記者会見における今井会長発言のポイント

2001年9月7日
(社)経済団体連合会

【景気】

 本日発表された4-6月期のGDP統計は、予想外の数字ではない。経済実態が今年初めから厳しいとの実感はあった。まだ景気の下降傾向が続いている。今後、仮に横ばいで推移すると、年度では対前年度比マイナス0.5%となる可能性はある。
 ただし、4-6月期のGDPについては、住宅がマイナス0.3%ポイントの寄与度となっているが、これが今後も続くことは考えられない。
 名目成長率が大きく下がることは、大変懸念される。物価下落に歯止めがかかる目処が立たないと、企業収益に大きな影響が出る。

【補正予算】

 社会保障関連の義務的経費や災害対策費があるので、補正予算をまったく組まないということはない。しかし、従来のような公共事業による需要追加策は止めるべきだ。これは国債増を招いて国債への信認を失わせる。長期金利が上昇し、国債価格を下落させる惧れがある。むしろ、新規雇用を増やしたり、やむをえず失業した人を対象とするセーフティネットを拡充するなどにとどめるべきだ。

【雇用対策】

 構造改革は非効率的な産業分野から効率的な産業分野に人や資金を移すことであり、その過程で、気の毒なことだが失業が発生するのはやむをえない。現在、史上空前の求人公告になっていると側聞したが、分野によっては雇用需要が非常に大きい。補正予算も、そうした分野への再雇用を助成することに用いるべきである。
 今年4月から雇用保険料率を引き上げるなど、すでに雇用のセーフティネット拡充の手は打たれているが、教育訓練に伴う保険給付期間の延長や自営業者の再雇用など、必要な対策を講ずるべきだ。また、高齢者介護、保育所などニーズの大きな分野で雇用吸収が図られるような規制改革・撤廃を行うことだ。

【中国の為替制度】

 今すぐどうなるという問題ではない。しかし、WTOに加盟すれば、為替管理、為替市場も含め、中国はさまざまな分野で市場開放、自由化を求められるだろう。現在の米ドルにペッグした通貨制度に対しても、もう少し幅広い政策が出てくることが予測される。

以 上

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