記者会見における今井会長発言のポイント

2000年12月25日
(社)経済団体連合会

【今年の経済3大ニュース】

第1は、景気回復の足取りが緩やかながら確かなものになったこと、第2は、経済構造改革を進めるための企業法制・税制の改革が進んだこと、第3は、日経連との統合の道筋が明確になったことである。

【景気見通し】

IT投資を中心とした民間設備投資が引き続き好調であり、今年度の政府見通しの1.2%は十分達成できる。来年度の成長率は、1.5%から2%の間になるというのが、妥当な見方であろう。
しかし、景気見通しの前提となるGDP統計が頻繁に変わるため、私が申し上げる景気見通しの数字も変わらざるを得ない。こうしたこともあり、経団連は政府に対し、統計制度の整備を働きかけている。

【財政再建】

来年度予算の政府案が決まったが、景気中立型だ。景気に配慮する一方で、国債発行高を減らしている。来年度下期の時点で、成長軌道に乗っていれば、2002年度は、財政再建型という考え方が出てくると思う。 2002年度から健保・医療費を見直すことになっているが、これが来年度中に進めば、社会保障関係費が抑制できる。こうした形で徐々にではあるが、財政構造改革が進むことになるのではないか。
財政再建については、新規国債発行を減らすことが先決だ。そして、政府が、社会保障、地方交付税の見直しを含めた地方財政、公共事業を見通し、プライマリーバランスを達成することが、財政再建の第一目標である。これを経済財政諮問会議で是非とも議論していただきたい。

【株価】

世界各国で大変な株安現象が起きている。日本の株価も米株価に連動しているので、特に情報通信関連株が下がっている。持ち合い解消が今後さらに進むと、株式の需給関係が悪化する惧れがある。また、少ない資金で企業買収が行われ、企業経営が不安定になる可能性がある。そこで、米国同様、日本においても金庫株の制度を導入すべきである。経団連は早急に政府に提言し、実現を求める方針だ。

【金融政策】

今後、米国経済がソフトランディングしていく過程で、最も大事なのは金融政策である。ブッシュ新政権の本格的な始動まで時間がかかることもあり、米国では当面、グリーンスパンFRB議長の金融政策が重要になる。
一方日本では、金融政策の余地は極めて限られる。マーケットが必要とする資金を潤沢に供給するために、今後とも超緩和の金融政策を継続すべきであるが、金利を下げる状況ではないし、やっても効果がない。

以 上

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