第33回東北地方経済懇談会後の共同記者会見における
今井会長発言のポイント

2000年9月28日
(社)経済団体連合会

【景気の現状と見通し】

景気は昨年3月頃に底入れし、緩やかな回復基調にある。企業収益は堅調であり、民間設備投資の先行指標である機械受注は好調だ。今後は、民間設備投資が景気をリードしていくだろう。
ただ、個人消費は本格的に回復しておらず、公的資本形成でカバーしている。今年度も補正予算を若干でも組まないと、景気回復の足を引っ張る。また、日銀は超緩和の金融政策を続けるべきだ。

【補正予算・財政再建】

量的には、3兆数千億円程度になると思う。質的には、今後の経済活性化に資する公共投資でなければならない。ITや物流整備に充てられるべきだ。国債の発行はできるだけ抑えるべきだ。昨年度の決算剰余金がある上、企業収益が上がるのにつれて、税収増がある。
2001年度予算は財政再建型ではなく、中立型とし、これまでと同じ予算規模とすべきだ。
一方で、大きな財政赤字を放置するわけにはいかない。構造改革の道筋がはっきりしなければ、国民は安心して消費しない。

【株価】

企業収益は回復してきているので、トレンドとしては、日本の株価はもっと上がってもよいと思う。
日経225は銘柄入替で連続性が失われたことも確かであるが、時代に合わせて情報関連企業を多く入れたのであって、間違いだったとは言えない。

【株主代表訴訟 -大和銀行判決ほか】

判決そのものについては、コメントを控えたい。ただ、賠償金額は常識では考えられない金額だ。米国には「Business Judgment Rule」があり、経営者が情報収拾などの努力をして下した判断については、結果的に間違っていても、その責任は問われない。われわれもその方向に向かうべきだ。このままでは、日本企業の取締役になる外国人はいなくなる。経団連は株主代表訴訟の改正を政府に大いに働きかけていく。

【債権放棄による企業の再建】

銀行として、放棄した方が会社を潰すより被害が少なくてすむと判断した場合は、やってもよいと思う。ただし、その場合は、第一に経営責任、第二に株主の責任が問われるべきである。

【日経連との統合】

経団連、日経連ともに9月20日前後に機関決定し、共同のプロジェクト・チームが発足した。過日、第1回会合を開催した。新団体の理念、組織、定款、統合のスケジュールなどを検討する。年内に結論を出し、それぞれの機関に諮って、決定したい。
統合のデッドラインについては、奥田会長も私も2002年5月と言っている。来年の5月に、何らかの形で統合を具現化した共同活動ができれば、と考えている。なるべく早くやりたい。
経団連と日経連の中央の統合である。地方の経済団体、経済連合会とは関係ない。日経連は県単位で経営者協会という組織を持っており、その活動は重要だ。これは続けるべきだ。新団体との連絡、話し合いの場ができるべきだ思う。

以 上

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