経済四団体共催新年祝賀パーティ後の共同会見における
今井会長発言のポイント

2001年1月5日
(社)経済団体連合会

【今年の景気見通し】

2001年度は1.5%から2%の間の経済成長を達成できると思う。懸念材料は、米国経済、アジア経済、日本の株価だ。米国は、金利、減税等の政策手段を持っており、実体経済も強いので、米経済の軟着陸は可能である。一方、日本は政策手段がない中、いろいろな問題が起こっているので、大変つらい。そこで、株価の需給バランスを改善するために、金庫株解禁などの政策を講ずる必要がある。また、長期的に見て、構造改革の推進は日本経済の信頼回復につながるので、政府には引き続き改革に取り組んでいただきたい。

【参院選に向けた各経済団体のスタンス】

経済界の提言を実現させるためには、政治の中に経済界を代表する人が入る必要がある。そこで、今回は近藤剛氏を推薦することに決めた。3年前の参院選で加納候補を応援した時と同じスタンスで全面的に支援していきたい。

【経団連・日経連統合後の経済団体のあり方】

昨年末、ようやく統合の具体的な形ができた。今後最も力を入れていくことは、経済団体としての提言力を強めることだ。統合により、強力な政策提言・実現能力が発揮できる。また、海外への強い影響力を確保することができる。

【政府・政治への要望】

今最も大事なことは、政治のリーダーシップである。21世紀前半にわが国が目指す方向を国民に明確に示す必要がある。中央省庁再編は一つの過程に過ぎず、これで行革が終わったわけではない。むしろ始まりである。特殊法人などの改革を行わない限り、行革は終わらない。

【金融再生委員会の評価・新しい金融行政のあり方】

金融再生委員会は大きな仕事を果たしたと評価している。預金保険機構が改正されるので、今後、万一資本注入が必要になった場合は、預金保険機構を活用できる。問題は、来年3月のペイオフ解禁だが、案ずることなく進むだろう。
経営責任については、早期健全化法に基づいて一斉注入が行われる場合は、問われるものではない。しかし、破綻に近いケース、金融再生法に基づいて処理が行われる場合は、経営責任が生ずると思う。

【設備投資、個人消費の見通し】

2001年も、IT関連を中心とした設備投資のかなりの伸びが期待できる。ただし、ソフト関連も含まれるので、従来のハード中心の投資より波及効果が少ないかもしれない。
個人消費については、2000年後半は若干落ちて心配したが、今後は1.5%の伸びを期待できる。問題は、1,300兆円の個人金融資産である。これをどのように消費、資本市場に引き出してくるかが大事である。政府が明確なビジョンを示し、将来に対する安心感を国民に与える必要がある。

【IT基本戦略に対する注文】

IT基本戦略の策定にあたっては、おそらくインターネットの普及を一番検討したと思う。インターネットの回線整備は民間の仕事だ。政府のやるべきことは、対等の条件で競争できる条件を整えることだ。昨年末発表された電気通信審議会答申の内容を着実に実行する必要がある。また、政府は電子政府実現に取り組むとともに、電子商取引を促進するために規制緩和を進めるべきだ。

【NTTの民営化】

NTTの民営化はすでに進んでいる。株式市場を見ながら、政府は政府持ち株を放出中だ。33%まではよい。その先は、近づいてから考えればよい。

以 上

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