経団連地球環境憲章

「地球環境問題に対する基本的見解」

海外進出に際しての環境配慮事項


策定趣旨

経団連をはじめとする関係経済団体は、わが国企業が1960年代後半から発展途上国に対する海外投資を中心に海外投資活動を多面的に展開することになったことを踏まえて、1973年に受入国に歓迎される投資と長期的観点からの企業の発展と受入国の開発・発展が両立することを目指して「発展途上国における投資行動の指針」を策定した。しかし、その後わが国企業の海外投資が先進国でも多様に展開されるようになったのを背景に、1987年に「海外投資行動指針」を策定した。しかし、この両指針とも環境配慮については、わずかに投資先国社会との協調、融和のために「投資先国の生活・自然環境の保全に十分に努めること」という一行を設けたにすぎない。

しかし、昨今の日本企業の国際的展開および発展途上国の経済開発に伴う公害問題の発生などに鑑みると、上記一項目をさらに具体的にブレークダウンして、進出企業の参考に供することが必要になってきた。

もとより、途上国に進出する場合、途上国政府の政策的な面もあり現地企業との提携・合弁会社となる場合が多く、経営の主体が現地途上国企業側にあり、環境保全への投資より生産設備への投資が優先される、環境規制値はあるものの技術面、監視組織面で管理が十分でない場合がある、事前に進出国の環境状況関連情報を入手して対策を講じる必要があっても、基礎的データの不備や入手の困難性等、日本企業だけで解決出来ない問題も多い。しかし、こうした問題はあるものの進出先国の環境保全に万全の策を講じることは、進出企業の良き企業市民としての責務であり、各企業がこの配慮事項を参考にして具体的方針等を策定することを期待する。

10の環境配慮事項

  1. 環境保全に対する積極的な姿勢の明示
  2. 進出先社会における良き企業市民という観点から、環境保全について最新の知見と適切な技術により積極的に対応する旨を明示するとともに、環境保全の重要性について提携先等進出先国関係者にも十分に理解が得られるように努めること。

  3. 進出先国の環境基準等の遵守とさらなる環境保全努力
  4. 大気、水質、廃棄物等の環境対策においては、最低限進出先国の環境基準・目標等を遵守することは当然であるが、進出先国の基準がわが国よりゆるやかな場合、あるいは基準がない場合には進出先国の自然社会環境を勘案し、わが国の法令や対策実態をも考慮し、進出先国関係者とも協議の上で進出先国の地域の状況に応じて、適切な環境保全に努めること。なお、有害物質の管理については日本国内並の基準を適用すべきである。

  5. 環境アセスメントと事後評価のフィードバック
  6. 企業進出に当たっては、環境アセスメントを十分に行って、適切な対応策を講ずるとともに、企業活動開始後においても活動実績とデータ等の蓄積を踏まえて、必要に応じて環境状況の事後評価を行い、対応策に万全を期す。

  7. 環境関連技術・ノウハウの移転促進
  8. わが国の進んだ環境管理、測定及び分析などに係わる技術・ノウハウを進出先に移転することが、進出先国のみならず地球的規模での環境保全に貢献するとの認識のもとで、進出先国の関係者と相談し、その技術・ノウハウの移転促進・定着化に出来うる限り協力するよう努めること。

  9. 環境管理体制の整備
  10. わが国企業の環境配慮に対する積極的姿勢を示し、環境管理を適切に行うために、環境管理の担当セクションおよび責任者をおき、環境管理に対する責任の明確化等により環境管理体制の整備を行うとともに、環境管理に関する人材育成に努めること。

  11. 情報の提供
  12. 進出先社会との摩擦を避け、協調融和を図るためには、進出先の従業員、住民、地域社会との日頃からの交流が重要であり、環境対策に関しても適切な形で情報を流すなどして、常日頃から理解を得るように努めること。

  13. 環境問題をめぐるトラブルへの適切な対応
  14. トラブルが発生した場合には、進出先国関係者の協力を得て、社会・文化的摩擦になる前に科学的合理的な議論の場で対応出来るように努めること。

  15. 科学的・合理的な環境対策に資する諸活動への協力
  16. 進出先国の環境保全対策推進の上で、科学的かつ合理的な環境対策に資する諸活動には出来うる限り協力するように努めること。

  17. 環境配慮に対する企業広報の推進
  18. 海外におけるわが国企業活動の実態が、内外において十分に理解されていない現状に鑑み、企業はデータ等を示すなどして環境配慮に関する諸活動を積極的に広報し、情報不足や誤解に基づく非難は避けるように努めること。

  19. 環境配慮の取組みに対する本社の理解と支援体制の整備
  20. 日本の本社等は海外における企業の環境配慮に対する取組みの重要性を理解し、必要に応じて技術・情報・専門家等の提供・派遣により支援するよう社内体制等の整備に努めること。


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