記者会見における今井会長の発言より

1999年7月5日
(社)経済団体連合会

【景気認識・補正予算】

記者:日銀短観を踏まえて、景気をどう見るか。流れは変わったと思うか。

今井会長:国民の間に、景気は底を打って上向いているとの景況感が、完全に定着していると思う。金融システムが安定化し、「貸し渋り」がほぼ解消したことと、昨年来、政府が積極的な景気対策を講じてきていることが、その大きな要因である。実体経済は底を打ったが、1-3月期のQEで出た数字を前提にしては間違いだ。4-6月期で悪くなる可能性はあるが、二番底になる心配はない。公共事業が出てきており、住宅も良くなっている。
しかし、手放しで楽観できない。右肩上がりではなく、行きつ戻りつしながら回復に向かうと思う。消費が明確に上昇トレンドとなっていない。最も心配なのは、依然としてマイナスを続ける民間設備投資である。
補正を議論する時期ではない。4-6月のQE、10月の日銀短観を見てから判断しても間に合う。少なくとも公共事業については、今年いっぱいは息切れの懸念はない。

【経済見通し・雇用】

記者:今後の経済成長率、失業率について、どう考えるか。

今井会長:ここ1〜2年の構造改革が大事である。ここで構造改革をきちんと行い、成長軌道に乗れれば、その先しばらくは、少なくとも2%台の成長は見込めると思う。そうなれば、少子高齢化で労働力はむしろ足りなくなってくるので、失業率は改善に向かうだろう。

記者:これからも雇用情勢は厳しいと見ているか。

今井会長:5月の完全失業率が4.6%になってほっとしたが、これから悪化する要因は残っている。雇用のセーフティネットは十分にはられたと思う。6月11日の政府の対策がきちんと実施されれば、そう問題にはならないと思う。

【金融政策】

記者:金融政策について、どう考えるか。

今井会長:今の金融政策をしばらく続けるべきである。

【長銀問題】

記者:長銀問題についてどう思うか。外資が引受けることについてはどうか。

今井会長:できるだけ早く決まるのが良い。外資でも日本の資本でも良い。遅れれば遅れるだけ、税金による処理額が増えて国民にとってマイナスとなる。

【産業競争力会議関連】

今井会長:産業競争力会議の第5回会合(7月5日)で、「産学官の共同プロジェクト」構想について、(1)省庁横断的に、(2)複数年度にまたがって、(3)来年度予算から実行してほしいと申し上げた。小渕総理は、先進国ではいろいろとミレニアム・プログラムが検討されているが、経団連案を基に、官民あげて、求心力のあるプロジェクトにしていきたいと言われた。

以 上

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