大阪での記者会見における今井会長の発言より

1999年7月1日
(社)経済団体連合会

【景気認識】

記者:6月30日、日銀の速見総裁が国会で、景気は下げ止まったと判断できると発言した。これに関連し、景気の現状をどうみるか。

今井会長:景気が下げとまったというのは、共通認識になっている。1-3月の国民所得統計の数値を見て、経営者の景況感は好転している。
実体経済は、依然として斑模様だ。住宅の着工が伸びているし、公共事業も出ている。中小企業の資金繰りも改善されている。昼の関西経済団体首脳との懇談では、関西ではこれらはいずれも良くなっていないとのことであったが、全国的には改善されている。
問題は、一般消費だ。企業として、消費者にとって魅力のある商品開発が重要だ。また、民間設備投資も斑の中にある。設備投資の先行指標である機械受注を見ると、ほとんどよくなっておらず、本格的に設備投資が回復に向かっているとは、まだ言えない。
関西は、失業率も有効求人倍数の全国水準より悪いとのことだ。関西の経済界の方々も危機感を持っておられるが、景況感としては、底を打ったという感じであるとの話を伺った。
今後は、一進一退を続けながら、上向きトレンドとなるのは秋以降だと思う。

【産業競争力会議への産官学共同プロジェクト構想の提案】

記者:二次提言の内容とねらいについて、会長の考えを聞きたい。

今井会長:6月の第4回の産業競争力会議で、総理から、「産官学の共同プロジェクトの構想を経団連から出してほしい」と要請された。6月30日、金井副会長とともに、共同プロジェクトの構想を総理に説明した(参照「小渕総理大臣のご要請に基づく『産学官共同プロジェクト』構想の推進」)。
構想を進めていくにあたって、それぞれのセクターがやるべきことを明確にしている。企業は市場原理に則って、研究開発を主導する、大学が人材や研究成果を積極的にマーケットに出す、そして政府は研究開発を支援するとともに、主導的にインフラを整備するというものだ。
現在、科学技術予算を見ても、各省庁バラバラに編成している。省庁の枠を越えて、プロジェクトとして取り組んでいかねばならない。また、予算は、複数年にすることが必要だ。
構想の中身は、情報化、高齢化、環境対応の三つだ。例えば、デジタル・ニューディールなどの構想を提言している。2003年に向けて、スーパー電子政府を実現してほしい。行政情報を全て電子化して、一般に公開する。そして役所間・政府と国民のやり取りを全てデジタルで行う。これによって、日本の情報化が進む。

【長期金利動向】

代表質問:6月30日の速見総裁の発言をきっかけに、長期金利が一時急上昇した。長期金利の動向をどう見るか。

今井会長:デフレスパイラルの懸念はなくなったが、日銀はコール金利のゼロ誘導を継続すべきだ。
金利と為替は、その他の様々な要因からも影響を受けるが、(円を上げないという)政府の立場ははっきりしているのだから、長期金利が2%を越えることはないだろう。

以 上

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