[経団連] [情報通信委員会]

情報・通信分野の規制改革要望

「2000年度経団連規制改革要望」より ―
2000年10月17日
(社)経済団体連合会

  1. 規制改革の進捗状況と今後の課題
  2. インターネットの爆発的普及、移動体通信の発展、通信と放送の融合時代の到来などを背景に、ITは、国民生活の質的向上、雇用機会の確保、行政システムの改革、ならびに、産業競争力の強化や新産業・新事業の創出にとって不可欠の基盤となっている。欧州、アジア諸国では、こうしたITのメリットの活用を推進に官民をあげて取り組んでおり、その一環として、大胆な制度改革を進めている。
    わが国においては、これまで個別の規制緩和が進められてきたが、今後は、新しい時代に合った枠組みを構築するための制度改革が必要である。とくに、事前規制から事後チェックという政府の方針を情報通信分野において実現することが重要である。そのため、事業者間の自由かつ公正な競争を通じて通信料金の低廉化や利便性向上を促すための電気通信事業法、NTT法の抜本改革、通信と放送の融合に対応した制度改革、民間の自由な創意工夫による無線の活用のための環境整備、ITS推進のための規制緩和、情報ネットワーク化を想定していない諸制度の見直しなどを、国民にわかりやすい透明なプロセスの中で推進すべきである。

  3. 重点要望項目

  1. 市場支配力の有無に着目した法体系への転換
  2. 業務区域および電気通信設備の概要変更に伴う規制の緩和【新規】
  3. 役務区分および役務区分変更許可制の廃止
  4. 業務委託状況の公開
  5. 指定電気通信役務以外の料金届出制の廃止等
  6. 契約約款認可制の廃止
  7. 接続約款、接続協定に関する認可数などの開示
  8. 指定電気通信設備以外の接続に関する協定認可の廃止
  9. 道路占用規制等の見直し【新規】
  10. IRU方式による他事業者への芯線使用における道路占用からの除外【新規】
  11. IRU契約の要件緩和【新規】
  12. 通信・放送の融合に対応した制度整備
  13. 電気通信事業を主要な業務としない第一種電気通信事業者への電気通信事業会計規則適用の除外【新規】
  14. 第一種電気通信事業者の公告による有価証券報告書の開示【新規】
  15. 公正競争に関わる苦情件数等の公表【新規】
  16. 「特定無線設備」および「端末機器」における自己宣言方式の導入
  17. 「端末機器」の技術基準の見直し
  18. 「端末機器」に対する技術基準の世界標準との合致【新規】
  19. 「特定無線設備」の技術基準の見直し【新規】
  20. マイクロ波固定通信局の無線通信装置に関する技術基準の見直し【新規】
  21. 特定無線設備の技術基準適合証明審査の見直し【新規】
  22. 携帯電話端末に対する、特定無線設備の工事設計についての認証手数料および端末機器の設計についての認証手数料の見直し
  23. 端末機器の複合機器に対する技術基準適合認定等手数料の見直し
  24. 通信機器の技術基準適合証明業務への民間参入の促進【新規】
  25. 計測テレメトリー用割り当て周波数・帯域の拡大【新規】
  26. PHSのトランシーバーモードにおける通話時間制限(3分)の大幅緩和【新規】
  27. 高周波利用無線設備の設置規制の緩和【新規】
  28. 家電・汎用品の高調波規制の緩和【新規】
  29. 事業性を重視したCS放送事業者の認定【新規】
  30. CS放送におけるコンテンツ規制の緩和【新規】
  31. CS放送のマスメディア集中排除原則の適用除外化【新規】
  32. 放送事業における外資規制の緩和【新規】
  33. スマート・ウェー・サービス用ビーコンの自動車専用道路、一般道路双方における整備の実現【新規】
  34. 道路交通情報の民間利用等の拡大【新規】
  35. 一般旅券の発給申請の電子化の実現【新規】
  36. インターネット上での戸籍謄抄本・記載事項証明交付申請等の実現【新規】
  37. 入札資格関連書類の電子化【新規】
  38. 工業所有権に関する手数料納付の電子化【新規】
  39. 地方税の電子的手段による一括納付・申告の実現【新規】
  40. 管轄裁判所合意の電子化【新規】
  41. 電子取引における契約の成立時期の見直し【新規】
  42. 建設工事の請負契約の電子化
  43. インターネット上での電子的手段を介在した書面交付による割賦販売の実現【新規】
  44. インターネット上での旅行取引の促進
  45. 保険販売に関する重要事項の書面交付等の電子化【新規】
  46. 銀行口座開設時における電子認証制度等を用いた本人確認の実現【新規】
  47. インターネット中古品オークションの促進【新規】
  48. 税務関連書類の電子化と保存期間の短縮等【新規】

  1. 市場支配力の有無に着目した法体系への転換
  2. 規制の現状
    電気通信事業は、電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する第一種電気通信事業と、それ以外の第二種電気通信事業とに区分されている。
    また、電気通信の運営を適正かつ合理的なものとすることにより、電気通信の健全な発達・国民の利益の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とする、とされている。

    要望内容
    現行の情報通信関連法制について、事業者の適正な事業運営を図る体系から、利用者の利益と自由かつ公正な競争の確保を目的とする情報通信法制へと転換する。その際、設備保有に着目した制度的枠組ではなく、市場支配力の有無に着目した規制体系とし、市場支配力があり、競争が進展していない場合には、必要な規制(上限価格規制、適切な接続ルールの適用、情報開示義務、内部相互補助規制等)を受けるが、競争が進展すれば規制を緩和するインセンティブ規制とする。一方、競争が進展している場合は、料金、接続協定などは原則自由とし、事後チェックの仕組みを設ける。
    また、事業者が自らの経営判断に基づき、回線設備の設置・リセール・アンバンドルを自由に組合せられるようにする。

    要望理由
    IT革命を推進するためには、IT有効活用の基盤となる情報通信サービスが利用者ニーズに即応して低廉・多様に提供されることにより、情報通信市場が拡大して事業者間のさらなる競争を促し、料金の低廉化、多様化が図られ、それがまた利用者ニーズを向上して競争を促すという好循環を形成していく必要がある。そのためには、事業者の事業運営の適正化・合理化を図るのではなく、電気通信市場のあらゆる分野において、自由かつ公正な競争を確保し、事業者が自由に創意工夫を発揮できる枠組みを整備する必要がある。
    欧米においても、設備ではなく市場支配力を有する事業者に対する規制が敷かれるとともに、利用者利益の確保、自由かつ公正な競争の確保を目的とした法制が整備されている。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第1条、6条

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局

  3. 業務区域および電気通信設備の概要変更に伴う規制の緩和【新規】
  4. 規制の現状
    第一種電気通信事業者が業務区域、電気通信設備の概要の変更を行なう場合、軽微な変更を除き許可が必要である。また、許可申請にあたり、事業開始予定日以降の5年間の事業収支見積書等を提出しなければならない。

    要望内容
    業務区域および電気通信設備の概要の変更について届出制とする。早急に軽微な変更の対象は、下記の通りとする。
    1. 業務区域変更の場合
      1. 業務区域が自社網によるものの変更の場合、既に事業の許可を受けた業務区域が存する都道府県内における増加に該当するもの
      2. 業務区域が相互接続によるものの変更の場合、接続事業者を問わず、既に事業の許可を受けた業務区域が存する都道府県内における増加及び既に事業の許可を受けた業務区域が存する都道府県内における一部の減少に該当するもの
    2. 電気通信設備の概要の変更の場合
      1. 端末系伝送路設備の変更の場合、設置の区域の変更については既に事業の許可を受けた端末系伝送路設備が存する都道府県内における増加及び既に事業の許可を受けた端末系伝送路が存する都道府県内における一部減少に該当するもの、並びに種類についてはそのすべて
      2. 中継系伝送路設備の変更の場合、設置の区間の変更については、その一端が既に事業の許可を受けた中継系伝送路設備が存する都道府県内における増加及び既に事業の許可を受けた中継系伝送路設備が存する都道府県内における一部減少に該当するもの、並びに、種類についてはそのすべて
      3. 交換設備の変更の場合、既に事業の許可を受けた交換設備が存する都道府県内における増加及び既に事業の許可を受けた交換設備が存する都道府県内における一部の減少に該当するもの、並びに、方式・種類についてはそのすべて

    要望理由
    事業者が自由に創意工夫を発揮できるようにするためには、業務区域および設備の概要については事業者の自主判断に委ね、市場での競争や利用者の利益等の観点から問題がある場合に事後的にチェックをするのが望ましい。
    サービス提供にあたり設備工事や広告等の事前準備が必要となるが、許可取得時期の予想が困難であるため、ユーザーニーズに基づく迅速なサービス提供に支障を来す場合がある。
    規制が緩和されれば、許可のタイミングに左右されることなく設備工事や広告宣伝を行なうことが可能となり、ユーザーニーズに即応した柔軟なサービス提供や広告宣伝が可能となる。また、事業者、行政ともに事務負担が軽減される。
    業務区域が相互接続によるものの変更の場合、既に許可を受けた業務区域が存在する都道府県内において、新たに業務区域を設置する場合は、現在許可対象となっており、その業務区域のみに関わる5年間にわたる事業収支見積書を作成・提出することとされているが、このような軽微な変更についてまで許可対象とする意義が見出せないので、見直しは急務である。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第14条

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局

  5. 役務区分および役務区分変更許可制の廃止
  6. 規制の現状
    電気通信役務の種類は、音声伝送、データ伝送、専用の3つに区分されており、第一種電気通信事業者は電気通信事業の許可にあたり、役務の種類を郵政大臣に提出しなければならない。また役務の種類を変更する場合、軽微な変更を除いて、郵政大臣の許可が必要である。

    要望内容
    役務区分および役務区分変更許可制は廃止する。なお、公正競争の観点から、市場支配力を有する事業者には、引き続き、役務別損益明細等の情報開示を求めることとする。

    要望理由
    利用者は、技術革新や電話網とIT網の統合化などネットワークの統合化の進展などにより、音声伝送、データ伝送、専用という役務を意識することがなくなってきており、サービス提供に際して、役務を区分する意味合いがなくなっている。
    役務区分および役務区分変更許可制が廃止されれば、音声、データを組み合わせた一括的割引サービスの提供など、マーケットの現状に即したサービス・料金の多様化が図られるとともに、利用者ニーズに即応した柔軟かつ機動的なサービス提供が可能となり、利用者の利便性が向上する。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第33条、電気通信事業法施行規則第3条

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局

  7. 業務委託状況の公開
  8. 規制の現状
    電気通信事業法では、第一種電気通信事業者が電気通信役務の一部を委託する場合、郵政大臣の認可が必要であり、その認可は、電気通信事業法関係審査基準において、国際電気通信事業者が国内伝送業務などを介して行なう国際伝送業務を委託する場合など、定められた要件に適合する場合に限られている。

    要望内容
    業務委託認可状況(審査基準における根拠規定など)を公開する。

    要望理由
    1999年12月に「電気通信事業者のネットワーク構築マニュアル」において、業務委託の要件等が公表されたことは評価できるが、行政の透明性確保の観点から、業務委託を認可している事業者とその認可理由を事業を阻害しない範囲で開示するのが望ましい。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第15条、電気通信事業関係審査基準第8条

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局

  9. 指定電気通信役務以外の料金届出制の廃止等
  10. 規制の現状
    第一種電気通信事業者、特別第二種電気通信事業者は、指定電気通信設備を用いて電気通信役務を提供する場合を除き、電気通信役務に関する料金を定め、実施の7日前までに、郵政大臣に届出なければならない。変更する際も同様の届出が必要である。
    郵政大臣は、届け出た料金が特定の者に対し不当な差別的取り扱いをするものなどである場合、料金の変更を命ずることができる。

    要望内容
    指定電気通信設備を設置して電気通信役務を提供する場合を除き、料金届出制は廃止する。また、料金の差別的取り扱いを禁止する条項を柔軟に運用する。

    要望理由
    料金は、競争、市場メカニズムを通じて決定されるものである。競争が進展し、代替性のあるサービスについて、ユーザーに不利益な料金設定をしている事業者からは、ユーザーは離れていくので、料金を届出制としておく必要はない。
    完全非規制となれば、事業者は個々のユーザーの需要の多寡とそれに対応したコストに即して、ユーザーニーズに対応した多様な料金設定が可能となり、利用者利益の向上につながる。事務手続の簡素化にもつながることなどから、新たなサービスを考案した段階で機動的に提供することができる。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第31条、第31条の3

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局

  11. 契約約款認可制の廃止
  12. 規制の現状
    第一種電気通信事業者は、電気通信役務に関する提供条件について、郵政大臣が定めて公示した標準契約約款と同一の契約約款を定めようとして届け出る場合を除き、契約約款を定め、郵政大臣の認可を受けなければならない。変更する場合も同様に認可が必要である。

    要望内容
    契約約款認可制は廃止する。

    要望理由
    新しい通信サービスの提供に際し、逐一約款の認可が必要とされるのでは、利用者ニーズに対応した機動的、迅速なサービス提供ができない。
    約款認可が非規制となれば、行政、事業者ともに事務負担の軽減につながる。
    消費者保護の観点は、2001年施行予定の消費者契約法や事後監視機能の強化、郵政大臣による業務改善命令等により担保される。
    諸外国においても、約款認可制はほとんど例が見られない。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第31条の4

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局

  13. 接続約款、接続協定に関する認可数などの開示
  14. 規制の現状
    指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者は、接続約款を定め、郵政大臣の認可が必要であり、原則として、認可接続約款でなければ、他の電気通信事業者と接続協定を締結してはならない。指定電気通信設備を設置しない電気通信事業者間の接続協定の締結は、認可接続約款で協定を締結する場合は届出で、それ以外の場合は、郵政大臣の認可が必要である。
    指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者は、認可接続約款を公表しなければならない。

    要望内容
    郵政省は、指定電気通信設備に係わる接続約款に関するもの、および指定電気通信設備以外の事業者間の相互接続に関するものの双方について、全事業者の認可、届出に関する月毎の件数等の概況を接続ルール策定時(平成9年)にさかのぼり公表する。

    要望理由
    本年の接続ルールの見直しに際して、接続約款、接続協定の認可の実態を適正に把握できるよう、月毎の件数等の統計データを広く国民が共有する必要がある。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第38条の2、同第38条の3

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局

  15. 指定電気通信設備以外の接続に関する協定認可の廃止
  16. 規制の現状
    指定電気通信設備を設置しない第一種電気通信事業者、特別第二種電気通信事業者は、指定電気通信設備を設置する事業者と接続協定を締結する、あるいは認可接続約款により接続協定を締結する場合を除き、他事業者と接続協定を締結する際、郵政大臣の認可が必要である。接続協定を変更する際も同様の認可が必要である。
    また、指定電気通信設備以外の接続料金は、電気通信事業審査基準において、不当な差別的取扱をするものでないことと規定されている。

    要望内容
    指定電気通信設備に関するものを除く電気通信設備の接続に関する協定について、認可制を廃止し(届出不要)、相対での締結を可能とする。また、競争が進展しているサービスについては、個別接続料金を設定できるようにする。

    要望理由
    指定電気通信設備以外の接続に関する接続協定は、権利義務関係の明確化の必要性から、全ての事業者間でメッシュ状に協定を締結し、すべてについて認可を受けざるをえないのが実態である。また、接続形態の追加などの軽微な変更に際しても認可が必要とされている。このため、事業者の接続協定認可に係わる負担は大きなものとなっており、ユーザーニーズに対応してサービスを円滑・簡便に提供することが妨げられている。
    接続協定は、不当な差別的取扱いの防止、事業者間の責任の明確化等の観点から認可制とされているが、指定電気通信設備以外の電気通信設備の接続は、複数の事業者が提供しており、代替性があることから、専門家を有する事業者毎の経営判断に委ねれば良い。なお、事業法では、あらゆる通信を物理的に可能とする観点から、設置された設備に関して相互接続の義務づけが確保されるとともに、接続に関する事業者間の協議において紛争などが生じた場合にも事業者の申し立て・申請により、郵政大臣による裁定手続をとることが担保されており、紛争などが生じた場合でも適切な対応が可能である。
    接続協定の認可制度が廃止され、個別接続料金が設定されれば、事業者は、接続条件によって接続する事業者を変更することが可能となる。トラフィック量に応じたビジネスベースの接続料金の設定など、市場原理に基づいた柔軟かつ弾力的な接続、区間毎に回線を使い分けた接続も可能となり、市場の活性化、事業者間の競争が促進される。事業者、行政の事務負担軽減にもつながり、円滑な接続の確保にも資する。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第38条の3、電気通信事業審査基準

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局

  17. 道路占用規制等の見直し【新規】
  18. 規制の現状
    通信事業者が回線網を構築する場合、回線敷設する場所に法的規制が多数存在するため、円滑な回線敷設が妨げられている。
    例えば、通信事業者が道路に電柱・管路等の工作物等を設け、継続して道路を使用する場合、道路占用許可が必要である。当該許可を得るためには、原則、道路管理者や公益事業者等で構成される「道路工事調整協議会」での調整を経なければならないが、同協議会に新たな通信事業者が入会できるのか明確になっていない。また、道路占用の許可にあたっては、事実施方法、昼間道路工事の禁止等の基準が詳細に定められている。さらに、道路で工事等を行なう場合、所轄警察から道路使用許可を得なければならず、許可条件として交通誘導員の配置、迂回路の確保等が定められている。

    要望内容
    1. 通信事業者が柔軟なネットワークを構築できるよう、回線敷設のために利用する道路等における法的規制(道路占用規制・道路使用許可規制等による、短期間・短距離の工事に関する基準、工事掘削禁止区域・期間の設定、昼間道路工事の禁止等)の一層の緩和を図る。
    2. 道路調整会議に関して、協議会の日程や工事スケジュール等、新規事業者が事業展開する上で最低限必要とされる情報を開示するなど、オープンな運営を図る。
    3. 行政は、道路工事に関わる法律・手続集、道路占用許可基準等をまとめた回線敷設に関わるマニュアルを整備するとともに、公共空間に埋設済みの管路の敷設状況や空き情報等に関する共通の情報データベースを整備する。

    要望理由
    IT革命の成果を十分に享受できるようにするためには、通信市場における競争を促進し、IT有効活用の基盤となる広帯域の通信サービスが利用者ニーズに応じて低廉な料金で提供される環境を整備する必要がある。その一環として、通信事業者が低廉に回線敷設を行なえるよう、道路等の公共空間利用の円滑化を促進する制度整備を図る必要がある。
    通信回線敷設のための公共空間利用に際して、工事掘削禁止区域や期間が設定される、昼間での工事を禁止されるなど、回線を敷設する場所毎に法律等の規制が多数存在するため、通信事業者の回線敷設に大きな影響を与えている。道路調整会議にしても、新規の通信事業者には必要な情報が入手困難である。また、道路関係の許可基準等は通達や方針等であることも多いことから、通信事業者は道路掘削等に関してどのような基準・条件が整備されているのか把握し難い状況にある。このような規制等が存在するため、通信事業者は結果として回線敷設に膨大なコストと時間を要しているのが実態である。
    通信事業者が回線敷設のための公共空間を利用する際、その場所毎に存在する多数の規制の緩和、道路調整会議等の運営改善等が図られれば、通信事業者は煩雑な手続を経ずに低コストで回線を敷設することが可能となる。電気通信分野のインフラベースでの競争が促進され、利用者の利便性が向上する。

    規制の根拠となる関係法令等
    規制の根拠となる関係法令等
    道路法、道路交通法、河川法など

    所管官庁
    建設省、運輸省、郵政省、警察庁等

    担当課等

  19. IRU(indefeasible right of use=破棄し得ない使用権)方式による他事業者への芯線使用における道路占用からの除外【新規】
  20. 規制の現状
    電柱、電線、管路などの工作物等を道路に設け、継続して道路を使用する場合は、道路管理者の許可を受けなければならない。管路を所有する事業者は、その中に既に通信線を所有する事業者が、他の事業者に対し当該通信線の一部を譲渡し(IRU方式により他の事業者に芯線の一部を使用させる場合も含む)、他の事業者が譲渡を受けた通信線の一部を使用する場合、譲渡を受けた事業者が新規の占用の許可申請をする必要はないが、管路を所有する事業者が、当該管路の占用目的の変更許可申請を行なう必要がある。

    要望内容
    既設の電線をIRU方式により他の事業者へと芯線の一部を使用させる場合、道路占用にあたらないとする。

    要望理由
    通信線をIRUで取得しようとする他の事業者は、通信線の所有者と管路の所有者が異なる場合、管路所有者に対して、管路に係わる占用目的変更許可申請を依頼しなければならないのでは、手続が煩雑となる。そもそも、既存通信線を新規に設置する場合において、管路の所有者が占用許可申請を行なっており、IRUとして他の事業者に貸し出すとしても、その通信線自体に変化はないことから、管路管理者が新たに許可をする意義が見出せない。IRUは長期的・安定的な契約の下で使用権を設定したものであり、譲渡には当たらないと考えるのが妥当である。
    また、管路所有者が道路管理者から占用目的変更許可を受けるまで、IRUを取得しようとしている事業者は芯線を使用できないのでは、円滑なサービス提供の妨げとなる。
    通信市場の競争を促進する観点からも、通信事業者以外の事業者を含めた設備や芯線貸借の融通性促進を図ることが重要である。

    規制の根拠となる関係法令等
    道路法第32条、建設省道路局通達(平成11年3月31日、第31号)

    所管官庁
    建設省

    担当課等
    道路局

  21. IRU契約の要件緩和【新規】
  22. 規制の現状
    IRU(indefeasible right of user=破棄し得ない使用権)による設備の「設置」が認められるためには、電気通信回線設備について、第三者担保権が設定されていないことが必要とされている。

    要望内容
    すべての第三者担保権を同一の取り扱いをせず、例えば、財団抵当(企業を構成する物的設備等を一括して統一財産として抵当権を設定)に係わる電気通信回線設備については、IRUを認める。

    要望理由
    柔軟なネットワーク構築や資産の有効活用の観点から、IRUが注目されている。IRUに関する郵政省の考え方が整理、公表されたことは評価できるが、公益事業者等、信用力が高い者が設定する財団抵当については、一般の担保権と同様に取り扱う必要がない。財団抵当は、財産を一括して担保権を設定することによって、担保権行使による資産分散、サービス提供機能不全を防ぐという意味で、サービスを停止ではなく、継続するための趣旨である。
    また、ここ1年ほどの間に、光ファイバーについては、下水道や建設省の情報BOX、電力会社の光ファイバなど、多様な供給がはじまり、代替の選択肢も増大しているため、万が一の時の代替策も増えてきている。したがって、IRU契約の抵当の問題は従前ほど重要ではなくなってきている。むしろダークファイバの活用を促すことは、通信役務の価格低下や競争促進に寄与すると考えられる。

    規制の根拠となる関係法令等
    郵政省「電気通信事業者のネットワーク構築マニュアル」(1999年12月)

    所管官庁
    郵政省電気通信局

    担当課等
    事業政策課

  23. 通信・放送の融合に対応した制度整備
  24. 規制の現状
    電気通信のうち、不特定多数の公衆によって直接受信されることを目的とする無線、有線の送信が放送とされ、特定者間の情報伝送は通信とされている。
    郵政省は、通信と放送の中間領域的なサービスについて、通信と放送と区分して許認可を与えている。

    要望内容
    通信・放送の融合の進展に対応して、事業者の自由闊達な事業展開が可能となるよう、情報伝送設備、コンテンツを自由に組み合わせてサービス提供を可能とする、通信・放送を総合的にとらえた法制度を整備する。

    要望理由
    インターネット放送や通信衛星等を利用したIPマルチキャストなど、現行制度の枠組みでは、通信か放送かを明確に区分できないサービスが出現しており、今後益々増加していくものと予想される。
    通信と放送とを区分して許認可を与えている現状では、事業者はサービス毎に逐一通信か放送かを判断した上で、行政の指示を仰がなければならず、機動的なサービス展開の足枷となっている。
    通信・放送が融合分野の市場は、21世紀において活力ある経済社会を構築する上でも期待されている分野であり、通信・放送の融合に対応した法整備が行なわれれば、新たなサービスの進展、インフラ機器の需要拡大等が期待できるとともに、利用者の利便性向上につながる。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法、放送法 等

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局、放送行政局

  25. 電気通信事業を主要な業務としない第一種電気通信事業者への電気通信事業会計規則適用の除外【新規】
  26. 規制の現状
    第一種電気通信事業者は、貸借対照表、損益計算書等の作成にあたり、郵政大臣の特別の許可を受けた場合を除き、電気通信事業会計規則に則らなければならない。

    要望内容
    第一種電気通信事業を主要な事業としない企業には、複数の公益事業を営む場合を除き、電気通信事業会計規則に則った会計整理を義務づけないこととする。

    要望理由
    電気通信分野の競争が進展すれば、電気通信事業以外の事業を主要な業務とする事業者の参入(異業種からの参入)、あるいは電気通信事業を主たる業務としていた事業者の他業種への軸足の移動ということも考えられる。主要な事業が電気通信事業でないにもかかわらず、電気通信事業会計規則に則って会計整理を行なうのでは、その企業の実態を把握することが困難になる。また、参入前と参入後に公開していたものと様式がことなるため、継続性が失われる。
    因みに、証券取引法に基づく財務諸表の作成に際しては、明確な除外規定が設けられており、事業の規模に応じて、企業にふさわしい会計整理が認められている。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第33条
    電気通信事業会計規則第2条
    株式会社の貸借対照表、損益計算書、営業報告及び附属明細書に関する規則の特例に関する省令 第7条

    所管官庁
    郵政省、法務省

    担当課等

  27. 第一種電気通信事業者の公告による有価証券報告書の開示【新規】
  28. 規制の現状
    第一種電気通信事業者は、役務別損益明細表等の開示にあたり、有価証券報告書を提出する会社以外で、かつ資本の額が5億円以上で負債が200億円以上の会社である場合、役務別損益明細表等を官報または時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載しなければならない。

    要望内容
    有価証券報告書を提出する企業においても、複数の公益事業を営む場合を除き、役務別損益明細表等の公告による開示を可能とする。

    要望理由
    電気通信事業を主要な事業とせず、多様な事業展開を行なっている企業にとっては、電気通信事業は特定の一事業に過ぎない。そのような企業にも、第一種電気通信事業の役務別損益明細書等を有価証券報告書に詳細に記載するのは、記載内容の観点からなじまない。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第33条、電気通信事業会計規則第2条、
    電気通信事業会計規則附則第3項の規定に基づく役務別損益明細表、電話役損益明細表及び専用役務損益明細表の開示方法(平成10年郵政省告示第541号)

    所管官庁
    郵政省

    担当課等

  29. 公正競争に関わる苦情件数等の公表【新規】
  30. 規制の現状
    郵政省では、電気通信局事業政策課に、事業者からの公正競争に関する苦情を受け付けるための公正競争推進室を設けている。

    要望内容
    当該公正競争推進室への月毎の苦情件数、内容、郵政省としての対応及び考え方を、室設置時にさかのぼり公表する。

    要望理由
    公正競争推進室が設置されてはいるものの、どのような内容の苦情を受付けたのかが公表されていない。また、どのように苦情処理を行ったのかが不明確なままでは、公正競争確保に向けた取り組みに対する疑念が生じざるを得ない。
    苦情処理の状況を公表するなど、苦情処理の実績を積み重ねていけば、行政の透明性向上ととともに、公正競争のルールの整備にも寄与することが期待される。

    規制の根拠となる関係法令等


    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局事業政策課

  31. 「特定無線設備」および「端末機器」における自己宣言方式の導入
  32. 規制の現状
    電波法に定める特定無線設備については、一般的に、簡易な免許手続を受けるためには、技術基準に適合していることの証明を受けることが、事実上、義務づけられている。
    また、電気通信事業法に定める端末機器に対しても、技術基準に適合していることの認定を受けることが、実質的に義務づけられている。

    要望内容
    技術基準に適合していない機器等を製造・販売する者への罰則の担保措置等を講じつつ、機器等を製造・販売する者が技術基準に適合していることを自己宣言する方式も認めるべきである。
    また、2000年10月以降、技術基準を新たに定める特定無線設備や端末機器(例えば、IMT2000、ITS関連機器)についても、自己宣言方式を可能とすべきである。

    要望理由
    1. 技術基準が明確であれば、民間企業自身でも技術基準に適合しているか否かは判断できる。企業が急激な技術革新と市場ニーズの変化などに迅速に対応できるように、事前規制から事後チェックへ転換する必要がある。
    2. ITSや国際標準化が進められているIMT-2000などは、今後需要の増大が予想されている。企業には、より早く良質な機器をより低コストで提供することが期待されている。新分野の円滑な発展を図る観点から、技術基準の証明や認定の手続に要する時間・費用等の制約をなくす必要がある。
    3. EUでは自己宣言方式が導入されており、米国においても、試験データを連邦通信委員会(FCC)に事後チェック用に提出して、認証が得られる方式が採用されるなど、実質的に企業による自己宣言が可能となっている。

    規制の根拠となる関係法令等
    電波法第38条の2
    電気通信事業法第49条、第50条、第50条の4、第51条

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電波部電波環境課、電気通信事業部電気通信システム課

  33. 「端末機器」の技術基準の見直し
  34. 規制の現状
    電気通信事業法に定める端末機器については、端末設備等規則に定められた技術基準に適合していることの認定を受けることが、実質的に義務づけられている。

    要望内容
    端末設備等規則に定める技術基準について、次の項目の削減を含め、抜本的な見直しを行う。
    1. 漏洩する通信の識別禁止、
    2. 鳴音の発生防止(リターンロス、リターンロス測定法)、
    3. 過大音響衝撃の発生防止、
    4. 配線設備等(評価雑音電力)、
    5. 発信の機能(選択信号の送出時間、送出後開放すべき時間、非常時の適用除外)、
    6. 選択信号の条件(ダイヤルパルス、押しボタンダイヤル信号)、
    7. 直流回路の電気的条件等(回路を閉じている時の、直流抵抗値、押しボタンダイヤル信号送出時の直流抵抗値、ダイヤルパルスによる選択信号送出時における静電容量。回線への直流電圧印加の禁止)、
    8. 漏話減衰量

    要望理由
    上記(1)〜(8)は、米国、英国等の先進諸国をみても、すべての国が規定をしているものではない。技術基準を規定した後の技術革新等を踏まえ、技術基準として現在でも必要な項目と必ずしも必要でない項目とを峻別するとともに、技術基準の内容を吟味(数値の緩和等)することが必要である。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第49条、第50条、第50条の4、第52条
    端末設備等規則

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電気通信事業部電気通信システム課

  35. 「端末機器」に対する技術基準の世界標準との合致【新規】
  36. 規制の現状
    電気通信事業法に定める端末機器に対しては、端末設備等規則に定められた技術基準および各通信事業者が設定する技術的条件に適合していることの認定を受けることが、実質的に義務づけられている。省令等で定められていない事項は、各通信事業者が個別に郵政大臣の認可を受けて技術的条件を設定しなければならず、技術的条件の修正、削除も認可対象となっている。

    要望内容
    各通信事業者が郵政大臣の個別認可により設定された技術的条件に関して、ITU-T勧告、TTC標準、IEEE標準等の世界標準が定められた場合には、それに合致した技術基準を端末設備等規則に定めるとともに、規則に盛り込んだ内容については、各通信会社が個別認可を受けた技術的条件から引き継がれたものとして扱い、技術的条件の修正のための認可は不要とする。

    要望理由
    IT分野の急速な変化の中で、通信事業各社は、郵政省告示に示されていない新技術を用いることが多くなっている。かかる技術は、ITU-T勧告等に見られる世界標準のケースが多いが、これらを採用するためには、各社が同じ内容の申請を個別に行い、郵政省の個別認可を受けて技術的条件を設定することが必要となり、迅速なサービスの提供が行えない。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第49条等

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電気通信事業部電気通信システム課

  37. 「特定無線設備」の技術基準の見直し【新規】
  38. 規制の現状
    電波法に定める特定無線設備に対しては、郵政省令に定められた技術基準への適合の認定を受けることが、実質的に義務づけられている。当該設備が使用する周波数域、ならびに空中線電力が、技術基準に定められた範囲を超える場合には、個別に郵政省の審査を受ける必要がある。

    要望内容
    特定無線設備の技術基準について、周波数域、空中線電力の規制を緩和すべきである。

    要望理由
    技術基準に定められた周波数域、空中線電力は、欧米諸国の基準よりもはるかに厳しいものとなっている。このため、情報を電力電灯線で搬送したり、無線LANを実施する場合の場合には、システム構築の都度、個別審査の対象となり、情報関連設備のコスト高をまねている。

    規制の根拠となる関係法令等
    電波法第4条、第38条の2
    電波法施行規則第6条
    特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則第2条

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電波部電波環境課

  39. マイクロ波固定通信局の無線通信装置に関する技術基準の見直し【新規】
  40. 規制の現状
    マイクロ波固定通信局の無線通信装置に関しては、電波法等により、変調方式、伝送容量、アクセス方式などの技術基準が詳細に規定されている。このため、一旦無線局の免許を得て装置を設置した後に、伝送容量の拡大やポイント・トゥ・ポイントからポイント・トゥ・マルチポイントへの変更を行うには、別の無線機による別の周波数を使った新たな免許申請が必要となっている。

    要望内容
    伝送容量の拡大やポイント・トゥ・ポイントとポイント・トゥ・マルチポイント間の変更は、免許の書換申請等、簡便な方法で行えることとすべきである。

    要望理由
    上記の規制は、デジタル回線技術の需要拡大に対応し、無線通信装置の高機能化などを行うに当たってのコストを引き上げるとともに、固定無線回線の需要自体を押し下げている。
    欧米の場合は、通信事業者が使用できる周波数帯と、その周波数帯を使用するに当たっての最低伝送効率を規定するといった規制が行われているのみであり、免許の書換申請を行えば伝送容量増が可能となっている。また、使用免許を得た周波数の範囲であれば、ポイント・トゥ・ポイントからポイント・トゥ・マルチポイントの変更は自由に行えることとなっている。

    規制の根拠となる関係法令等
    電波法
    無線局免許手続規則

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電波部電波環境課

  41. 特定無線設備の技術基準適合証明審査の見直し【新規】
  42. 規制の現状
    電波法上の特定無線設備については、実質的に郵政省令で定める技術基準適合証明を受けねばならないこととなっているが、
    1. 同証明申請に当たっては、商用機の提出が求められている。
    2. (財)テレコムエンジアリングセンター(TELEC)の審査結果は、申請書の受理から15営業日以内に通知することとなっている。しかし、「営業日」とは純粋にTELEC内での処理に要する期間であり、企業とのやり取り等の必要が生じた場合、かかるやり取りに必要な時間等は含まれておらず、審査に一ヶ月以上かかる事例も多々見られる。
    3. 同証明は、無線設備単位で行われているため、装置の追加や組み合わせの変更を行う度に、申請することが求められる。

    要望内容
    1. 技術基準適合証明申請に当たっては、商用機のみならず、試作段階の機器の提出も認めるべきである。
    2. 審査期間を暦日1ヶ月以内に短縮すべく、官民協力を促進するとともに、申請・審査プロセスの合理化・電子化を実施すべきである。
    3. 証明は、無線設備全体ではなく、それを構成する各々の装置毎に行うとともに、証明を受けた装置を組み合わせた無線設備については、技術適合証明の取得を不要とするか、証明取得手続を大幅に緩和すべきである。

    要望理由
    1. 申請時に商用品の提出が必要なため、当該商用品の完成まで申請は行えない。施策段階にあっても、無線設備の特性は商用機と変るものではなく、技術適合性の評価に影響しない。試作品の提出が認められれば、事業のよりスピーディな展開が可能となる。
    2. 電気通信事業法上の端末機器を認定する(財)電気通信端末機器審査協会(JATE)の場合には、審査期間が暦日で一ヶ月以内に短縮している。TELECにおいても審査迅速化に向けた対応を行う必要がある。現状では、審査に数ヶ月を要することで、市場ニーズに的確に対応した迅速な商品の出荷が妨げられているケースもある。申請・審査プロセスを合理化するとともに、電子メールの活用および電子ファイルによる資料等の提出等を認めることによって、業務効率が高まる。
    3. 無線設備の性能等に特段の違いがない場合でも、装置の追加や組み合わせの変更を行う毎に、証明の取得が必要となる。このため、ユーザー・ニーズに木目細かに応えた商品構成が不可能となっている。

    規制の根拠となる関係法令等
    電波法第38条
    特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則第3条

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電波部電波環境課

  43. 携帯電話端末に対する、特定無線設備の工事設計についての認証手数料および端末機器の設計についての認証手数料の見直し
  44. 規制の現状
    携帯電話端末に関しては、特定無線設備の工事設計についての認証手数料として1件あたり51万円、端末設備の設計についての認証手数料として1件あたり35.17万円、合計86.17万円の費用が必要となっている。

    要望内容
    携帯電話端末に対する、端末機器の設計についての認証手数料を現行の半分にするとともに、この程度まで特定無線設備の工事設計についての認証手数料を引き下げる。

    要望理由
    1. 米国の場合、連邦通信委員会(FCC)が試験データの提出を求めた上で、携帯電話端末に対する認証を行うが、その手数料は、無線部分で940ドル(103,400円)、有線部分で200ドル(22,000円)となっている。<*1ドル110円換算>
    2. 技術基準適合証明及び認証を行なう指定証明機関としては財団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)、財団法人日本アマチュア無線振興協会(JARD)、技術基準適合認定等を行なう指定認定機関としては財団法人電気通信端末機器審査協会(JATE)を除いて、郵政大臣から指定を受けていないため、手数料を定めるにあたって、競争原理が働いているとは言い難い状況にある。

    規制の根拠となる関係法令等
    特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則第15条
    電気通信事業法第98条、電気通信事業法施行令第5条

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電波部電波環境課、
    電気通信事業部電気通信システム課

  45. 端末機器の複合機器に対する技術基準適合認定等手数料の見直し
  46. 規制の現状
    電気通信事業法に定める端末機器に対しては、技術基準に適合していることの認定を受けることが、実質的に義務づけられており、認証を受けるにあたっては手数料が必要とされている。その際、複数の機能を有する機器からなる複合機器についての技術基準適合認定等の手数料は、端末機器の種別の手数料の合算額を基本とし、その上で、複合による少額の減額が行われている。

    要望内容
    電気通信事業法に定める端末機器の複合機能をもつ機器に対する技術基準適合認定等手数料については、手数料を高額な機能に対応した手数料のみとする。

    要望理由
    例えば、構内交換機(PBX)の通常機能に総合デジタル通信機能(ISDN機能)が付加される場合、99年3月に技術基準適合認定手数料が改訂される前は、PBXの手数料722,600円とISDN機能の手数料346,500円のうち手数料が高額なPBXの手数料だけが適用されていたが、改訂後では、PBX分の722,600円とISDN機能分の330,000円と複合による減額25,100円により合計1,027,500円が適用され、結果として手数料が引き上げられている。

    規制の根拠となる関係法令等
    電気通信事業法第98条
    電気通信事業法施行令第5条、別表2
    端末機器の技術基準適合認定及び設計についての認証に係る手数料の減額に関する省令

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電気通信事業部電気通信システム課

  47. 通信機器の技術基準適合証明業務への民間参入の促進【新規】
  48. 規制の現状
    電波法に定める特定無線設備、ならびに電気通信事業法に定める端末機器に対しては、実質的に郵政大臣が指定する機関の技術適合証明・認定を受けることが義務づけられている。
    指定証明・認定機関への新規参入の道は、閉ざされてはいないものの、事実上、特定無線設備については、(財)テレコム・エンジアニング・センター、端末機器に対しては(財)電気通信端末機器審査協会の独占状態となっている。

    要望内容
    特定無線設備、端末機器の技術基準適合証明・認定業務に関して、競争原理を導入すべく、現在の認証制度の品質の維持を図りつつ、民間参入(内外無差別)を促進すべきである。

    要望理由
    当該証明・認定業務に競争原理を導入することにより、証明・認証業務の迅速化、手数料の低下が期待できる。
    また、外資系の参入により、外国企業にとっての日本市場参入が促進されるとともに、海外市場の規格情報等の入手が容易になる。
    EUにおいては、証明・認定業務が民営化され、複数団体によるサービスが行われている。この結果、手数料は低下は日本の数分の1の水準に低下している。また、EUの試験認証機関テュフプロダクトサービスは、東京でもサービスを行っており、日本企業の対欧州輸出の円滑化に貢献している。米国においては、当該業務は民間が行っており、また、連邦通信委員会(FCC)の検査部門は、通信機器の技術基準適合に関する事後チェック的な役割を果たす方向である。

    規制の根拠となる関係法令等
    電波法第38条の2
    特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則
    電気通信事業法第68条
    電話機器技術基準適合証明に関する規則

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電波部電波環境課、電気通信事業部電気通信システム課

  49. 計測テレメトリー用割り当て周波数・帯域の拡大【新規】
  50. 規制の現状
    遠隔地の雨量の観測等に利用される計測テレメトリーに関しては、400MHzもしくは1.3GHzの周波数において、それぞれ帯域が割り当てられている。

    要望内容
    計測テレメトリー用の周波数・帯域の割り当てを拡大すべきである。

    要望理由
    より高精度・高分解能の画像を用いた計測データ等へのニーズが高まっている。しかし、計測テレメトリ−用に割り当てられている現在の周波数・帯域では、大量のデータを短時間に伝送することは不可能である。

    規制の根拠となる関係法令等
    電波法
    電波法施行規則

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電波部

  51. PHSのトランシーバーモードにおける通話時間制限(3分)の大幅緩和【新規】
  52. 規制の現状
    PHSのトランシーバーモードにおける通話時間については、無線チャンネル不足を回避する観点から、PHSの標準化のために設けられた「第二世代コードレス電話システム標準規格((社)電波産業会)」において、3分以内と定められている。

    要望内容
    3分間の通話時間制限を大幅に緩和すべきである。

    要望理由
    上記規制のため、PHSのトランシーバー・モードは、ユーザーにとって使い難いものとなり、PHSの魅力が減じられている。
    PHSの送信電力や普及状況を考えると、通話時間制限を大幅に緩和したとしても、PHSの周波数資源が枯渇するとは考えられない。

    規制の根拠となる関係法令等
    電波産業会
    「第二世代コードレス電話システム標準規格」

    所管官庁


    担当課等

  53. 高周波利用無線設備の設置規制の緩和【新規】
  54. 規制の現状
    トランシーバーなど10KHz以上の高周波電流を利用する無線設備の設置に当たっては、その設置場所を問わず、郵政大臣の許可が必要となる。

    要望内容
    工業専用地域などにおいて使用される高周波無線設備に関しては、郵政大臣の許可を不要とすべきである。

    要望理由
    工業専用地域内でトランシーバーを利用する場合で、民家などに対する電波障害の恐れがない場合でも、高周波無線設備設置の許可が必要となっている。このため、企業側の事務量ならびに経費の増大を招いている。

    規制の根拠となる関係法令等
    電波法第100条

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    電気通信局電波部

  55. 家電・汎用品の高調波規制の緩和【新規】
  56. 規制の現状
    パソコンなどの情報関連機器は、コンセント周辺部に流れる電流によるノイズを防止し、安定的な電力供給を確保する観点から、通産省発行の「家電・汎用品高調波抑制対策ガイドライン」に沿った自主規制が行われている(電子工業振興協会などをベースに自主規制を実施)。

    要望内容
    通産省ガイドラインならびに各工業会ベースで行われている自主規制の内容を国際的整合性の観点から見直すべきである。

    要望理由
    1. 米国においては高調波規制が存在しない。EUにおいては、高調波規制の企業活動への影響から、その導入の可否について議論がなされている。
    2. 現状では、日本メーカーのパソコン等は、電源部の設計変更などの高調波対策を行わねばならないことから、コスト高となり、競争上、不利になっている。また、高調波対策の必要性から、海外企業に生産を委託している場合、当該製品をそのまま国内市場で販売することができないケースがある。
    3. 高調波規制は工業会ベースの自主規制であり拘束力が弱いことから、欧米企業は、自主規制遵守のために不可欠な電源部の設計変更等を行わずに、対日輸出を行っている。

    規制の根拠となる関係法令等
    家電・汎用品高調波抑制ガイドライン(平成11年10月発行)

    所管官庁
    通産省

    担当課等
    資源エネルギー庁公益事業部

  57. 事業性を重視したCS放送事業者の認定【新規】
  58. 規制の現状
    郵政大臣は、放送の計画的な普及および健全な発展を図るため、放送普及基本計画を定め、必要な措置を講じることとなっている。
    CS放送については、同計画によって、チャンネル数を300程度と設定され、これを実現する観点から、事業者の認定が行われてきた経緯がある。

    要望内容
    CS放送の事業者の認定に当たっては、その事業性を重視すべきである。放送普及基本計画によって定めるCS放送の番組数の目標は、一つの目安とすべきである。

    要望理由
    市場の状況・規模に強く関連するCS放送の番組数を、行政が予め設定し、その実現に向けて事業者を認定することは、市場原理に則ったCS放送の健全な発展を阻害する恐れがある。
    事実、放送普及基本計画に示されたCS放送の番組数の目標である300程度を達成する観点から行われた事業者認定の結果、認定を受けたにもかかわらず放送を開始できない事業者などが出ることとなった。

    規制の根拠となる関係法令等
    放送法第2条の2
    放送普及基本計画第2の3

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    放送行政局衛星放送課

  59. CS放送におけるコンテンツ規制の緩和【新規】
  60. 規制の現状
    放送法により放送事業者は、放送番組の編集の基準を定め、これに従って、番組の編集を行わねばならない。また、災害時にはその情報を視聴者に提供することが義務づけられている。これらの義務はCS放送事業者に対しても課せられている。

    要望内容
    CS放送は、コンテンツ規制の例外とすべきである。

    要望理由
    チャンネル数が多く、視聴者ターゲットが明確なCS放送に対して、地上波放送同様のコンテンツ規制を課す必要性は見られない。また、CS放送事業者の災害放送の義務を除外することで、災害情報編成担当者の設置等が不要となり、事業効率の向上が可能となる。

    規制の根拠となる関係法令等
    放送法第3条の2・3
       第6条の2

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    放送行政局放送政策課

  61. CS放送のマスメディア集中排除原則の適用除外化【新規】
  62. 規制の現状
    放送による表現の自由を守る観点から、複数局の所有・経営支配が禁止されている(マスメディア集中排除原則)。
    (禁止事項例)
    • 他の地上波局の10分の1超の議決権の保有
    • 他のBS、CS局の3分の1超の議決権の保有
    • 他局の役員総数の5分の1超の兼務
    • 代表役員もしくは常勤役員の他局の代表もしくは常勤役員の兼業
    • 地上局の2局中継器相当を超えるCSへの参入
    • 4中継器相当を超えるCS参入

    要望内容
    CS放送は、マスマディア集中排除原則の適用除外とすべきである。

    要望理由
    マスマディア集中排除原則は、限られた周波数を利用する放送において、できるだけ多くの者が放送事業に参入し、自由で多様な言論の場を形成することを制度的に確保するために設けられたものである。
    CS放送は、地上波に比べてチャンネル数が格段に多く、有料放送で視聴者の範囲を特定するという特性があることから、マスマディア集中排除原則を適用する必要性は見られない。

    規制の根拠となる関係法令等
    放送法第2条の2
    放送局の開設の根本的基準第9条
    放送法施行規則第17条の8

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    放送行政局放送政策課

  63. 放送事業における外資規制の緩和【新規】
  64. 規制の現状
    電波法、放送法により、(1)日本の国籍を有しないもの、(2)外国政府またはその代表者、(3)外国の法人または団体、(4)法人または団体であって、(1)〜(3)に該当するものが業務を執行する役員である場合、またはこれらの者がその議決権の5分の1以上を占める場合(受託放送事業者にあっては、(1)〜(3)に該当する者が、その代表者である場合、またはその役員の3分の1以上、もしくは議決権の3分の1以上を占める場合)には、無線局の免許、委託放送事業者の認定は与えられない。

    要望内容
    議決権制限を、「外国人によって代表される特定法人・団体によって議決権が5分の1以上占められる場合」とすべきである。

    要望理由
    経済のグローバル化により、日本企業の外国人株主が増加傾向にある中で、個々の外国人株主の議決権を一体と見なし、それが5分の1以上となったとして、無線局免許や委託放送事業の認定を与えないとするのは、実質的な経営実態を考慮していないものである。
    本格的な放送デジタル時代を控え、放送事業における資金ニーズが高まる中、外資規制の緩和は、放送事業への新規参入を促進するとともに、資金力強化を通じて既存放送事業者の競争力の強化にも貢献する。

    規制の根拠となる関係法令等
    電波法第5条
    放送法第52条の13

    所管官庁
    郵政省

    担当課等
    放送行政局放送政策課

  65. スマート・ウェー・サービス用ビーコンの自動車専用道路、一般道路双方における整備の実現【新規】
  66. 規制の現状
    建設省は2003年度以降にスマート・ウエー用電波ビーコンの配備を予定している。現在、建設省の電波ビーコン(VICSサービス用)は、自動車専用道路にのみ配備されており、警察庁が配備している一般道路の光ビーコンとの棲み分けが行われている。

    要望内容
    スマート・ウエー用電波ビーコンは、自動車専用道路のみならず、一般道路にも配備されるものとすべきである。

    要望理由
    建設省の電波ビーコンと警察庁の光ビーコンの棲み分けが存続し、スマート・ウエー用電波ビーコンが自動車専用道路にのみ配備されることとなり、スマート・ウエー・サービスの魅力は半減してしまう。
    また、スマート・ウエー用電波ビーコンユーザーが自動車専用道路、一般道路双方に配備されれば、自動車の搭載装置のコストを抑制することができる(現状では、VICSサービスを利用するために、自動車は電波・光ビーコン双方に対応した装置を搭載せねばならず、コスト高となっている)。

    規制の根拠となる関係法令等
    道路交通法

    所管官庁
    警察庁
    建設省

    担当課等
    交通局交通規制課
    道路局道路交通管理課

  67. 道路交通情報の民間利用等の拡大【新規】
  68. 規制の現状
    公安委員会は道路交通情報の提供に係る事務を委託することができるが、その委託先は財団法人日本道路交通情報センターに限定されており、民間事業者は財団法人日本道路交通情報センターから提供された道路交通情報を自由に編集・加工した情報提供や自主情報と組み合わせて付加価値を付けた情報提供をすることができない。

    要望内容
    民間企業が道路交通情報提供事業をビジネス展開できる環境を整備する。既存の道路交通情報データの民間事業者への全面的な提供、ならびに、そのデータに民間事業者が独自に収集した道路交通情報データを組み合わせるなど、自由に編集・加工された高付加価値情報の提供をできるようにする。

    要望理由
    1. 政府の産業構造転換・雇用対策本部が99年7月13日にとりまとめた「雇用創出・産業競争力強化のための規制改革」においても、「道路交通情報提供事業への民間企業の参入を促進するため、警察および道路管理者が収集した道路交通情報を民間が一層活用できるための措置を講ずる」とされており、早期に実施することが求められる。
    2. 民間事業者が道路交通情報の編集、加工、ならびに、自主情報を組み合わせた高付加価値情報の自由な提供を含めた道路交通情報の提供が可能になると、利用者は、民間事業者間の競争を通じて、利便性の高く、高品質の情報の提供を受けることができる。また、新しい情報提供サービス産業の発展が期待できる。

    規制の根拠となる関係法令等
    道路交通法第109条の2、道路交通法施行規則第38条第2項等

    所管官庁
    公安委員会

    担当課等

  69. 一般旅券の発給申請の電子化の実現【新規】
  70. 規制の現状
    一般旅券の発給を受けようとする者は、外務省令で定めるところにより、(1)一般旅券発給申請書 (2)戸籍謄本又は戸籍抄本 (3)申請者の写真等を国内においては都道府県知事を経由して外務大臣に提出して、一般旅券の発給を申請しなければならない。
    また、都道府県知事は、一般旅券の発給の申請を受理するにあたり、申請者本人であることを求めることができる。

    要望内容
    一般旅券発給申請書および申請者の写真を電子認証制度を利用した電子的手段による申請を認めるべきである。

    要望理由
    企業のリスクマネジメントにおいて、急な出張へ迅速に対応するためには、本人の時間や場所の制約を受けずに電子的手段による一般旅券発給申請を認めるべきである。

    規制の根拠となる関係法令等
    旅券法第3条

    所管官庁
    外務省

    担当課等

  71. インターネット上での戸籍謄抄本・記載事項証明交付申請等の実現【新規】
  72. 規制の現状
    戸籍法において、戸籍に関する事務は市町村長が、政令指定都市では区長が行うものと規定している。また、戸籍の謄抄本の交付請求は、郵便により送付することができる。
    さらに、戸籍法では、電子情報処理組織を用いて戸籍事務の処理を行うことを認めているものの普及が進んでいない。

    要望内容
    戸籍謄抄本・記載事項証明の交付申請は、電子署名・認証制度等を利用し、インターネット等を使って、どこからでも行えるようにするべきである。

    要望理由
    家庭と市町村を結んだ、時間や場所の制約を受けないサービス提供が可能になる。

    規制の根拠となる関係法令等
    戸籍法第1条、第4条、第10条、第117条4項

    所管官庁
    法務省

    担当課等
    民事局第二課

  73. 入札資格関連書類の電子化【新規】
  74. 規制の現状
    入札参加資格審査申請手続は、新規・更新(2年毎に更新手続が必要)時に、指定(日)期間内に指定用紙を購入・作成後、持参して審査を受ける必要がある。

    要望内容
    入札資格審査申請の内容を政府として地方自治体を通じて標準化するとともに、電子署名・認証制度等を利用し、関連手続を随時オンラインで行えるようにすべきである。

    要望理由
    入札参加資格審査申請業務の効率化・迅速化が可能になる。

    規制の根拠となる関係法令等
    会計法、建設業法等
    地方自治法・各自治体の規則等(例:神奈川県競争入札の参加者の資格に関する規則)

    所管官庁


    担当課等

  75. 工業所有権に関する手数料納付の電子化【新規】
  76. 規制の現状
    工業所有権に関する手数料納付には3つの方法が定めれられている。(1)特許印紙貼付 (2)(社)発明協会管理の代理口座を用いた予納金方式 (3)銀行による支払認証取得による現金納付方式。2000年1月より、特定端末を通して、納付残高を閲覧することは可能になったものの、リアルタイムによる決済が行えない。

    要望内容
    電子署名・認証制度等を利用し、インターネット等を使った、リアルタイムの納付を実現する。

    要望理由
    企業が巨額の手数料を納付する際、現金を手元に置くことは、無駄な金利を負担することを意味する。リアルタイムによる納付が実現すれば、手数料納付に必要な現金の管理と金利費用を削減することができる。また、電子的手段による、政府口座への確実な納付の実現は、企業の経理業務の電子化をも促し、企業の国際的競争力向上にもつながる。

    規制の根拠となる関係法令等
    特許法第107条(3)
    「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」第14条(2)
    「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律施行規則」第36条、第37条、第40条
    「特許協力条約に基づく国際出願に関する法律施行規則」第78条の二

    所管官庁
    大蔵省、特許庁

    担当課等

  77. 地方税の電子的手段による一括納付・申告の実現【新規】
  78. 規制の現状
    地方税の申告・納付については、事務所を有する法人が、各都道府県市町村に対して個別に行うことになっている。

    要望内容
    電子署名・認証制度等を利用した電気的手段による地方税の一括納付・申告が行えるようにする。

    要望理由
    数百に及ぶ支店を有する企業がそれぞれの地方自治体に申告・納付する既存の方式は、効率とコストの面で負担である。電子的な手段による一括申告・納付が実現すれば、大幅なコスト削減となる。

    規制の根拠となる関係法令等
    地方税法第57条
    地方税法第321条の13

    所管官庁
    自治省

    担当課等

  79. 管轄裁判所合意の電子化【新規】
  80. 規制の現状
    民事訴訟法において、当事者は、第1審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。合意は、書面で行わなければ、その効力を生じない。

    要望内容
    電子認証制度を用いた電子データが双方の手元に残った場合においても、合意したものと認めるべきである。

    要望理由
    電子契約における管轄合意の妨げとなり、電子取引の利便性を阻害する。

    規制の根拠となる関係法令等
    民事訴訟法第11条2項

    所管官庁
    法務省

    担当課等

  81. 電子取引における契約の成立時期の見直し【新規】
  82. 規制の現状
    民法において、隔地者間契約の成立時期は、承諾期間の定めがない場合には、契約の申込に対する承諾の意思表示を発信した時(発信主義)としている。

    要望内容
    電子取引においては、契約の成立時期を、承諾の意思表示が到達した時とする特約をおくべきである。

    要望理由
    民法において承諾の成立を発信主義とする前提には、契約の承諾の意思の到達に相当程度の日数を要する隔地者間取引においては、早期に契約の履行に着手することができる方が取引界の要望に合致するからであり、意思表示が発信即到達する電子取引においては、あえて到達主義の原則を曲げて申込者を不利な立場においてまで発信主義をとる必要性に乏しい。

    規制の根拠となる関係法令等
    民法第526条

    所管官庁
    法務省

    担当課等

  83. 建設工事の請負契約の電子化
  84. 規制の現状
    建設業法では、建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際し、工事内容・請負代金等法律に定める一定事項の書面への記載、署名・捺印を要求している。

    要望内容
    電子署名、電子認証の法制度の整備に伴い、当該事項を電子化に対応した内容に改訂することを認めるべきである。

    要望理由
    建設業法においては、建設工事の請負契約の内容を記載し、記名押印した書面を相互に交換する必要があり、電子媒体による契約手続が認められていない。建設工事の請負契約の電子化を認め、各種文書・図面の電子的保存による業務効率化を可能にすべきである。

    規制の根拠となる関係法令等
    建設業法第19条1

    所管官庁
    建設省

    担当課等

  85. インターネット上での電子的手段を介在した書面交付による割賦販売の実現【新規】
  86. 規制の現状
    割賦販売及びローン提携販売(以下、「割賦販売等」と略す)により契約を締結した場合には、販売業者は、遅滞なく、「契約の内容を明らかにする書面」を購入者に交付しなければならない。また、購入された指定商品の弁済金の支払いを請求するときには、弁済金の支払うべき時期や弁済金の額及び算定根拠について、遅滞なく、その旨を記載した書面を購入者に交付しなければならない。
    加えて、購入者から申込の撤回(クーリングオフ)を行う場合には、書面を発することによって効力が生ずるとされている。

    要望内容
    割賦販売等における、契約締結時の契約内容に関する書面の交付、弁済金請求時の書面の交付、ならびにクーリングオフ時の書面交付については、消費者保護策等を講じつつ、電子メール等の電子的手段による交付を認めるべきである。

    要望理由
    書面によらない割賦販売がインターネット上で行えるようになれば、消費者の利便性が向上する。また、クレジットカードを含めた割賦販売の請求通知がEメールもしくは画面照会で可能となれば、消費者の利便性と会社の事務効率が向上する。

    規制の根拠となる関係法令等
    割賦販売法 第4条、第4条の3、第30条の2第1項2号

    所管官庁
    通産省

    担当課等
    産業政策局取引信用部

  87. インターネット上での旅行取引の促進
  88. 規制の現状
    旅行取引においては、取引条件書や約款等を書面で交付することが義務づけられている。このため、インターネット等で旅行商品を販売する際には、取引条件書や約款等を利用者が印字することが求められる。

    要望内容
    旅行取引に関する取引条件書や約款等について、書面の代わりに、電子的手段による交付・確認ができるようにすべきである。

    要望理由
    モバイル・コンピューティングの普及に伴い、必ずしも印字を前提としない利用者が増加している。このため、旅行商品取引条件書等の印字が義務づけられると、利用者の利便性が損なわれる。

    規制の根拠となる関係法令等
    旅行業法第12条の4、第12条の5
    旅行業法施行規則第25条〜第27条

    所管官庁
    運輸省

    担当課等
    旅行振興課

  89. 保険販売に関する重要事項の書面交付等の電子化【新規】
  90. 規制の現状
    保険販売に当たっては、保険契約者保護の観点から、生命保険募集人または損害保険募集人が、重要事項について書面の交付もしくはその他の「適切」な方法により説明することが求められている。現状では、電子的手段(Eメール等)による説明が「適切」か否かが不明確である。

    要望内容
    重要事項に関する説明を電子的手段で可能なことを明確化するとともに、電子認証制度の活用により顧客に本人確認を行えることとすべきである。

    要望理由
    現行制度が果たしている契約者保護の機能を確保しつつ、顧客利便性向上の観点から、電子化を推進していく必要があると考えられる。

    規制の根拠となる関係法令等
    保険業法第100条の2
    保険業法施行規則第53条

    所管官庁
    大蔵省

    担当課等

  91. 銀行口座開設時における電子認証制度等を用いた本人確認の実現【新規】
  92. 規制の現状
    口座の開設又は貸金庫の賞与、保護預かり若しくは信託取引を行う際には、公的又は他の信頼できる証明書類等に基づき本人確認を行わなければならない。顧客が個人、法人何れの場合においても、電子的手段による本人確認は認めていない。

    要望内容
    銀行口座開設時の本人確認において、電子認証制度等を用いた本人確認の方法も認めるべきである。

    要望理由
    電子商取引の急速な普及にともない、自宅や移動先など、時間や場所の制約を受けない、ネットワークを利用した金融サービスの需要が高まっている。
    今年の5月、電子署名及び認証業務に関する法律が成立、来年4月の施行へ向けて準備が進められている。電子認証制度を用いた本人確認の方法は、マネー・ローンダリングの防止策として制定された同制度の本人確認方法と同等以上のセキュリティを確保することが可能である。

    規制の根拠となる関係法令等
    麻薬等の薬物の不正取引に伴うマネー・ローンダリングの防止に関する留意事項について(平成4年7月1日、大蔵省銀行局発行事務連絡)

    所管官庁
    大蔵省(金融監督庁)

    担当課等

  93. インターネット中古品オークションの促進【新規】
  94. 規制の現状
    古物の売買等を行う古物商は、一定金額を超える取引においては、取引毎に相手方の住所、氏名、職業および年齢を確認し、又は相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載され、署名のある文書の交付を受けなければならない。

    要望内容
    インターネット中古品オークションにおいては、電子的手段によって、取引参加者に係る上記の確認を行なえることを可能とする。

    要望理由
    インターネット中古品オークション事業の促進と消費者利便の向上がもたらされる。

    規制の根拠となる関係法令等
    古物営業法 第2条、第3条、第15条第1項

    所管官庁
    警察庁

    担当課等

  95. 税務関連書類の電子化と保存期間の短縮等【新規】
  96. 規制の現状
    国税関係の帳簿書類は、税務署長の承認が得られれば、電子化し保存できることとなった。しかし、
    1. 受領した請求書、領収書などは、電子データによる保存が認められていないため、電子データと紙の保存が併存している、
    2. 税務署長の承認のための基準が不明確、
    3. 企業内の組織変更のたびに、税務署に電子データでの帳簿類保存の申請を書面で行わねばならない、
    4. 保存に用いるコンピュータ・システム関連の膨大な書類の保存が義務づけられる、
    5. 電子化した状態で7年間保存せねばならない、
    という問題がある。

    要望内容
    税務関連書類全般の電子化を実現(請求書等のイメージ・データでの保存の認可など)するとともに、電子帳簿保存法適用に当たっての承認基準の明確化・申請手続きの簡素化(電子認証を利用したインターネット経由での申請を含む)、システム関連の保存義務書類の削減、電子データ保存期間の短縮を実現すべきである。

    要望理由
    税務関連書類の電子保存が認められたにも拘わらず、現行規制下では、電子化のメリットが十分に発揮されていない。このため、ある損害保険会社のケースでは、税務関連書類の保管に関わるコストが年間10億円という試算もある。
    また、7年間の保存義務があるため、多くのハードウェア資源が割かれる上、将来、システム変更を行った場合には、旧システム環境を残しておかねばならないという問題が生じる。

    規制の根拠となる関係法令等
    電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第2条、第4条、第6条、第7条
    電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則 第3条、第4条
    法人税法第126条、150条の2
    法人税法施行規則第59条

    所管官庁
    大蔵省、国税庁

    担当課等

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