経済四団体共催平成14年新年祝賀パーティ後の四団体長共同会見における
今井会長発言のポイント

2002年1月7日
(社)経済団体連合会

【今年の景気見通し】

民間設備投資が低調であり、景気回復の足をひっぱっている。国会冒頭で第2次補正予算が成立すれば、年度前半には多少の景気引き上げ効果が期待できる。さらに年度後半には米国経済が好転するであろうから、その影響で日本経済もよくなる。ただし、今年度はマイナス1%程度の成長にとどまり、来年度もよくてゼロ%の成長であろう。

【構造改革の痛み】

今、日本社会は100年単位の大きな変化の渦中にある。政府中心の社会から個人、民間企業、地方が主役の社会へと変化している最中だ。こうした中、小泉総理が進める構造改革は、政府の役割を最小限にとどめ、個人、企業、地方が自立、自助に基づき一層活躍することを目指すものだ。国民も時代の変わり目であることを肌で感じて、小泉改革が日本の将来に必要であることを自覚していて、それが高い内閣支持率につながっている。
構造改革の過程で多少の「痛み」が出るのはやむをえない。2〜3年は我慢して改革を進めることだ。ただし、本当の弱者の痛みを和らげるためのセーフティネットは必要だ。

【日本の国際競争力】

日本は食料、資源に乏しく、自由市場、自由貿易を尊重していくことが基本的な立場である。
しかし、1985年以降の円高でコスト競争力は落ちており、汎用品では中国をはじめとする諸外国には対抗できない。海外に生産拠点を移せるものは移し、独創的で他国が追随できない、付加価値の高い商品、技術を生み出し続け、技術立国としてやっていくしかない。
また、自由貿易といっても、ある程度の話し合いはあってしかるべきである。アジア諸国とも棲み分けできるよう努力する必要がある。

【為替】

米国が金利を下げ、外資が入りにくくなっているので、客観的に見れば、円安が許容される状況ではある。しかし、140円になれば、アジア各国が悲鳴をあげるのではないか。いつまでも円安が続くとは思っていない。今後も120〜140円の間で推移するのではないか。

【税制】

小渕総理の時代に8兆円規模の減税を先行して行ったため、プライマリーバランスが13兆円崩れた。しかし、個人も企業もカネをつかわないのが現状だ。税制の根本を直さない限り、減税をやっても消費、設備投資は伸びない。

【銀行への公的資金注入】

ペイオフを前に銀行に預けた資金の多少の移動が起こるだろう。仮に金融危機の予兆があれば、金融危機対応会議を開いて、公的資金の注入を行うべきである。ただし、日銀が個別行に担保融資を行える仕組みがあるので、公的資金の注入は最終段階の判断になるのではないか。

【デフレ対策】

名目成長率が4年連続でマイナスであり、デフレそのものの状況だが、スパイラル的に悪化していく心配は今のところない。デフレをもたらす物価下落は、金融政策だけでは止まらない。需給関係を改善するために、総合的にデフレ対策を行うべきである。まず、不良債権処理の推進である。また、規制改革によって新事業、新産業を興していくことや、企業が技術開発を進め、消費を喚起できる商品を提供していくことが大事である。
なお、日銀はすでに限界までベースマネーを潤沢に市場に供給してきている。最近は政府と日銀の足並みも揃ってきており、よい傾向である。

以 上

日本語のホームページ会長コメント目次