記者会見における今井会長発言のポイント

2001年2月19日
(社)経済団体連合会

【統計】

現在、政策の判断材料である経済統計の精度が問題になってきており、抜本改革を行うべきである。第1に、現在、各省庁が別々に行っている諸統計を、内閣府の下に一元化すべきである。第2に、統計に携わる要員の資源配分を効率化すべきだ。

【金融政策】

日銀によるロンバート型の新貸し出し制度の導入により、年度末、金融機関に十分な資金供給が行われることを評価している。
今は企業が資金不足で設備投資ができないという状況ではない。しかし、現在、株価は実体経済に組み込まれているので、その下落が与える影響は大きい。物価下落がデフレスパイラルに陥る危険性の領域に入った時、あるいは株価の下落が実体経済に影響を与えるような事態になった場合には、日銀が追加的な政策をとる可能性は出てくると思う。

【不良債権処理】

金融機関による不良債権の実質処理は一時進んだように見えたが、ここにきて景気の足踏みもあり、停滞している。社会的な影響にも配慮しながら処理を進めなければ、物価下落も止まらない。
不良債権は過去10年間で70兆円処理されたが、このうち直接償却は54兆円だ。抜本的な構造改革のためには、2次ロスの生じない処理が必要である。なお、銀行の海外事業が減っているので、公的資金の投入が求められることはないと思う。

【株価】

株価の低迷は懸念されるが、今の時価総額は、98年秋よりかなり上の水準にあるので、まだ危機的な状況とは認識していない。
87年頃と99年を比べると、株数は800億株、25%増えている。株の需給関係改善のためには、米国のように自社株消却が進むのが好ましい。しかし、日本は借入金での自社株消却となるため、格付機関が格付けを下げる傾向がある。金庫株が解禁となれば、さまざまな経営手法に活用され、消却も進むと期待している。また、個人投資家を株式市場に呼び戻すための税制改正も必要である。

【政局について】

今は、予算を通すのが最大の景気安定策であり、年度内に成立させていただきたい。その他にも重要法案が出るので、国会が混乱することは好ましくない。
日本経済にとって重要な時期なので、与野党にはそれに十分配慮して、政策の中身で争っていただきたい。

以 上

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