東海地方経済懇談会後の共同記者会見における
今井会長発言のポイント

2001年2月23日
(社)経済団体連合会

【愛知万博】

財務委員会がスタートしたことは喜ばしい。募金額はケタはずれに大きいが、民間分をできるだけ集めるよう最大限の努力をする。国家プロジェクトであり、今回は経団連会員のみでなく全国に広げてやりたい。出展は、自然の叡智というテーマに相応しいものを今後考えていくことになろう。スペースは狭いといわれるが、21世紀はじめての万博なので、その中で充実したものにすべきだ。

【首都機能移転】

経団連は、一昨年の候補地選定まで首都機能移転の旗を振り、その後もシンポジウムを開催するなどして昨年5月の国会決議にこぎつけた。現時点では国会の審議を見守るしかない。

【団体統合】

新団体の副会長は10-15人であり、副会長に地域代表が入るかどうかわからない。東名阪の企業の代表で見識のある人が入ることは予想されるが、それが経営者協会の人かどうかわからない。県単位の経営者協会はそのまま残る。地方団体は新団体になっても年に数回、会合を開く。ブロック機関の代表による会議は予定していない。

【日本国債の格付けと政治のリーダーシップ】

日本は世界最大の対外債権を持ち、経常黒字も巨額、貯蓄率も高く、個人金融資産は1,300兆円にもおよぶ。今回のS&Pによる格下げはまったく心外である。株式市場も反発しているし、長期金利も上がっていない。無視してもよい出来事だ。

【株価】

株価が下がっているのは、市場が日本に改革を促しているということだ。しかし、現在の水準が危機的とは言えない。98年10月よりもTOPIXは200ポイント以上高い。日経225は同じ程度だが、これは銘柄入れ替えの影響を受けたものだ。時価総額は100兆円ほど高くなっている。それほど悲観することはない。

【不良債権処理】

直接償却を進めるべきだ。金融機関に公的資金を入れて2年がたつのに改革のスピードがにぶっている。影響を気にしすぎて直接償却をしないと、内外の支持を失ってしまう。G7でも日銀の潤沢な資金供給と金融機関の強化が指摘された。単なる債権放棄だと、例えば建設では債権放棄を受けた企業が安値受注に走り、健全な企業まで痛んでしまう場合もある。多少の血が流れるのはやむを得ない。

【金融再編】

再編のために、経団連は会社分割法や分割税制の導入を働きかけてきた。再編で一つひとつの部門で、投入資源とその成果が明確にわかるようにして、成果が出ない部門は整理する改革をしなければならない。

【参議院選挙】

変革期に今までの制度ではやっていけないので改革を訴え実現してきたが、隔靴掻痒の感がある。経済をよく知る人が政治に入って直接活動することが大事だ。

【政治報道】

政治が混乱すれば改革もできない。混乱を森総理一人のせいにはできない。マスコミを含め、政治をワイドショー的に扱う風潮がなくならないと、よくならない。政治には、大事な時期なのでもう少し政策論争をやってもらいたい。重箱の隅をつついたような発言が、新聞の1面に出ている。総理を弁護するわけではないが、今のマスコミは物事を扱う軽重の基準が違っていると思う。

【自由党との関係】

政治家との会合はいろいろあり、小沢氏とは幹事長時代から会っている。政治家のリーダー的な人は、政権構想を持って国会で議論をぶつけあってほしい。政局的なことをやっているのは楽しくない。私は政局に絡むことはやっていない。

以 上

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