除いて、総じてお金がかからなかったと評価している。また、公設秘書も含めたスタッフの数については、4人から12人と議員によってかなりの差があった。

加藤卓二衆議院議員、議員立法の推進を訴える
―政経懇談会―

5月7日の政経懇談会において、加藤卓二自民党副幹事長は、構造改革の推進と政治の役割について語った。
現在、橋本内閣が進めている構造改革の中でも、経済構造改革、特に規制緩和を最重点に取り組むべきだと指摘した。また、従来のように立法を官僚に任せていたのでは、改革が遅々として進まない。議員立法を積極的に活用し、すばやい対応が必要だと述べ、先般、加藤議員らが議員立法として提出し、今国会で成立したストック・オプション制度導入のための商法改正について、その成果を強調した。
そして、議員立法活用のために、経団連の21世紀政策研究所などのシンクタンクと連携して、より議員立法を充実させていきたいと述べた。
さらに高齢化社会を迎える21世紀は労働力不足が大きな問題になる、そのためには東南アジアを中心とする外国人労働力を正規な形で活用できる制度を構築しなければならないと指摘した。
出席者からは、株主代表訴訟の見直しについても是非進めてほしいとの要望や、議員立法においても第3者の意見をきく審議会的な場も必要だとの指摘があった。これに対し、加藤議員は株主代表訴訟制度の見直しにも積極的に取り組んでいく意向を示した。


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