日本経団連事業サービスは2007年6月の設立以降、日本経団連や関連団体と連携し、セミナーや研修会の開催、書籍・出版物の発行をはじめとする多様な事業を実施した。日本経団連は春季労使交渉・労使協議や道州制、税制改革、経済連携、企業における人材育成など、重要テーマについて、日本経団連事業サービスと協力し、シンポジウムなどを開催した。
民間の立場から中立的政策研究・提言活動を行っている同研究所の活動を、従来同様支援した。同研究所は本年創立10周年迎えたのを機に体制を強化し、学界、政界との連携を深め、日本経団連の政策立案活動に寄与すべく、道州制、税制改革、技術の国際標準化、ポスト京都議定書問題等を幅広く取りあげ研究を進めた。
経済広報センターは、日本経団連や業界団体と連携しつつ、経済や経済界に関する広報を内外で実施している。本年度も、日本経団連は同センターと協力して、重要政策課題に関する広報活動を行った。
情報交換・意見交換を進めながら、同センターで、道州制、経済法制や税制、地球温暖化などの重要テーマについて、新聞への意見広告掲載やパンフレットの作成などを行った。
CBCCでは、海外で事業活動を行う日系企業が「良き企業市民」としてステークホルダーズとの良好な関係を構築するための支援を目的に、海外貢献事業の認定をはじめさまざまな事業を展開している。本年度も各種事業へ協力を行った。
(参考:本年度活動)日本・チリ修好110周年記念事業、フランス高等科学研究所(IHES)ジャパン・ファンド、アンコール小児病院における医療教育事業、皇太子奨学金財団基金増額募金、日本・コロンビア修好100周年記念事業、日本・インドネシア友好年記念事業の6件を海外貢献事業プロジェクトとして認定した。認定プロジェクトに対する日本からの寄付については、一般寄付とは別枠の損金参入が認められる。認定プロジェクト総数は、130件で、CBCCを通じた寄付は約200億円にのぼる。
(1) 企画部会
CSRに関する国際動向の調査や、CSR推進団体とのグローバルな連携強化をはじめとする活動について検討した。
(2) セミナー・講演会・懇談会の開催
CSRに関する下記会合を開催した。
(3) ミッションの派遣
9月24日〜28日にかけてベトナム(ハノイおよびホーチミン)にCSR対話ミッションを派遣し、現地政府、経済団体、CSR推進団体、日系・欧米企業等とCSRに対する考え方や取組みの実態に関して幅広く意見交換を行った。
(4) 日中CSR対話フォーラムの開催
7月20日、21日に、経団連ゲストハウスにおいて、北京大学の何志毅教授をはじめ、企業社会責任発展センター、中国企業公民委員会、中国持続発展商工理事会(CBCSD)、TCLブランド管理センターの各代表より、中国におけるCSRの現状や今後の課題、中国企業の取組み等について幅広く意見交換を行った。
(5) 「GRIに関するタスクフォース」の活動
2007年4月に、「GRIガイドライン改訂を考える会」を発展的に解消し、CBCCのもとに設立した「GRIに関するタスクフォース」(座長:冨田秀実ソニーCSR部統括部長)では、「GRI関連情報の共有」「GRIマルチステークホルダー・プロセスへの参画」「CSR報告書に関する知識共有」を活動の三本柱として、計7回の会合を開催した。
機関誌「ステークホルダーズ」を3回(69号、70号、71号)、CSR情報紙「CSRニュース」を10回発行した。
JITCOは、わが国企業による外国人技術者・技能労働者の受け入れ、研修プログラムを通じて、開発途上国に対する技術移転を推進する目的で、経団連の協力のもと91年に設立された団体である。日本経団連では、JITCOの運営ならびに活動を引き続き支援した。
FASIDは、わが国と途上国の経済開発に携わる人材の育成、開発援助分野の研究促進を目的に、経団連の協力のもと90年に設立された団体である。日本経団連では、セミナーの開催への協力など、FASIDの活動を引き続き支援した。
わが国経済界としてアジア太平洋経済協力(APEC)ならびにAPECビジネス諮問委員会(ABAC)活動に効果的に参加していくために99年に設立されたABAC日本支援協議会の活動を引き続き支援した。
特に、2003年以来の日本開催となった第2回ABAC会議(5月、於:東京)に協力し、APEC首脳会議(9月、於:シドニー)に向けて、わが国民間経済界の意見を反映させる活動を行った。
映像コンテンツ産業に係る人材の育成、作品制作への支援、起業への支援、および国内・国際市場整備への支援などを目的に2004年12月に設立された映像産業振興機構の活動に協力した。
公害対策協力財団は、76年以降、公害防止に関する民間調査研究法人として活動を行っており、本年度もこれら活動に協力した。なお、本年度は、以下の調査研究に助成した。
経団連は、92年に厚生省(当時)と協力し、産業廃棄物処理事業振興財団を設立した。以来、日本経団連は同財団の活動に協力している。
本年度は、同財団が管理・運用している、産業廃棄物不法投棄原状回復基金(投棄者不明または資力不足の場合の不法投棄に係る、地方公共団体の行う原状回復事業に対する支援)に対して出捐に協力した。また、産業廃棄物処理優良化推進事業など、産業廃棄物の適正処理の推進などに係る財団の諸活動に協力を行った。
同連合会は、東京都内における企業に対する特殊暴力を効果的に排除するために、特殊暴力に関する調査・研究・情報の提供および講演会等の活動を行っており、日本経団連として事業運営に対し、支援を行った。
日経連創立15周年を記念し、65年に人材の育成を通じて広く社会や企業の発展に貢献することを目的に設立された同センターの活動に協力した。
こども未来財団は、子どもを安心して産み、健やかに育てることができる環境づくりを目的に94年に設立され、意識啓発や子育て家庭への支援、児童健全育成のための各種事業を行っている。日本経団連は本年度においても同財団の活動を引き続き支援、協力した。
NICCは、開発途上国の経営幹部の人材育成と経営者団体の健全な発展を通じて途上国の自立的な経済発展に寄与することを目的として94年に設立され、「経営者団体強化」、「経営管理者育成」、「労使関係の安定」の分野で民間ベースの技術協力活動を実施している。日本経団連はNICCの活動に対して、招聘研修プログラムや現地セミナー実施の際の講師派遣、NICC協議会の活動を通じて支援を行っている。(NICC協議会の事業報告参照)。
本年度、NICCは招聘研修として、長期の「アジア諸国人事労務管理者育成事業」(8ヵ月)、ならびに「人事労務管理」、「総合的品質管理と人材育成」、「管理研修プログラム‐トレーナー養成」、「職場環境改善」などをテーマとした、短期(2週間程度)研修プログラムを7回実施した。
また、派遣事業としては、「管理研修プログラム(カンボジア、ラオス、ネパール、インドネシア)」、「賃金管理(モンゴル)」、「組織における効果的コミュニケーションとリーダーシップ(ベトナム)」、「職場環境改善(スリランカ)」などをテーマに9つの海外現地セミナーを実施したほか、「中小企業の経営力強化策」をテーマにアジアの経営者団体との共同ワークショップを開催した。
アジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)はアジア太平洋地域内のビジネス環境の改善と社会・経済の発展を目的に、2001年に域内の経営者団体の連合体として設立された。現在は21カ国の団体が加盟している。日本経団連は会長団体として事務局を務め、以下の活動を行った。
1.総会の開催
第6回総会(6月、於:ジュネーブ)を開催した。前回総会(2006年7月)以降の活動について報告を行い、2008〜10年度の事業計画と予算を承認するとともに、役員を改選し、御手洗会長が会長に選出された。
2.理事会の開催
第18回理事会(6月、於:ジュネーブ)、第19回理事会(11月、於:ジュネーブ)、第20回理事会(3月、於:ジュネーブ)を開催した。活動状況の進捗報告や、対外関係の動きについての確認を行い、併せて今後の活動について協議した。
3.ウェブサイトの充実
会員相互の意見交換や情報提供に資するためのウェブサイトにおいて、加盟国の労働経済指標や労働情勢、労働関係会合の情報などを掲載した。
経営、管理、監督者教育訓練を扱う企業内教育の専門団体である同協会の活動を支援した。
全国18の音楽文化協会(音協)を組織化し、企画の提供や活動の助成を行っている同団体の活動を支援した。
経営法曹会議は、経営法曹の連携協力を図り、労使関係の健全正常な発展に寄与することを目的として、全国の弁護士により69年に設立された。労働法規の適正な解釈、運用、労働判例について調査研究を行っており、会報「経営法曹会議」などに発表している。
本年度は、労働法フォーラムの企画助言・協賛、日本経団連労働法企画部会へのアドバイザーとしての参画などを行った。
全国的または国際的な規模で公益活動を行う機関などが、経済界に資金援助を求める、いわゆる「経済界募金」に協力した。
支援対象は、国際的な学術・文化交流、社会福祉、教育、体育振興、自然保護など、さまざまな分野にわたった。
ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)は、世界各国から選抜・派遣された高校生を受入れ、2年間にわたり英語で教育を行う民間教育機関(本部はロンドン)である。
日本経団連は、UWC日本協会(会長:藤田讓 朝日生命保険社長)の運営を支え、本年度、イギリス、カナダ、イタリア、アメリカ、香港およびインドのUWC傘下の6校に合計8名の高校生を派遣した。
同協会がこれまでに各カレッジに派遣した奨学生の累計は、在校生を含め435名となった。
日本経団連は、諸外国との相互理解と友好親善を目的とする(財)国際文化教育交流財団(理事長:御手洗会長)の運営に、全面的に協力している。
同財団はこれまで172名の日本人奨学生(大学院生)を31カ国に派遣し、奨学金を支給した在日外国人私費留学生(学部生)の累計はアジア13カ国286名に上っている。
また、第14回石坂講演会「中国の変貌−文明から“皇朝”へ、そして国民国家へ」(ワン・ガンウーシンガポール国立大学東アジア研究所長)の講演録の刊行やアジアからの留学生のための見学会を行った。
日本経団連は同奨学金の日本委員会事務局として、ハワイ大学に日本人奨学生を1名派遣し、また、ハワイ大学からの留学生2名の日本における活動を支援した。また、財団の要請を受けて、100万ドル募金活動を行った。(2008年度に継続)。