記者会見における今井会長の発言より

1999年6月14日
(社)経済団体連合会

【今年の経団連活動】

今井会長:今年の活動方針として、社会保障制度と並ぶ重要課題として、(1)2001年4月以降の金融(含む保険)の法整備(「金融機能再生のための緊急措置に関する法律」と「金融機能の早期安定化のための緊急措置に関する法律」が時限立法で同年3月に切れる)と、(2)情報基盤の整備について議論し、提言していくことになった。

【景気認識】

記者:景気認識はどうか。経企庁統計の発表の仕方について、どう思うか。

今井会長:景気は底を打って、明るい兆しが出てきているが、手放しで楽観できない。1-3月の国民所得統計の数値は意外に高かったが、98年1-3月のレベルに戻ったということだ。年度を通して見ると、97年度からまだ2%低い。公共投資は年率47兆円(1-3月)だったが(これまで41兆〜42兆円がピーク)、今後の動向を注意深く見守る必要がある。設備投資は若干回復(75兆円)したが、昨年10-12月の大幅減の反動と見られており、機械受注等から判断して、このまま伸びていくことには若干疑問がある。
統計発表の仕方については、数値がまとまった瞬間に発表する方がよい。

【産業競争力会議・補正予算】

記者:今国会の会期延長が決まり、これからは雇用対策に関連する補正予算と、雇用・競争力強化の法案が焦点になるが、これで十分と考えるか。

今井会長:政府の緊急雇用対策及び産業競争力強化対策(6月11日)には、経団連の提言が多く入っており、高く評価している。7月上旬の次回会合に向けて、産業競争力会議第4回会合で具体的な内容を提示するように求められていた点((1)産業技術力の強化の具体案、(2)新産業・新事業の創出について議論するための準備)に取り組んでいく。政府案には、諸法案の審議・法制化のスケジュールが出ている。また、会期延長となる今国会で、緊急の雇用対策に関する5千億円の補正予算が審議される。決まったことをできるだけ早く処理することが大事である。
補正予算は、雇用関係で5千億円で十分である。減税も始まったばかりであり、各地域の経済界と話して、公共投資の効果が続いているとの実感がある。景気対策のために、すぐに補正予算を組む必要はない。

【日銀の金融政策】

記者:ゼロ金利政策についてどう思うか。

今井会長:もう少しゼロ金利政策を続けるべきだ。

【地銀・生保の破綻】

記者:堺屋経企庁長官は、秋口にかけて、地銀や生保の破綻があるかもしれないと発言しているが、どうか。

今井会長:金融監督庁が実態調査を行い、その結果に基づいて行われている。大部分の地銀は自己資本比率4%を満たしているが、割り込む銀行もぼつぼつ出始めている。2%を割り込む問題行もある。柳沢委員長は、ペイオフ開始前に、できるだけ自己資本を充実させておこうと考えているようだが、これは方向としては良い。ただ、銀行が自己資本を充実させようとして貸し渋りが激しくなるのではないかとの心配があったが、その懸念はないと聞いている。破綻すべき銀行は、破綻させねばならない。健全な銀行は、自己資本を充実させていくべきだ。

【粉飾決算】

記者:長銀ほかの粉飾決算について、どう思うか。

今井会長:粉飾決算はやってはならない。粉飾決算は過去の大蔵省の護送船団方式がもたらしたものであり、日本の金融システムの過渡期の現象の一つと思う。今後は絶対にあってはならない。

【確定拠出型年金】

記者:自民党が確定拠出型のプランを発表したが、経団連も出すのか。

今井会長:自民党案の内容がまだわからない。経団連は確定拠出型は良いとの考えであり、自民党が取り上げたことには賛成である。使い勝手がよくなるよう、経団連としても考えていきたい。

以 上

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