第49回北海道経済懇談会後の共同記者会見における今井会長発言のポイント

2001年7月26日
(社)経済団体連合会

【経済財政諮問会議基本方針と地方経済】

 基本方針は、地方に対して個性をもって本当の自立を求めたものと理解している。地方交付税交付金についても隠れ借金をやめ、来年度から不足分全額について国債や政府保証なしの地方債で賄うことになる。制度面でも複雑化している交付税交付金の配分方式を簡素化し、また国と地方の関係を税源委譲を含めて抜本的に見直すのが諮問会議の考え方だ。これは地方の切り捨てではなく、地方の重視だと思う。基本方針に示された7つのプログラムの一つに、地方の自立と活性化が入っている。公共投資についても量より質を重視せざるをえない状況の中で、地方の個性ある活性化と街づくりがうたわれている。財政構造改革の中で地方にしわ寄せするような考え方はとられていない。

【景気認識と補正予算】

 現在の景気の悪化は、米国のITスランプに端を発している。インターネット・ビジネスが不調でハードウェアの在庫が大きく積みあがり、未だ全貌がわからないほどだ。このスランプがアジアや日本に波及した。第三世代の移動体通信が遅れたことも響いている。景気は米国経済の立ち直りにかかっているが、日本経済がいつ回復するかについて断定できる人はいない。今年1-3月期が悪かったが、4-6月期も悪いだろう。しばらくは低成長を覚悟しなければならない。
 回復の一つの鍵は1400兆円に及ぶ個人金融資産の活用だ。この5年間で200兆円も増えているが、これは国民に将来不安があるからだ。これを取り除くのが社会保障を中心とする構造改革であり、小泉首相の「構造改革なくして成長なし」という発言に間違いはない。補正予算については、すでに公共投資の波及効果は失われている。むしろ将来に対する見通しをしっかり出すことだ。
 なお、デフレ対策については、為替問題を考えなければならない。その中では円ドルだけでなく、中国の人民元を含めた相対的な為替レートをどうするかが問題となろう。

【参議院議員選挙】

 小泉首相の人気が高いのは、将来に対する閉塞感を感じている国民が改革に期待しているからであろう。それが選挙結果にどのように現れるかを予測することは難しいが、与党が過半数割れするような事態にはならないだろう。自民党の議席数が伸びれば、国民の支持を背景に、小泉首相が思い切って改革に取り組む基盤が整う。そうなれば、首相は衆議院の残り任期3年の間、改革に全力をあげると思うので期待している。

【北海道経済の再建】

 日本全体としてみると大学の知識が産業に活かされていないが、北海道は産学の協力がうまくいっている。今後、国立大学が独立行政法人となって自由度を増し、大学の知識を使って産業を興すことが重要になる。米国の繁栄の理由もそこにある。産学官で協力し、地域にあった産業を興していくことが一番大事だ。

以 上

(注)速報のため修正することがあります。


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