記者会見における今井会長発言のポイント

2001年4月26日
(社)経済団体連合会

【小泉新政権】

自民党員は国民の目を意識し選択したのだと思う。既成政党に対する国民の不信感が、自民党の政権構造の改革を促した。候補者が政策を掲げて競う開かれた選挙であったことから、国民の政治への関心が少し戻った点は良かった。
派閥人事にとらわれないという小泉理論は貫かれたと思う。これまでと変わらない連立与党で進むだろうが、非常に厳しい政局運営を迫られる。総理の腕の見せ所だ。
現在の閉塞感を打破するのは構造改革しかないというのが経団連の総意である。構造改革を断行するという小泉総理の決意を全面的に支持していきたい。公約を遂行するためにまず、構造改革に早く肉付けしてもらいたい。重要な点は、

  1. 企業の競争力を強化する法制・税制の整備、
  2. 財政、社会保障を包含した将来に対するグランド・デザインの早期策定、
  3. 金融機関の不良債権処理と資産デフレの歯止め
である。

【郵政3事業の民営化】

郵政3事業は公社化が決まっている。将来の方向としては民営化だ。しかし、郵政3事業は国民にある程度支持されている。時間をかけて国民を説得する必要がある。

【財政政策】

政府は国債を30兆円以上出さないと言っている。この水準はよい感覚だ。発行額に歯止めをかけないと、野放図な財政に頼る経済になってしまうし、逆に、厳しいキャップをかけると身動きがとれなくなる。
補正予算については、今、云々する時期でも状況でもない。今年度は1%成長を割る可能性が高いが、そうなっても直ちに財政出動せよという時代ではない。

【不良債権処理のガイドライン】

不良債権処理は、債権者と債務者の間の問題である。債権者団の合意形成に、経団連の入る余地があるのか否かわからない。経団連としてはまず、オブザーバーを出して、関係者の意図を理解することに努めたい。

【株式取得機構における株買取先】

株式取得機構については、金融審議会で十分に審議すべきである。設置すべしとの結論に達すれば、創ればよい。いずれにせよ、銀行の問題であり、事業会社が入ることには賛成しない。

【法制審議会の商法改正中間試案】

改革の一つの流れとして、経団連は社外監査役を強化する制度を求めてきた。監査役を強化する一方で、社外取締役の1名選任を義務付けるというのには、反対だ。

【セーフガード発動・日中間系】

セーフガードの発動は国際ルールで認められている。ただし、構造改善の余裕をもらうことが目的なので、期間内に対策を講じて、いつまでも続けないことが必要だ。報復合戦に発展しないことを心から願っている。

以 上

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