企業人政治フォーラム速報 No.9

1996年12月25日発行

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行政・税制改革にどのように取り組むか
─政策担当者シンポジウムより

19日、当フォーラムでは自民、社民、さきがけ、民主の4党の政策担当者を招いて『選挙は終わった。公約をどう実行するか』と題したシンポジウムを開催した。パネリストは、亀井善之自由民主党政務調査会会長代理、及川一夫社会民主党政策審議会会長、水野誠一政策調査会会長、仙谷由人政策調査会会長。司会進行は、評論家の田中直毅氏。

■総選挙結果の理解と政策枠組み■

◎自民党◎
総選挙で国民は「安定」を選んだ。3党連立はできなかったけれども、基本的には今後も3党政策合意で。民主党とも共通の方向を模索する。

◎社民党◎
かつては160近くまで伸びた議席数が、今回はわずか15に。こうなったのは、社民党の力量の問題。土井党主の「ゼロからの出発」の言葉通り、再生をめざして頑張っていく。「第3の極」をつくるための核として、民主党との関係を模索中。今後も自民との政権協力を決めたのは、国民が「安定」を望んだのであれば、「協力」もひとつの選択であり、責任ある態度を示すことになると考えたから。

◎さきがけ◎
社民以上に厳しい結果。最初から行革を訴えてきたのはさきがけなのに、連立の中で主張が埋没してしまった。従って、今後は閣外協力。政策ごとに合意・未合意を明らかに仕分けしていくとともに、3党連立時に決めた約束・政策がきちんとやり遂げられていくように見届けていく。

◎民主党◎
衆院52名、参院9名の新勢力ができた。与党になるか野党になるか、自民党という懐の深い政党と連立政権を組む力があるかどうかを考え、現在の立場を選択した。選挙公約は「霞が関の解体と再生」。国会の中で行政府の監視をできるように、行政監視院を作る提案をしたい。

■行政改革への取り組み■

◎自民党◎
改革本部・委員会を設置し、党を挙げて取り組んでいる。また、橋本行革ということで、党の公約として省庁の改革・再編を進める。さらには総理を会長として行政改革会議を組織。平成10年の通常国会で審議、法案成立後、遅くとも5年以内、早いものでは2001年から改正できるように努力していきたい。

◎社民党◎
大蔵省改革案については、18日の6者協議で、金融市場での危機管理の問題を除いてほぼ合意。25日には結論が出せると思う。一元化問題についても、ほぼ合意。問題は各省それぞれの線引きをどうするか。行革は、頭の方だけ走っても足が動かなければ駄目。歳出のカットなど、各省庁の立場で現状を見つめ直さないと、総理が旗を振って仮に成功しても無になりかねない、といま提言中。

◎さきがけ◎
行革において、重要なのは、情報公開。また、大蔵省改革で最終的にめざしているのは、金融と財政の分離。そのために管理監督のための新たな機関を設けるのではなく、経済企画庁の中に作っていくのはどうか。

◎民主党◎
行政改革のためには、与野党を超えた議会連合が必要。大蔵省改革については、自民党と二度ほど協議したが議論にならず。金融・財政分離のためには、日銀の独立性を確保し、また、金融改革のためには金融検査のための仕組みをつくり、大蔵省銀行局などによる行政指導を廃止すべきと主張。

■今後の税制問題■

◎民主党◎
党内に税制調査会を設けているが、今年は大胆な問題提起をできるまでの本格的な議論に至っていない。

◎自民党◎
税制調査会、小委員会等で活発な論議がなされている。産業の空洞化に対する企業関係の諸税、国際的な先進国の状況も考えたうえでの法人課税の問題など、議論の展開の結果を税制大綱の中に書き込むとともに、今後引き続いて議論を進めていく。

◎社民党◎
国民の負担率はこれで高いか低いか、また直間比率の論議は、確かに必要。問題は、補助金の支途が明示されていないこと。こうした点を明らかにし、誰に聞いても明確な答えは返ってこない。支出の善し悪しを論じられないかぎり、不正もなくならないし、公営化も論じられない。

◎さきがけ◎
法人税について国際的なハーモナイゼーションをめざしていくという議論は、その通り。だが、安易な姿勢では駄目。増税にしても、納得性のあるトランスペアレントな政策をもってしていかなければならない。土地税制については抜本的に見直していく時期である。

■今回のシンポジウムでは、会場内の出席者からも活発に意見や質問が出され、補正予算についての橋本政権の行革への本気の度合への疑問や公共事業の単価の問題などについても、各党の姿勢を問うやりとりがなされた。


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