[ 経団連 | 会長からのメッセージ ]

「日本経済の現状と今後のアジア経済の展望」

−『台日交流聯誼会』における今井会長講演−

2001年12月5日(水) 午後5時〜
於 台北市 台湾セメント3階 士敏庁

はじめに

 経団連会長の今井でございます。ただいまは辜濂松(こ・れんしょう)会長(注1)から、身に余るご紹介をいただき、誠にありがとうございました。ご承知のように、辜濂松会長の前任であった辜振甫(こ・しんぽ)先生(注2)には、私ども日本の経済人を長年にわたり親しくご指導いただくとともに、日台関係全体が一段と良好なものとなるよう今日までご尽力いただいております。そのような辜振甫先生の会社の素晴らしい大講堂で、台湾を代表する経済人の皆様の前でお話しできますことを大変光栄に存じます。
 今回、台湾を訪問いたしましたのは、古くからの友人である辜濂松会長のご親切な招待によるものであります。私の台湾訪問は3回目ですが、実に15年ぶりであり、ご無沙汰しておりました。台湾が非常に変わったのを目の当たりにして、大変嬉しく存じます。
 さて、先ほど陳水扁(ちん・すいへん)総統にお会いいたしました。立法委員選挙が終わったばかりでさぞお疲れかとは思いましたが、声は少し枯れていたものの、さすがにお若いだけに元気で、また選挙結果がよかったこともあり、非常に温かく迎えていただきました。私からは、はじめに台湾のWTO加盟が承認されたことをお祝い申しあげるとともに、国際社会において台湾がますます活躍されることを希望していると申しあげました。陳水扁総統は、台湾のWTO加盟について、国際社会に窓が開かれたという意味で非常に大きいと考えておられるようでした。陳総統とは、ほかにも日台双方の経済問題から世界情勢、アジア情勢まで広範な問題に関し、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。台湾の皆さんは立派な総統をお持ちになられたというのが、私の率直な印象であります。

(注1) 辜濂松氏は現在、東亜経済会議中華民国委員会(東亜経済人会議日本委員会の台湾側カウンターパート)会長
(注2) 辜振甫氏は1973年以来、2000年7月まで東亜経済会議中華民国委員会会長を務めていた

経団連の2大使命

 それでは、早速ではございますが、本題に入りたいと存じます。
 まず、経団連の役割について申しあげたいと存じます。経団連には大きく言って2つの使命がございます。第1は、日本経済の健全な発展のために、企業活動が円滑に行われるような環境整備を行うことであります。経済政策や会社法制、税制、あるいは競争政策、環境・エネルギー政策といった諸施策が、民間の経済活動を後押しできるように、あるいは少なくとも阻害要因とならないように、内外の関係機関に働きかけていく活動であります。
 いま一つは、わが国は台湾と同じように天然資源に恵まれないため、国際社会と友好な関係を維持し、世界各国との経済交流を拡大していかねばなりません。したがって、国際社会との協調と経済交流の拡大が、経団連の第2の使命といってよいかと存じます。
 そこで本日は、まず日本経済の現状と経団連の取組みについてお話し申しあげ、そのあと経団連の国際活動に関連して、世界経済をめぐる情勢と今後のアジア経済の展望等についてお話ししたいと思います。


日本経済の現状と経団連の取組み

 まず、日本経済の現状です。わが国経済は、台湾や他のアジア諸国と同様、米国に端を発するIT不況の影響もあり、昨年夏頃をピークに景気後退局面に入っております。先行きについても、先般の9月11日事件の影響が加わり、不透明感は依然として払拭されていないという状況です。
 今までですと、景気が悪くなれば財政支出により景気刺激策をとるというのが、日本の経済政策でした。しかし、公共事業を中心とする景気刺激策を90年代の10年間続けてやってきたわけですが、それなりの効果はあったものの、一時的な効果しか現れず、なかなか自律的な景気回復には結びつきません。また、財政による景気刺激は、国と地方を合わせた債務残高を膨張させ、現在、国と地方との合計債務残高は666兆円、GDPの130%にも達しようとしています。先進7カ国中最悪の状況となっており、これ以上、財政を使って赤字が拡大すれば、先般も格付け機関から国債の格付けを下げられたように、副作用が大きくなってしまうことになります。
 また、日銀の金融政策についても、日本語で言う「じゃぶじゃぶ」と形容されるほどベースマネーを無制限に出し、金利もゼロに近い水準としてきましたが、それが銀行から企業への貸出の増加につながっておらず、景気回復の効果にはつながっていません。このように現在の日本経済は、これまで10年間やってきた金融財政政策では回復できなくなっており、まさに閉塞状態にあります。
 そこで、こうした状況から脱却するためには、経済社会構造の抜本的な改革を断行し、わが国の経済資源を生産性の低い部門から生産性の高い部門に再配分し、そして国際競争を勝ち抜いていける強い経済に作り変えることが不可欠であります。本年4月末に、小泉内閣が台湾の陳水扁政権から1年遅れで誕生し、「聖域なき構造改革」を行っております。そしてわれわれは、これを全面的に支持しております。政府は行政改革、なかんずく規制を撤廃し、特殊法人改革、すなわち国が行っている事業を民営化する改革、さらには歳出を徹底的に見直す財政構造改革を通じて、民間活力が最大限発揮できる経済社会に日本を作り変えることが重要であります。
 小泉総理の進める改革の内容や手法については、これまでのやり方とは変わっていますので、与党自民党内にも強い異論があり、就任して8ヵ月となる小泉総理は目下、力強い指導力でもってこれを乗り切っている最中であります。
 しかし、改革を推し進めることこそが、今の閉塞感を打破するために必要であり、小泉改革への国民の支持率は、発足以来7割を下回ったことがありません。われわれも、あくまで小泉改革を全面的に支援していく態度をとっております。

 ただいま政府について述べましたが、一方、民間側で取り組むべき構造改革もあります。第1の課題は、銀行の不良債権処理のスピードアップであります。日本の銀行はこれまで70兆円、GDPの15%程度の処理をしてきました。しかし、処理しても処理しても、30兆円程度、つまりGDPの6%ぐらいが残ってしまう。そこで、政府の改革先行プログラムに盛り込まれた、主要行に対する金融庁の検査の強化等をテコに、不良債権の処理をもう一段スピードアップする必要があります。外国に行くと、日本の経済問題はすべて不良債権問題であると言われておりますので、わが国の金融や経済に対するこうした内外の不信感を払拭する必要があります。
 第2の課題は、グローバル化に順応していくため、不採算部門を切り離し、収益性や成長性の高い分野に経営資源を集中していくことです。いわゆる「選択と集中」の経営を強化していかねばなりません。そのためには、法制や税制の整備が必要であり、経団連では、合併や分割といった企業組織の再編がしやすくなるような法制、制度、さらには税制面の整備に努めてきました。ほぼ8割以上が完了しましたが、その総仕上げとして、政府・与党に強く実現を働きかけてきました連結納税制度につきましては、来年4月からの導入の目処がつき、素早い経営を行えるための制度が整いました。
 第3の課題は、新産業・新事業の開拓です。後ほど詳しくお話しいたしますが、ご承知のように、1985年のニューヨークでのプラザ合意以降、円高が進行し、製造業が生産拠点の海外移転を進めた結果、わが国でも台湾と同じように、国内産業の空洞化という現象が進んでいます。そこで、穴を埋めるための新たな雇用の受け皿を、サービス産業に求めております。特に医療、福祉、労働、教育などは、これまで社会性が高いということで、民間には十分に開放されていませんでした。こうした分野に民間を参入させ、またこれまで手をつけてこなかった社会的規制の見直しを通じ、サービス産業を育成していく必要があります。また、新時代をリードする新しい技術開発を行っていくことも不可欠であります。先般、日本の500ある大学の中から100以上の大学の総長にお集まりいただき、民間からも150名ほどのCEOが出席して、どうやったらシーズを経営に活かせるかといった話を産学官でいたしました。ライフサイエンス、IT、ナノテクノロジー、環境など将来性の高い分野で、技術開発を進めていくことが重要であります。
 ただいま申しあげましたように、日本経済の再生は、経済の主役であるわれわれ民間企業が元気を出さなければ実現できません。陳水扁総統が言っておられたように、国民が経済に対するコンフィデンス(自信)を持つことが大事であると思います。改革の過程では、失業率の上昇や倒産企業の増加などの「痛み」が伴いますが、それを我慢して、改革を続けていく覚悟であります。


今後のアジア経済の展望

 次に、世界経済をめぐる情勢と今後のアジア経済の展望について、私の見解を述べさせていただきます。その前に、私と海外との係わりについて、若干紹介させていただきます。
 私は1952年、今から約50年前に製鉄会社に入社いたしましたが、入社以来ほぼ一貫して鉄鋼原料の調達を担当してまいりました。日本には鉄鉱石や石炭といった鉄鋼原料がほとんどありませんので、それらを輸入するために、近くはマレーシアやフィリピン、そしてそこに原料がなくなったので、インド、豪州、そして南米のチリやブラジル、南アフリカ、カナダ、米国などまで足を運んで、調達に当たりました。
 ご案内のように、鉱物資源は掘ったらなくなるもので、再生産できません。したがって、輸出国の資源政策にはナショナリズムがつきまといます。特に第1次石油危機が起こった今から30年ほど前は、世界各地で資源ナショナリズムが吹き荒れ、かなり激烈でありました。私も担当部長として、世界各国に行き、豪州では大臣と直に交渉することもありました。いわば民間外交と称すべきものであります。このような交渉を通じて、資源小国である日本は世界中の国と相互依存関係にあり、お互いに共存共栄を図っていかなければならないと感じた次第であります。
 こうした経験から、私は海外との関係を非常に重要視しております。海外から経団連や私の会社にお見えになるお客様には、時間のある限りお会いしますし、年に半分くらいは海外に出ておられるという辜濂松会長には遠く及びませんが、年に6〜7回は海外に出かけて、外国との関係強化に努めております。とりわけ東南アジアを重視しており、中国、韓国、東南アジア諸国には、1998年の会長就任以来ほぼ毎年1回のペースで訪問しております。先週はソウルで、金大中大統領と韓国経済界の首脳にお会いしたばかりであります。
 さて、世界経済をめぐる情勢でありますが、まず先月14日にカタールのドーハで開催されたWTO(世界貿易機関)の閣僚会議で、新しいラウンドの立ち上げが合意されたことを、高く評価したいと思います。これは、2年前にシアトルで新ラウンドの立ち上げに失敗した経験から、世界各国がそれぞれ譲歩をした結果であると思います。中には玉虫色と言える解決案もありますが、とにかく新ラウンドの立ち上げを評価したいと思います。
 また、特筆すべきは、ドーハの閣僚会議では、長年にわたる加盟交渉を経て、台湾と中国のWTO加盟がほぼ同時に正式承認されたことであり、大きな成果でありました。わが国にとって、貿易・投資の両面で米国に次ぐ最も重要なパートナーである台湾と中国が、ほぼ同時にWTOに加盟することになったことで、日台間、日中間、あるいは両岸の経済交流が今後ますます拡大するものと期待しております。
 私は、台湾と中国のWTO同時加盟により両者の関係がどうなるのか、非常に注目しております。合計1兆3,000億ドルにのぼるエコノミーズがWTOに加盟したことは、世界貿易・経済に与えるインパクトも大きく、かつ長期に及ぶと考えております。長期というのは、関税の引下げについては段階的に実行されますし、また特に中国の場合は、国際ルールへの適応にかなり時間がかかると思っているからです。台中のWTOへの加盟効果は、時の経過とともに大きな影響となっていくのではないかと見ています。両岸の間の「三通」(注)や大陸への投資問題などについては、後ほど滞在中に、台湾経済界の皆様のご高見をおうかがいしたいと思っているところであります。

(注)通信、通商、通航のこと。現在、両岸の間の直接の三通は禁止されている。

 台湾にとってWTO加盟は、世界に対する窓口や、国際社会における活躍の場が広がり、それに伴い地位が向上するという意味で、非常に重要であります。そしてまた、WTO加盟により、中国が国際経済体制の中に組み込まれ、法制度や規制などが国際ルールに従うような形で整備され、中国がそれに従って行動する責務を負うようになったという点で、大きな前進であります。さらにいえば、中国のWTO加盟は、経済問題が政治問題化されなくなるのではないかという点で、わが国のみならず、国際社会にとって大きなプラスであると思います。
 中国のWTO加盟は、中国にとっても世界にとっても、チャンスとチャレンジをもたらすと思います。改革・開放を進める中国は、13億人という人口を抱える大変巨大な市場であり、外国企業には大きなチャンスがあります。一方、チャレンジもあります。中国市場での競争は非常に厳しいものとなり、日台双方の企業はもとより、欧米企業、韓国や東南アジアのアジア企業、さらには中国の地場企業などが、巨大な市場をめぐって競い合うことになり、ますます熾烈になると予想されます。そこで勝ち残るためには、優れた技術力や販売力、情報収集能力とネットワーク、強力かつ柔軟な経営姿勢、さらにはブランドの力など、さまざまな条件を満たすことが必要となってきます。また、企業あるいは国同士での国の内外を問わない連携・提携がより大きな効果を表すのではないかと思われます。台湾企業は、中国語だけでなく日本語もできる人材を多く抱え、日中双方の文化やビジネスに通じておられます。このような特長を活かせば、中国でのビジネスにおいて日台企業が連携・提携する場面がますます増えてくると思われます。
 ところで、現在わが国では、急速に競争力をつけてきた中国の製造業が、アジアでの国際分業体制にどのような影響を及ぼすのだろうかという議論が盛んに行われおります。私は本年9月に、約1週間、中国の中西部地域を訪問しましたが、製造業の発展が大変目覚しく、外国からの投資も活発に行われていました。ご高承のように、中国製造業の躍進には目覚しいものがあり、玩具や衣料品といったローテクのものから、パソコンやデジタル家電といったITなどハイテク製品まで、さまざまな製品を低コスト、かつ米国帰りの優秀な設計者や技術者などを抱えて高品質で製造するようになっています。そのため、わが国企業も台湾企業も、中国への進出を加速しております。こうした中で、日本国内でも国内の製造業の空洞化を懸念する声が高まってきており、経団連でも中国の製造業の実力について検証するとともに、中国の製造分野における成長が日本、ASEAN、中国での分業体制に与える影響について考察しているところであります。来年春頃までには、何らかの成果を提示したいと思っております。
 ご高承の通り、わが国企業は1985年9月のプラザ合意後の急激な円高により、日本国内での生産体制の大幅な見直しを迫られました。記憶されている方も多いかと思いますが、プラザ合意を受けて円相場は直ちに上昇し、当時、8カ月という短期間のうちに、1ドル=240〜250円から一気に140〜150円まで急上昇し、円高に見舞われた日本企業は大幅なコスト削減、国際競争力維持のために、タイ、マレーシア、シンガポールなど、ASEAN諸国に次々と生産拠点を移転させました。
 中国はその当時、まだ投資環境が十分でなかったため、日本企業の進出はそれほど多くなく、むしろ欧米企業がシビアな契約条件をつけながら、中国への投資を主導しておりました。ASEANが日本や台湾からの直接投資により驚異的な経済発展を遂げ、「東アジアの奇跡」といわれたのも、80年代後半から90年代半ばにかけてのことでありました。
 ところが、1994年初頭に中国は、人民元の大幅な切下げを行い、これがアジア経済に少なからぬ影響を与えることになりました。例えば、タイなどは輸出競争力が弱まり、これが1997年7月のタイ・バーツの実質切下げにつながりました。そして、これに端を発するアジア通貨・経済危機の遠因となりました。日本企業はASEANに多く進出していましたが、日系企業の多くはアジア通貨危機の苦しい中にもかかわらずほとんど1社も撤退せずに踏みとどまり、むしろ資本を増強してASEAN各国の経済復興に貢献したため、ASEAN各国からは高く評価されました。しかしASEAN市場の冷え込みは予想以上に厳しく、1999年から2000年にかけての頃から、日本企業の目は成長を続ける中国市場に向いていきました。
 日本企業の対中投資は、中国の巨大な国内市場を目当てにするものや、ローコストかつ優秀な労働力・技術力を活用して第3国への輸出拠点とするものなど、企業により目的がさまざまであります。それが一方で国内産業の空洞化を招いている側面もありますが、これは避けがたいことでもあります。われわれとしては、中国でできない製品を開発していくとともに、新たな雇用の受け皿として、医療、福祉、労働、教育など国内のサービス産業を充実していく必要があります。
 ところで、われわれがASEAN諸国を回りますと、ASEANにも強い中国脅威論があることがわかります。ASEANと中国との関係について、数字を見れば、ASEANの心配もある程度理解できます。1989年には、世界の投資は中国に34億ドル、ASEANに76億ドルと、ASEANは中国の2倍以上の直接投資を受け入れていましたが、それが10年後の99年になると、中国に388億ドル、ASEANに146億ドルと、逆に中国がASEANの2.5倍以上の直接投資を受け入れるようになりました。10年間で、中国への投資額は10倍になったのに対し、ASEANへの投資は2倍にしかなっていません。先月ブルネイで開催されたASEAN首脳会議で、ASEANと中国が今後10年以内に自由貿易協定(FTA)の締結を目指すことを正式に合意いたしました。これまでも、ASEAN+3(日・中・韓)による話し合いが持たれてはきましたが、一気にASEAN+中国という形に発展しました。これがどのような展開を見せるのかは予想できませんが、こうした動きに対して、台湾経済界の皆様はどのような感想をお持ちなのでしょうか。
 私の考えを申しあげれば、世界の貿易秩序はWTOのようなマルチの場が構築される一方、EUが東方拡大を進め、NAFTAが南米へ進出して、それぞれの地域内で経済的な結びつきを強めていることを考えると、アジアも地域協力を進めるべきだと思います。地域的な経済統合は、経済発展に欠かせなくなっています。わが国はすでに、シンガポールとの間でEPA(経済連携協定)(注)の締結に合意し、来年早々に調印される予定となっております。また、韓国やメキシコとの間でも、FTA締結に向けた研究を行っております。いずれ将来的には、2国間ではなく、アジア地域を包含する地域統合を検討する時期がやってくると思います。

(注)「実質的にすべての貿易品目」の自由化などWTO要件を満たしたアジアで最初の自由貿易協定であるとともに、物品の貿易を中心にしたこれまでの協定から、サービス、投資、人の移動、さらには金融、教育、科学技術開発等、両国間の経済連携を強化するため様々な分野にまでの協力関係を拡大した二国間協定となっている。

 地域統合をより効果的なものとするには、ASEANと中国のFTAだけでは十分とは言えません。ASEANと中国のGDPの合計が1兆5,000億ドルであるのに対して、日台韓のGDP合計は5兆ドル強と、3倍以上あります。私どもといたしましては、東アジアの主要経済で構成するFTAの実現に向けて、民間の立場から努力していきたいと考えます。
 台湾経済は、1990年代にコンピュータの周辺機器やパソコン製造などIT産業を中心に目覚しい発展を続けてこられました。しかし本年は、米国経済の減速を受けて、50年前に統計を取り始めてから初のマイナス成長を記録するのも避けられないと聞いております。まさに空前の経済困難に直面されているわけですが、台湾経済のファンダメンタルズや台湾企業のバイタリティーを考えますと、必ずや短期間に問題を克服されるものと確信しております。


おわりに

 最後に、経団連について一言申し添えます。ご承知の通り、経団連は来年5月、雇用・労働問題を扱ってきた日経連と統合して活動範囲を広げ、これまで以上に強力な政策提言能力と実行力を有する経済団体になろうということで準備しております。統合後も経団連の活動は全く変わらず、台湾の皆様とはさらに密接な協力関係を築き、双方の経済関係の発展に努力してまいりたいと考えております。新団体に対しましても、台湾の皆様のさらなるご理解とご協力をお願い申しあげて、私の話を終えさせていただきたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。

以  上

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