北海道地方経済懇談会後の記者会見における今井会長の発言より

1999年7月29日
(社)経済団体連合会

記者:
景気の現状と見通しは。

今井会長:

 底を打ったという感じは皆持っており、景況感が良くなっている。底割れの懸念もない。これは公共事業が景気を支えており、住宅建設も良くなってきているからだ。また、金融も安定し、いわゆる貸し渋りもなくなってきた。このため、株価も1万8千円を巡る動きであり、昨年のように1万3千円を巡る動きとは異なっている。また、東南アジア、特に韓国の経済が回復しており、このため輸出も良くなっている。本日の鉱工業生産指数の発表にもあるように、在庫調整も最終段階に入っている。
 このように良い面もあるが、依然として悪い面もある。まず、個人消費と民間設備投資だ。日銀がいくらゼロ金利誘導をしても、現段階では設備投資の資金需要は出てきていない。また、日本経済が良い方向に向かっているとの期待から、円高に推移しており、長期金利も上がる可能性がある。
 今後、日本経済が本格的に回復していくためには、サプライサイド改革をすすめねばならない。サプライサイド改革はデフレ要因も含んでいる。このため、少なくとも2000年度までは財政面からの対策を続ける必要がある。
 8月13日に今国会が終われば、5000億円の予備費をどのような公共事業に使うかという話が出てくるだろう。第二次補正は、9月10日頃に発表される4―6月のQEを見れば、景気回復の足取りがかなりはっきりしてくるので、これを見てから、規模を決めればよい。9月の自民党の総裁選が終われば、自自公の連立内閣ができる。この内閣で10月に補正予算を決めて、11月に成立することになるのではないか。

記者:
金融システムの安定化の焦点となっている地銀レベルの対応については。

今井会長:

 地銀の問題はまだ片付いていない。現在、金融監督庁が検査を行なっている最中であり、その結果、自己資本が不足している銀行については、業務改善命令が出されることになるだろう。また、その地域にとって、重要な地銀ということになれば、公的資金が注入されるだろう。
 2001年のペイオフの解禁は、実施しなくてはならない。それまでに全ての銀行の検査が終了し、公的資金を入れる必要のある銀行には、公的資金を注入すべきだ。また、検査の結果は全てディスクローズし、預金者や取引先が不安なくペイオフを迎えられるようしなくてはならない。
 ただ、ペイオフは非常に手間のかかるもので、アメリカでもあまり実施されていない。このため、2001年の4月以降、(ペイオフの解禁に伴い)何らかの問題が生じた時に、速やかに問題を処理できる制度を今の段階から詰めておく必要がある。

記者:
地銀は、一県二行でよいとの意見があるが、これについてはどうか。

今井会長:

 統制経済ではないのだから、強制的に合併させるという話はどこにもない。問題は、自己資本が薄くなった銀行が地域にとって必要で、公的資金を入れても残すべきかどうかということだ。そうでなければ、合併などが行なわれることになる。

記者:
自自公連立が発足する見通しだが、評価は。

今井会長:

 自自公が本当に望ましい姿かどうかは、やってみないと判断できない。
 今の日本は問題が山積している。これを解決しようと法案を出しても、参議院で自民党が過半数を取れていないことから、昨年夏の国会のように、解決に時間がかかってしまう。自自公によって、緊急の法案が通るとすれば、プラスである。
 ただ、問題は中身、政策である。自自公がそれぞれの意見を言うばかりでは問題で、良い政策をすすめていくことが重要だ。

以 上

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