[ 経団連の姿 | 業務・財務等に関する資料 ]

2001年度事業計画

(社)経済団体連合会

I.序 文

 国民の不安感を払拭し、将来への展望を切り拓くため、政府には、税制、地方財政、社会保障を包括した財政構造改革のグランドデザインの早急な提示が求められる。一方、企業は、バランスシートの改善、経営の再構築、さらには業界の再編などに率先して取り組み、新たな成長の基盤を築かなければならない。わが国の構造改革を推進すべく、税制・法制の整備、規制の改革およびIT利用環境の整備などに一層注力していく。
 同時に、グローバル化が進む市場において、経営資源の国境を越えた自由な移動を確保し、国際的な事業展開の円滑化を図る必要がある。また、わが国自身、世界から信頼を集め、リーダーシップを発揮できる国を目指すことが求められる。そのため、WTO貿易自由化交渉など国際的なルール作りを促進するとともに、アジアをはじめとする諸外国の持続的発展に協力していく。
 以上と並行して、本年度は、2002年5月の日経連との完全統合に向けて準備を進める。その一環として、両団体の会長・副会長が事業運営について適宜懇談する機会を設けるほか、社会保障制度改革をはじめとする重要政策課題について委員会の共同開催などを通じて連携を深めていく。

II.事業計画の概要

【政策全般】

(1)基本方針の策定(総合政策委員会)
総会決議の取りまとめをはじめ経団連としての基本方針を検討・策定する。

【経済・法制関係】

(2)経済政策運営のあり方の検討(経済政策委員会)
正確な経済情勢の把握に努めるとともに、適切な経済政策運営のあり方を検討する。また、構造改革の進め方について検討する。

(3)税制抜本改革の推進(税制委員会)
連結納税制度の詳細にわたる設計、パートナーシップに係る税制措置の検討・実現、金融証券税制の適正化および納税者番号制度の導入に向けた検討、地方税制の抜本的な見直しなどを行なう。

(4)財政全般のあり方の検討(財政制度委員会)
歳出構造、社会保障、税制を含めた財政全般のあり方を検討する。とりわけ、地方交付税制度の縮小・廃止について検討を深める。また、予算の合理化・効率化策について検討する。

(5)持続可能な社会保障制度の再構築(社会保障制度委員会)
公的年金、企業年金、医療保険制度などの改革に取り組む。特に、高齢者医療制度の見直しおよび保険者機能の強化ならびに医療分野におけるIT化の推進、基礎年金部分および報酬比例部分の改革のあり方の検討、年金税制の抜本見直しなどに取り組む。

(6)金融再生に向けた方策の検討、国際競争力ある資本市場の確立(金融制度委員会)
金融再生に向けた具体的な方策を適時取りまとめる。また、証券決済改革を推進するとともに、個人投資家を市場に呼び戻すための具体的方策を検討する。

(7)ビジネス・インフラの整備、コーポレート・ガバナンスの確立(経済法規委員会、コーポレート・ガバナンス委員会)
商法の抜本改正に経済界の考え方を反映させるよう取り組むとともに、企業統治に関する商法等の改正を働きかける。また、会計・監査制度の整備を推進するとともに、国際的な発言力を強化する。さらに、法曹人口の増加および裁判の効率化・迅速化などの実現を働きかける。加えて、倒産法の見直し、独占禁止法の一般集中規制の抜本的見直しなどを働きかける。
企業の経営組織および意思決定システムのあり方について検討する。

(8)経済統計の改善(統計制度委員会)
統計に係る報告者負担の軽減を図る。また、個別統計および統計制度の改善方策、報告者負担の軽減、統計利用者の利便向上などの諸施策について検討する。

【行革・産業・国土関係】

(9)行政改革の推進(行政改革推進委員会)
規制改革を一層推進するとともに、中央省庁新体制の運営状況ならびに郵便事業のあり方、特殊法人改革などの政府の取組みを注視し、経済界意見の実現を図る。また、行政運営の公正確保・透明性向上のための諸制度の整備について検討する。さらに、市町村合併を推進するとともに、地方行財政改革の促進を働きかける。

(10)産業の競争力強化、新産業・新事業の創出・育成(産業問題委員会、新産業・新事業委員会)
高コスト構造の是正、雇用・労働分野の改革、リーディング産業・分野の創出などについて具体的な解決策を提示するとともに、地域における産業集積戦略のあり方について、産学官の関係者と意見交換の機会を持つ。
また、新産業・新事業の創出・育成に必要な環境整備のあり方、企業の取組みなどについて検討する。

(11)IT活用のための環境整備(情報通信委員会)
通信分野の新しい法的枠組みの整備を図るとともに、メディア産業およびブロードバンド・ビジネスの発展に向けた環境整備のあり方などについて検討する。

(12)流通分野の規制改革・構造改革の推進、農政改革の実現(流通委員会、農政問題委員会)
大規模小売店舗立地法の適正運用を図るとともに、流通分野における一層の規制改革および構造改革を推進する。
農家に対する直接所得補償制度について検討するとともに、農産物の原料調達問題に係る制度および国境措置の抜本的見直しを働きかける。

(13)大都市の活性化、良質な住環境の整備、首都機能移転のあり方の検討(国土・住宅政策委員会、首都機能移転推進委員会)
都市再開発および土地・住宅に係る規制改革を働きかける。また、PFI事業の推進に向け、具体化されている事業の検証を行なう。さらに、観光の振興などに取り組む。
首都機能移転のあり方などについて検討する。

(14)物流の効率化(輸送委員会)
物流効率化の推進に向け、港湾の利便性向上および鉄道貨物の活用などについて検討する。また、首都圏における空港整備のあり方について検討し、考え方を明らかにする。

【技術・環境・エネルギー関係】

(15)産業技術基盤の強化(産業技術委員会)
総合科学技術会議の機能発揮および第2期科学技術基本計画の着実な実施について具体的な提案を行なう。また、大学改革のあり方について検討する。さらに、ナノテクノロジーおよびバイオテクノロジーなど先端技術を振興するとともに、知的財産権制度の改革を推進する。

(16)海洋開発・宇宙開発利用の推進(海洋開発推進委員会、宇宙開発利用推進会議)
海洋開発・利用のグランドデザインの実現を図るとともに、海洋開発の産業化および海洋関連産業の活性化に努める。
宇宙開発に対する国民の信頼の回復に努めるとともに、宇宙開発・利用を推進し、国際競争力を有する健全な宇宙産業を育成する。

(17)防衛生産・技術基盤の維持・強化(防衛生産委員会)
防衛生産・技術基盤の維持・強化のための諸施策を働きかける。また、日米防衛装備・技術協力を推進する。

(18)環境問題への自主的な取組みの推進、エネルギー政策のあり方の検討(環境安全委員会、資源・エネルギー対策委員会)
経団連環境自主行動計画の着実な実施を促すとともに、温暖化対策のあり方について検討する。廃棄物問題についても産業界の自主的な取組みを推進するとともに、新資源産業センター構想の実現を働きかける。また、廃棄物の範囲・区分のあり方について検討する。さらに、市街地の土壌汚染の処理に係る問題を検討する。
エネルギー政策のあり方を検討し、原子力の利用促進など重点課題について見解を取りまとめる。

(19)自然保護プロジェクトへの支援(自然保護協議会)
開発途上地域およびわが国の自然環境保全地域においてNGOが行なう自然保護プロジェクトを支援する。

(20)むつ小川原開発の推進(むつ小川原開発推進委員会)
国および地方公共団体による各種プロジェクトの立地を働きかけるなど、むつ小川原開発の着実な推進を図る。

【社会関係】

(21)広報活動の充実・強化(広報委員会)
経済界および経団連が取り組むべき重要課題の広報戦略や広報体制について検討するとともに、効果的な広報活動を実施する。

(22)企業倫理の徹底、社会貢献活動の推進(企業行動委員会、社会貢献推進委員会、1%クラブ)
経団連企業行動憲章の周知徹底に努めるとともに、企業行動上の新たな課題について検討する。
企業が社会貢献活動を推進するために必要な社会基盤整備のあり方および社会貢献活動推進体制のあり方について検討する。

(23)政治とのコミュニケーションの拡充(政治・企業委員会、企業人政治フォーラム)
政治と経済界との関わりのあり方および政治資金の望ましいあり方などについて検討するとともに、企業人と政治家とのコミュニケーションを促進する。また、与野党の掲げる政策に関する調査研究などを行なう。

(24)新たな時代にふさわしい教育・人材育成システムの実現(人材育成委員会)
グローバル化時代の人材育成に関する提言(2000年3月)の実現を働きかけるとともに、経済界による教育協力事業の具体化を図る。また、教育改革について検討する。

【国際関係】

(25)国際貿易・投資の促進(貿易投資委員会、OECD諮問委員会)
WTO新ラウンド交渉立上げを働きかけるとともに、具体的要望事項を取りまとめる。また、WTOサービス貿易自由化交渉にわが国産業界の意見が反映されるよう働きかける。さらに、わが国通商政策のグランドデザインを検討し、その実現を求めていく。加えて、自由貿易協定の締結を働きかける。
OECDで検討している国際的なルール作りや政策提言にわが国産業界の見解を反映させる。

(26)国際協力の推進(国際協力委員会、国際協力プロジェクト推進協議会)
ODAの効果的な実施へ向けて意見を取りまとめる。また、民間専門家の派遣事業、プロジェクト形成調査およびシニアボランティア・グループ派遣事業などを推進する。さらに、世界銀行など国際開発機関との連携を強化する。
日本国際協力機構(JAIDO)のあり方について検討する。

(27)北米(アメリカ委員会、日本カナダ経済委員会)
日米間の民間対話を強化するため、米国の経済団体との交流拡大、連携強化を図る。また、ブッシュ新政権発足後における米国の政治経済動向の把握に努める。さらに、IT導入が米国産業に与えた影響について検討する。
カナダとの合同会議を5月に開催し、経済関係の多様化・拡大のための方策およびWTO新ラウンドなどについて意見交換する。

(28)欧州(ヨーロッパ地域委員会)
フィンランド、スウェーデン、デンマークにミッションを派遣する。また、日オーストリア経済人ラウンド・テーブルを開催する。さらに、第6回アジア欧州ビジネスフォーラム(10月)に代表を派遣する。

(29)アジア・大洋州(アジア・大洋州地域委員会など)
4月の東南アジア・ミッションのフォローアップを行なうとともに、日本シンガポール経済連携協定交渉に積極的に関与・協力する。また、アジアにおける円の利用拡大を推進する。さらに、わが国経済界の意見をAPECの活動に反映させる。加えて、アジア隣人会議を開催する。
二国間関係では、ミャンマー(5月)、タイ(10月)、韓国(秋)、香港(11月)、台湾(12月)、ベトナム(2002年初)、インドネシアとの合同会議を開催する。また、環境植林協力プロジェクトなどを通じて中国との関係を強化する。さらに、ベトナムにおける人材育成のあり方、韓国との自由貿易協定を念頭に置いた産業協力のあり方、およびインドシナ地域の政治・経済情勢などについて検討する。加えて、オーストラリア、ニュージーランドなど大洋州諸国との経済交流を促進する。

(30)中南米(中南米地域委員会など)
中南米諸国の政治・経済情勢を把握するとともに、各国との経済交流の促進に努める。
二国間関係では、ベネズエラ(4月)、メキシコ(10月頃)との合同会議を開催するとともに、ブラジルとの合同会議の開催に向けた準備を進める。また、メキシコとの自由貿易協定の実現を働きかけるとともに、経済ミッションの派遣などブラジルとの関係強化策の具体化を図る。

(31)中東・アフリカ(中東・北アフリカ地域委員会、サブサハラ地域委員会など)
中東諸国との経済関係の維持・強化に努めるとともに、サブサハラ地域において中心的役割を担う南アフリカとの関係強化を図る。
二国間関係では、トルコとの合同会議の開催に向けた検討を進めるとともに、イランへのミッション派遣を検討する。

(32)ロシア・NIS〔日本ロシア(NIS)経済委員会〕
6月に経済人を主体とする対ロシア政府派遣経済使節団を派遣する。また、対ロ貿易・投資を促進するため、ロシア国内の税制・関係法制の改善などを働きかけるほか、ロシア極東との間の協力プロジェクトの実現に努める。さらに、科学技術分野での交流を促進する。日本ロシア経済合同会議を開催する。

III.総会・役員会等

(1)総 会 <2回>
〔事業計画・報告、収支予算・決算、役員、決議などの重要事項を決定する〕

(2)理事会 <11回>
〔運営上特に重要な基本的事項を審議・決定する〕

(3)常任理事会 <6回>
〔理事会の委任を受けて運営上の重要事項を審議する〕

(4)会長・副会長会議 <11回>
〔運営上特に重要な基本的事項を審議する〕

(5)評議員会 <1回>
〔会長の諮問に答えるとともに、会長に対して意見を述べる〕

(6)評議員懇談会 <2回>
〔重要政策課題に対して意見を述べる〕

(7)評議員会議長・副議長会議 <4回>
〔評議員会の委任を受けて運営上の重要事項に関し、会長の諮問に答えるとともに、会長に対して意見を述べる〕

(8)監事会 <1回>
〔財産状況および業務執行状況を監査する〕

(9)財務委員会 <1回>
〔会費の分担などの事項を審議する〕

(10)顧問・推薦会員懇談会 <4回>
〔経団連の活動に対して助言する〕

(11)新入会員代表者との懇談会 <3回>
〔新入会員に対し、経団連の主要な活動を紹介するとともに、経団連への要望ならびに期待を聴取する〕

(12)東富士フォーラム <1回>
〔会長・副会長、評議員会議長・副議長、委員長が内外の重要問題を集中討議する〕
以 上

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